モンゴルにおける拠点交流事業(予備調査)

アマルバヤスガラント寺院
アマルバヤスガラント寺院の視察

 今年度から始まった拠点交流事業の準備として、6月9日から14日までモンゴルを訪れました。本事業では本研究所の無形遺産部とともに、組織や法律など文化財保護の枠組みに関するワークショップの開催や、教育文化科学省所管の国立文化遺産センターに対する専門家育成のための研修事業を計画しています。教育文化科学省文化芸術局長との会談は、事業開始にあたって当研究所との合意書と覚書の締結を快諾していただくなど、友好的な雰囲気に終始しました。
 また、首都ウランバートルの北方約350kmにある、モンゴル最大級の木造建造物であるアマルバヤスガラント寺院を視察しました。この寺院では、1970年代初めから80年代半ばにユネスコを通じて派遣された日本人専門家による調査や修復事業が行われました。しかし現在は管理が不十分で、教育文化科学省の専門家は、緊急対応を要すると話していました。たしかに、屋根や彩色だけでなく構造上の劣化も発生している状態でした。ここでの議論を通じて、両国は、来年度以降実施する専門家養成に建造物関連の内容も含めたいと考えるようになりました。
 さて、6月末の総選挙の後、ウランバートルでは結果への不満を表すデモが暴動化し、当研究所のカウンターパートとなる文化遺産センターも焼き討ちに遭い、建物や機材、文化財が被害を受けました。関係者にお見舞い申し上げるとともに、大使館や関連分野の専門家と情報を共有し、緊急対応の可能性を探っているところです。

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