第3回生存者叙勲の美術関係

1965年04月

第3回生存者叙勲が28発表された。美術関係では、勲三等瑞宝章=内藤伸(彫刻)、野田道三(九浦・日本画)、勲四等旭日小綬章=杉浦朝武(非水・工芸図案)、勲五等瑞宝章=中島秀吉(重要無形文化財「伊勢形紙道具彫」)、勲六等瑞宝章=田畑伊三郎(手描友禅)、中川福三郎(手描友禅)

中尊寺新覆堂完成

1965年04月

平泉、中尊寺の新覆堂の落成式が3日行われた。これは鉄筋コンクリート造り、3方ガラス張りで平安朝のスタイルをとり入れたものである。

小出楢重回顧展

1965年04月

小出楢重歿後35年を迎えて、国立近代美術館京都分館では6日から5月5日まで「小出楢重展」を開催、油絵98点、グヮッシュ・水彩・素描・ガラス絵その他約60点、全館を使用しての大規模な展観を行った。ことに、終戦後33回二科展での小出回顧展以来、長らく出品されなかった作品や、今回が初めてという数点のめづらしい作品も陳列され、館側のきびしい選択とあいまって充実した回顧であつた。 

14都府県の「遺跡分布地図」完成

1965年03月

文化財保護委員会は、宅地造成などの建設工事でこわされる埋蔵文化財が多いため、遺跡の分布を示す地図を作成して建設関係者に配るようにこのほど14都府県の「遺跡分布地図」を完成した。

犬山城の修理完成

1965年03月

昭和34年伊勢湾台風による被害をきっかけに全面的解体修理に着工した犬山城は、19日その工事を終了し、一般に公開されることになつた。この天守は一般に美濃金山城を移したとされていたが、解体調査の結果、元来この地に造営されたものであること、当初は二階二重入母屋の簡素な造りであって、のちに、3、4階のつぎ足しが行われたということなどが明らかにされた。

文化財の新指定

1965年03月

22日から25日まで4日間にわたって開催された文化財専門審議会の答申にもとずき、文化財保護委員会は26日、新たに国宝10件、重要文化財81件ほか特別天然記念物、史跡、名勝および史跡、天然記念物、重要民俗資料、重要無形文化財等の指定を決定した。新国宝のうちには旧法隆寺絵殿の聖徳太子絵伝二曲?風五双、浦上玉堂筆東雲篩雪図などが含まれている。

芸術選奨決定

1965年03月

文部省は昭和39年度(第15回)芸術選奨の受賞者として、8部門の1団体、8人を決め24日発表した。美術部門では、高山辰雄<日本画>(近年、意欲的な作品を続けて発表し、とくに第7回日展出品作「穹」は従来の画境を一歩進め、新鮮な内容と着実な技法を示して、現代日本画として注目すべき成果をあげたものである)と、岡村昭彦<写真>(ベトナム紛争に取材した一連の報道写真は、迫力ときびしさの底に、暖かいヒューマニズムが流れる佳作である。内外の新聞、雑誌に紹介され、大きな感動を呼んだ。この報道写真が写真美術界にもたらした清新な成果は大きい)が選ばれた。 東大寺戒壇院持国天の剣盗難 24日、奈良東大寺戒壇院四天王像のうち持国天が持っている剣が盗まれているのがわかつた。犯人は東京都立城北高校の学生3人で、盗んだ剣は折って京都市内のマンホールに捨てたと自供した。その破片は4月5日発見された。

在ヨーロッパ日本人美術展ローマ日本文化会館で開く

1965年03月

2年前ローマに設立された日本文化会館では、本月はじめ在ヨーロッパ日本人美術展を開催した。造形芸術の領域における日本文化の発展を提示するという主催者の趣旨にそったもので、人選は、東京の国際美術協議会によって行われた。フランスから荻須高徳長谷川潔堂本尚郎今井俊満佐藤敬田中修、イタリアから吾妻兼治郎豊福知徳、高橋秀、阿部展也、千葉勝、小野田ハル、ドイツから飯田善国の13名、計34点が出品展示された。

