ウェブコンテンツ『黒田記念館 黒田清輝油彩画 光学調査』公開

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《湖畔》カラー写真
《湖畔》カラー写真(左)と近赤外写真(右)

 黒田清輝(1866~1924)は、日本の近代洋画史において画家、教育者などとして大きな足跡を残しました。帝国美術院附属美術研究所は、黒田の遺言執行の一環で美術の研究を行う機関として設立され、同研究所の後身である東京文化財研究所は現在に至るまで、黒田の絵画作品や彼の活動に関する調査研究をその活動の一つとしています。
 令和3(2021)年10月から12月にかけて、黒田清輝に関する調査研究の一環として、東京文化財研究所は黒田が描いた油彩画のうち黒田記念館に収蔵される油彩画148点を対象とした光学調査を行いました。光学調査では、色や形、質感を高解像度で記録するカラー写真を撮影したほか、近赤外線の反射や吸収の違いを記録する近赤外写真、特定の波長の光を画面に照射した際に物質が発する蛍光を記録する蛍光写真を撮影し、肉眼では読み取ることのできない情報を取得しました。また、黒田の代表作である《湖畔》、《舞妓》、《読書》、《智・感・情》、及び黒田が使っていたパレットについて、絵画材料に含まれる元素を判別するための蛍光X線分析を行い、令和5(2023)年3月31日、これらの写真や分析結果をウェブコンテンツ『黒田記念館 黒田清輝油彩画 光学調査』(https://www.tobunken.go.jp/
kuroda/image_archives/main/
)として公開しました。
 《湖畔》を例にとれば、モデルの眉の毛の1本1本まで描いた描線、着物の縞模様を表現した白い絵具の凹凸や、下書きの線からモデルが持つ団扇の大きさを何度か変更していることなどがわかります。現在、上記4作品を中心としたウェブコンテンツのほか、黒田記念館収蔵の油彩画148点すべてのカラー写真をウェブ公開していますので、鑑賞や調査研究にお役立ていただけましたら幸いです。

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