登録有形文化財の登録答申

2008年12月

文化審議会(石沢良昭会長)は12日、武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル、兵庫県西宮市)など158件を有形登録文化財に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。建造物の登録はこれで7408件となった。

世界遺産暫定リスト登録

2008年12月

政府は15日、関係者連絡会議で世界遺産に国内から推薦する候補を記載する「暫定リスト」に「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」「九州・山口の近代化産業遺跡群」「宗像・沖ノ島と関連遺産群」の3件を追加すると決定した。 

芸術院新会員決定

2008年11月

日本芸術院(三浦朱門院長)は28日、今年度の新会員として15名が内定したと発表した。美術関係では清水達三(日本画)、藤森兼明(洋画)、市村緑郎(彫塑)、山本真輔(彫塑)、中井貞次(工芸)、日比野光鳳(書)、谷口吉生(建築)が選ばれた。12月15日付で塩谷文部科学相により発令された。

第20回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2008年11月

優れた美術評論や美術史の研究に対して贈られる倫雅美術奨励賞(公益信託倫雅美術奨励基金主催)の第20回目の受賞者は、西山純子(千葉市美術館学芸員、「日本の版画1941―1950」展の企画と図録論文に対して)、貝塚健(ブリヂストン美術館主任学芸員、「岡鹿之助展」の企画と図録論文に対して)に決定した。授賞式は12月11日、都内のグランドプリンスホテル赤坂で行なわれた。

キトラ古墳、全壁画の剥ぎ取り完了

2008年11月

文化庁は27日、キトラ古墳(奈良県明日香村)の石室天井に残っていた天文図の剥ぎ取りを終了したと発表した。これで2004年8月に始まった同古墳の、現在確認されている全ての壁画の剥ぎ取りが完了した。以後、泥に覆われた部分に壁画が隠れていないかの確認、剥ぎ取った壁画の修復、保存に力を入れる方針となった。

御廟山古墳の一般公開

2008年11月

宮内庁が陵墓参考地に指定している前方後円墳「御廟山古墳」を同庁と堺市が発掘し、27日に地元住民に、29、30日には一般に公開した。宮内庁と自治体が連携しての発掘および、宮内庁管理の陵墓の一般公開は初めてである。

「セザンヌ主義」展開催

2008年11月

近代絵画の父とされるセザンヌの作品とその画風に学んだ画家の作品を対比する「セザンヌ主義―父と呼ばれる画家への礼賛」展が15日から横浜美術館で開催された(1月25日まで)。日本におけるセザンヌ受容をテーマに、日本所在のセザンヌ作品を集めた「セザンヌ展」が1999年に同館で行われたのを踏まえ、本展ではゴーギャン、モディリアニ、ピカソら西欧の画家、および安井曽太郎小野竹喬ら日本の洋画家、日本画家による作品をセザンヌ作品と比較し、その造形について考察しようとするもので、日本におけるセザンヌ受容を国際的視点から再考する機会となった。同展は北海道立近代美術館に巡回した(09年2月7日から4月12日)。

史跡天然記念物指定の答申

2008年11月

文化審議会(石沢良昭会長)は21日、加賀藩主前田家墓所など9件を史跡に、不知火及び水島(熊本県谷八代市、宇城市)など2件を名勝に指定し、また「宇治の文化的景観」など6件を重要文化的景観に選定、近江八景・三井晩鐘など3件を登録記念物に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。

「朝鮮王朝の絵画と日本」展開催

2008年11月

14世紀末に創始されてから500年以上続いた朝鮮王朝の絵画を通観し、それらとかかわりを持ったと考えられる室町・江戸期の絵画を併せて展示する「朝鮮王朝の絵画と日本 宗達、大雅、若沖も学んだ隣国の美」展が2日から栃木県立美術館で開催された。第一部「朝鮮絵画の精華」、第二部「日本人のまなざし」の構成で日韓両国から集められた325点が出品され、朝鮮王朝の絵画をまとまったかたちで鑑賞でき、また、我国の絵画との交流について再考を促す貴重な機会となった。同展は静岡県立美術館、仙台市博物館、岡山県立美術館に巡回した。

「運慶流」展開催

2008年11月

鎌倉時代後期以降、当時西国とされた山陰、九州地方で仏師運慶の一門が活躍したことに注目し、33点の作品によってその意味を再考する「運慶流」展が山口県立博物館で11日から開催された(12月21日まで)。戦が神仏の戦いでもあった中世の信仰のあり方を背景に、蒙古襲来や南北朝の争乱で実際の戦地となった山口・九州で運慶の後裔たちの様式が好まれた理由を探ろうとする意欲的な試みとなった。同展は、09年1月1日から2月15日まで佐賀県立美術館に巡回した。