塚花塚古墳壁画の模写完成

1965年03月

福岡県浮羽郡浮羽町の史跡・塚花塚古墳の壁画の模写は昨年12月にとりかかり本月中旬に完成をみた。これは昭和30年から実施している古墳壁画模写事業の一環である。

高村光太郎賞受賞者決定

1965年03月

第8回高村光太郎賞は、9日東京・銀座資生堂パーラーで開いた選考委員会でつぎの通り受賞者が決まつた。贈呈式は4月2日、資生堂パーラーで行なわれた。 〔造型部門〕細川宗英(彫刻家、39年度新制作展の出品作)、大谷文男(彫刻家、39年度の個展)、黒川紀章(建築家、こどもの国園内設計及び企画) 〔詩部門〕中桐雅夫(39年12月思潮社刊「中桐雅夫詩集」

サンパウロビエンナーレ展国内展示

1965年03月

本年9月からサンパウロ近代美術館で開かれる第8回サンパウロ・ビエンナーレ出品作品の国内展示会が5日から14日まで国立近代美術館で開かれ、下記出品作家のうち在外を除き、各10点ないし15点の作品を陳列した。なお今回のコミッショナーは益田義信が担当し、出品計画を決定したわけである。 〔絵画〕大沢昌助菅井汲(在外)、下村良之介、大沼映夫(在外)、〔版画〕萩原英雄吉田政次深沢幸雄池田満寿夫、〔彫刻〕掛井五郎、豊福知徳(在外)

仁和寺「双ケ岡」売却をきめる

1965年02月

京都右京区真言宗御室派総本山仁和寺は10日午後ひらかれた定期宗会本会議で、双ケ岡売却(昨年9月10日決定)の方針を再確認した。文化財保護委員会はこれに対し、所有権が移ったとしても、現状変更は絶対に認めないと言っている。

伊丹廃寺の発掘

1965年02月

昭和33年春に五重塔の水煙の断片が発見されて以来、地元の考古学同好者の人々の努力によって発掘がつづけられてきた兵庫県伊丹市緑ケ丘の伊丹廃寺跡は、このほど、ほぼその全容が明らかにされ、廃寺跡の買収と史跡指定が決定した。この廃寺の建立時期は判然としないが、地元には文武天皇2年(703年)藤原不比等が同地に主池山良蓮寺を建てたという記録があり或いはそれに当るものかとも考えられている。

川崎市で埴輪の窯跡発見

1965年03月

川崎市向ケ丘の山林で7世紀中ごろのものと推定される埴輪の窯跡が発見され、発掘が1日から行われた。2日には窯の南側に作業場の跡も発見した。

朝日文化賞決定

1965年01月

昭和4年創設以来、文化、社会奉仕、体育の分野で各年度のすぐれた業績に対し贈られている朝日賞の39年度文化部門の受賞者が決定、3日発表されたが、美術関係では、棟方志功(日本の木版画につくした功績に対し)、東京大学教授・丹下健三(国立競技場代々木競技場の建築に対し)、奈良国立博物館長・石田茂作(日本仏教考古学への貢献に対し)に贈られた。

文部省の買上作品決定

1965年02月

文部省では美術振興と作家個々の創作意欲を高めるために、毎年当該年度に発表された作品のうちから優秀作品を選んで買上げを行っているが、3日39年度買上作品を次の通り決定、発表した。なお当選考委員会には、作家側から辻永山口蓬春、評論家・学識経験者側から河北倫明富永惣一嘉門安雄柳亮、稲田清助の7名が出席した。〔日本画〕三谷十糸子「若人の朝」(第7回展出品)、中島清「川風」(第49回院展出品)、吉田善彦「富士月明」(同)、稗田一穂「流淵」(第29回新制作出品)〔洋画〕吉井淳二「水汲」(第49回二科展出品)、佐野繁次郎「街」(第18回二紀展出品)、野田好子「雲中夢」(第6回現代日本美術展出品)、岡田又三郎「パリの孤児」(個展出品)、岡部繁夫「作品W」(個展出品)〔彫刻〕朝倉響子「ともえさん」(第6回現代日本美術展)

毎日芸術賞決定

1965年01月

昭和39年度第6回 毎日芸術賞受賞者が1日発表されたが美術部門賞を陶芸家加藤唐九郎が受賞した。受賞の対象になつたのは、昨年10月東京・伊勢丹で開いた「加藤唐九郎陶芸展」の出品作。

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