ワークショップ「日本の紙本・絹本文化財の保存修復」の開催

基礎編における日本画制作技法のデモンストレーション
応用編における掛軸応急修理のデモンストレーション

 本ワークショップは在外日本古美術品保存修復協力事業の一環として毎年開催しています。本年度は7月11~13日の期間で基礎編「Japanese paper and silk cultural properties」を、16~20日の期間で応用編「Restoration of Japanese hanging scroll」をベルリン博物館群アジア美術館で行いました。
 基礎編では、制作、表具、展示、鑑賞という実際に文化財が私たちの目に触れるまでの過程に倣い、原材料としての紙・糊・膠・絵具、書画の制作技法、表具文化、取扱いまでの講義、デモンストレーション、実習を行いました。
 応用編では装潢修理技術による掛軸の修復に関して、実習を中心にワークショップを行いました。何層もの紙や裂から成る掛軸の構造、掛軸修復のための診断、伝統的な刷毛や刃物の取り扱、応急修理などに焦点を当てました。
 近年、日本の装潢修理技術が海外で認められ、海外の絵画、書籍などにも応用されるようになって参りました。しかし、海外の多くの修復技術者は、文献あるいは人伝に学んでいるのが現状です。本ワークショップを通して、一人でも多くの海外の修復技術者に本場の材料と技術を理解する機会を提供していきたいと考えています。

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