第30回サントリー学芸賞受賞者決定

2008年11月

サントリー文化財団は12日、第30回サントリー学芸賞受賞者を発表した。美術関係では、林洋子(京都造形芸術大学准教授、『藤田嗣治 作品をひらく―旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会)に対して)、平松剛(『磯崎新の『都庁』-戦後最大のコンペ』(文藝春秋社)に対して)が受賞した。

新薬師寺金堂の基壇出土

2008年10月

奈良教育大学(奈良市高畑町)は、23日、同学構内で奈良時代に建立された新薬師寺の遺構が発見されたと発表した。現在の新薬師寺の南西に位置し、当時の絵図や文献の記述から、8世紀中ごろに光明皇后が聖武天皇の病気平癒を祈願して建立した新薬師寺の金堂(七仏薬師堂)の基壇と見られ、東大寺大仏殿に匹敵する規模であったことがわかるなど、古代史、古代建築史研究に資する重要な発見となった。

文化勲章受章者、文化功労者決定

2008年10月

政府は28日、2008年度の文化勲章受章者、文化功労者を発表した。美術関係では、澄川喜一(77、彫刻家として日本的な感性に基づく、研ぎ澄まされた抽象彫刻を発表し続け、地域の文化振興にも貢献したことに対して)、奥田小由女(71、丹念に彩色する技法と今日的で自由な発想をあわせ持ち、創造的な作品を発表し続け、工芸界の発展に貢献したことに対して)が文化功労者に選ばれた。

「崇高なる山水」展開催

2008年10月

五代・北宋初期の画家李成に始まり北宋中期に活躍した郭熙によって完成された大観的な山水画の誕生とその受容の諸相を約70点の作品によって跡づける「崇高なる山水―中国・朝鮮・李郭系山水画の系譜」展が11日から11月16日まで大和文華館で開催された。第一章「李郭派山水の誕生―宋から元へ」、第二章「李郭派山水の展開―高麗から朝鮮王朝へ」、第三章「李郭派山水の受容と復興―明清時代―」で構成され、東洋の山水表現の源とも言われ、我国の水墨画の展開においても重要な位置にあった李郭派を今日の視点からとらえる充実した展観となった。

重要文化財(建造物)指定の答申

2008年10月

文化審議会(石沢良昭会長)は17日、石岡第一発電所施設(茨城県北茨城市、高萩市)や、石山寺(大津市)御影堂など建造物7件を新たに重要文化財に指定するよう塩谷文部科学相に答申した。また、本殿などが重要文化財に指定されている石清水八幡宮(京都府八幡市)について、周囲の摂社若宮社本殿など8棟を追加指定するよう答申した。

メセナ大賞受賞者決定

2008年09月

企業メセナ協議会は29日、芸術文化振興に貢献した企業や団体を表彰する「メセナアワード2008」の受賞者を発表した。美術関係では、「サントリー美術館の運営と活動」がメセナ大賞を受賞した。

第20回国華賞受賞者決定

2008年09月

日本および東洋美術に関する優れた研究に対して贈られる国華賞(主催:国華社、朝日新聞社)の第20回目の受賞者が発表された。推薦のあった単行図書、定期刊行物掲載論文、展覧会図録18件のなかから、相沢正彦・橋本慎司『関東水墨画―型とイメージの系譜』(国書刊行会)、日高薫『異国の表象―近世輸出漆器の創造力』(ブリュッケ)、浅野秀剛・田辺昌子『鳥居清長―江戸のヴィーナス誕生』(千葉市美術館)が受賞者に選ばれた。展覧会図録を対象とする受賞は今年度が初めてとなった。

第20回世界文化賞受賞者発表

2008年09月

優れた芸術の創造者たちを顕彰する高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人日本美術協会主催)の第20回目の受賞者が16日に発表された。美術関係では、絵画部門でリチャード・ハミルトン(イギリス、86)、彫刻部門でイリヤ・カバコフ(ロシア、74)とエミリア・カバコフ(62)、建築部門でピーター・ズントー(スイス、65)が選ばれた。授賞式は10月15日、東京赤坂の明治記念館で行なわれた。

登録有形文化財(建造物)指定の答申

2008年09月

文化審議会(石沢良昭会長)は26日、明治期に来日して活躍した米国人建築家ヴォーリズ設計の日本福音ルーテル市川教会など、21都道府県に所在する110件の建造物を新たに登録有形文化財に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。これで有形登録文化財(建造物)の登録は1289件となった。

東京都庭園美術館建て替え決定

2008年08月

都の文化振興策について検討する知事の付属機関「東京都芸術文化評議会」は27日、東京都庭園美術館新館(港区白金)の建て替えを決定した。同美術館には1933年に建築され、都の有形文化財となっている本館と1963年竣工の新館があり、建て替えられるのは事務室、ホールなどとして使用されている新館。耐震診断の結果、新館が耐震指標を下回ったためにこの決定となった。

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