アジャンター壁画の保存修復に関する調査研究事業~第5次ミッション報告

壁画の状態調査(アジャンター第2窟右祠堂)
黒色物質の試験的なクリーニング
(アジャンター第2窟右祠堂右壁)

 東京文化財研究所とインド考古局は、文化庁委託「文化遺産国際協力拠点交流事業」および運営費交付金「西アジア諸国等文化遺産保存修復協力事業」の枠組みのもと、アジャンター壁画の保存修復に関する共同研究を行い、これに必要な知識の共有と技術交流を目指しています。
 アジャンター壁画は、基岩の亀裂からの浸水や、生物被害、人為的損傷に加え、過去の修復に起因する色調変化や彩色層の劣化といった多くの問題を抱えています。なかでも顕著なものとして、コウモリの糞尿による黒色化・白色化、そして壁面に塗布されたニス(シェラック、PVAC)の黄色化・暗色化が挙げられますが、効果的な保存修復手法が確立されていないのが現状です。このような課題に対処するために、今回の第5次ミッション(平成22年11月14日~12月4日)では、第2窟壁画を対象とした試験的なクリーニングを実施しました。昨年度までの科学分析およびドキュメンテーションの蓄積をもとに、インド人保存修復専門家と共同で、適切な保存修復方法の検討作業を行いました。

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