ポール・ウィットモア氏によるマイクロフェイディングのデモンストレーション

マイクロフェイディング装置のデモンストレーション

 平成27(2015)年6月4日、イエール大学(アメリカ合衆国)教授・文化遺産保存センター長のポール・ウィットモア氏が当所を来訪し、微小領域で退色を計測できる最先端の分光器(マイクロフェイディング)のデモンストレーションをおこないました。マイクロフェイディングは日本ではまだ紹介されたことがない最先端技術で、保存修復科学センターの研究員等、東京芸術大学大学院の教員・院生とともに、目的、機器の構成やアメリカでの応用事例などの紹介がありました。直径0.3mmに絞った高輝度のキセノンランプ光をファイバーで照射し、退色の経時変化を把握する手法は、実際の展示物の中でどの色が光照射に弱いのかを判断するために用いられるとのことです。材料同定し耐光性を判断して照射時間の制限をする従来の方法とは逆の発想で、まだ応用例は少ないものの、今後の広がる可能性を秘めた手法であると思いました。当所で作成した染織布(紅:カルミン酸、黄:クルクミン、青:インジゴ)について、色差が33になるまで退色試験を実施しましたが、目視でも実体顕微鏡下でも退色スポットを見つけることはできませんでした。(参加者:外部から8名)

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