群馬県立歴史博物館における木造性信上人坐像の調査・撮影

 企画情報部の研究プロジエクト「美術の表現・技法・材料に関する多角的研究」の一環として、6月21日(火)に、企画情報部の津田徹英、皿井舞は保存修復科学センターの犬塚将英、ならびに武蔵野美術大学非常勤講師の萩原哉氏の協力を得て、群馬県立歴史博物館に出陳中の同県板倉町宝福寺所蔵の木造性信上人像(仏師大進作、鎌倉時代、群馬県指定文化財)の調査・撮影を行いました。ちなみに、本像は当所名誉研究員であった故・久野健氏が本格的な調査を行い銘文が知られて以降、その存在が知られました。その後、幾歳月が流れ、本格的修理がなされましたが、難解・複雑な銘文は未だ全文の解明がなされるまでには至っていません。
 今回の調査の目的は、像の構造・保存状況等を正確に把握するとともに、赤外線撮影等により懸案の銘文に肉薄することを目的とし、あわせて、頭部内に納入されているという像主の焼骨を収めた容器の存在を確認するために、X線透過撮影を試みました。今回の調査・撮影で得られた知見等については、今後十分に検討を重ねたうえ、『美術研究』等によって公表してゆく予定です。

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