国際研修「紙の保存と修復」

開会式後の関係者集合写真
実習(巻子仕立ての裏打ち)

 当研究所では毎年、ICCROMとの共催で国際研修を行っております。例年、70〜80名程の応募がありますが、本年はアメリカ、イタリア、エジプト、オーストラリア、オーストリア、タイ、コロンビア、デンマーク、ポーランド、ロシアに所属機関がある10名が参加者として選抜し8月27日から3週間行いました。この研修では紙、特に和紙に着目し、材料学から歴史学まで様々な観点からの講義を行いました。実習では、補修、裏打などを行って巻子を仕上げ、さらに和綴じ冊子の作製も行いました。見学では、修復にも使用される手すき和紙の産地である岐阜県美濃地方を訪れて紙の製造から輸送、販売まで歴史上の和紙の流通について学習しました。また九州国立博物館では最新の文化財展示、保存、修理施設を見学しました。京都では伝統的な表装工房や道具・材料店を訪れ、日本における紙の保存修復のための環境についても学びました。この研修で伝えられた技術や知識が、海外で所蔵されている日本の紙文化財の保存修復や活用の促進につながり、ひいては海外の作品の保存修理にも応用されることを期待しています。

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