源頼朝像着衣に修復で唐草文様現わる
1981年12月我国の肖像画の最高傑作の一つである「源頼朝」像の修復を、京都国立博物館が18日までに行った結果、被膜に覆われ黒一色だった衣服に唐草文様が鮮やかに甦った。
我国の肖像画の最高傑作の一つである「源頼朝」像の修復を、京都国立博物館が18日までに行った結果、被膜に覆われ黒一色だった衣服に唐草文様が鮮やかに甦った。
昭和47年5月に銀座の吉井画廊から盗まれ行方不明となっていた梅原竜三郎作「北京秋天」「姑娘」の2点が、この夏都内の某画廊に持ち込まれたことに関連する詐欺事件の証拠品として押収され、9年半ぶりに吉井画廊に仮還付された。
ミラノのサンタ・マリア・デレ・グラチエ教会の壁に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は、4年前から大規模な修復作業が続けられており、現在画面の右側四分の一が完了したが、その結果、原画は現在のものとかなり異なる部分のあることが明らかとなりつつある。
文化財保護審議会は20日、建造物関係の重要文化財として新たに冷泉家住宅など8件13棟、町並みを保存する重要伝統的建造物群保存地区に鹿児島県知覧町の知覧麓を選定するよう田中文相に答申した。冷泉家住宅は、江戸期の姿をそのままとどめる現存唯一の公家屋敷である。このほか、既に書院などが重文指定を受けている金刀比羅宮(香川)の四脚門など2件3棟の追加指定も答申され、これで建造物関係の重要文化財は1949件3162棟、重要伝統的建造物群保存地区は17地区となった。
サントリー文化財団はこのほど昭和56年度サントリー学芸賞を発表、美術関係では芸術・文学部門で芳賀徹『平賀源内』が選ばれた。
我国の美術に重要な位置を占める禅に関する絵画・書跡・彫刻・工芸など178点を陳列した大規模な展覧会が、6日から11月8日まで京都国立博物館で行われ、禅の精神を造形芸術から窺う好機となった。
日本芸術院(有光次郎院長)は17日、昭和56年度の会員補充選挙を行い新会員13名を内定、美術関係からは日本画の岩橋英遠、上村松篁、洋画の牛島憲之、中村琢二、工芸の佐治賢使、高橋節郎(共に漆芸)の6名が、新たに会員に選出された。
30年前に猪熊弦一郎が描き、国鉄上野駅の象徴となっている大壁画「自由」は、東北・上越新幹線開通に伴う駅舎の改築で、移転か取壊しかが論議されていたが、このほど、同駅の新駅舎にそっくり移転されることが決まった。
国際的視野と現代美術への積極的参与を目指した宮城県美術館が3日オープン、開館記念展として「現代日本の美術展」(3日~12月6日)を開催した。
国際交流基金と英国ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの共催による「江戸大美術展」が、前期24日~12月20日、後期12月28日~翌年2月21日の長期にわたり、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された。同アカデミーでは、これまでも大規模な海外展を行い内外の高い評価を受けてきたが、本展は日英両国で7つの委員会が構成され、4年半の折衝を経て開催の運びとなった。日本からは国宝・重文を含む桃山時代後期から江戸時代後期にわたる絵画・工芸・彫刻・染織・書跡等約300件、500余点が出品され、これに更に英国内の美術館や博物館からの出品が加えられて、空前の規模の日本美術展となった。
毎年秋に奈良国立博物館で開催されている正倉院展が、本年は昭和天皇の満80歳を記念して22年ぶりに東京で開催され、初公開18点を含む154点が31日から11月25日まで東京国立博物館に展示された。一方奈良国立博物館では、現在東京国立博物館の所蔵となっている法隆寺献納金銅仏57?と付属光背34面が、30余年ぶりに奈良へ里帰りし、これに法隆寺の宝物を加えた「法隆寺献納金銅仏」展が、18日より11月23日まで新館で開催された。また同博物館の本館では、9月から10月にかけてアメリカで行われた「法隆寺宝物展」の国内展が、11月10日から11月23日まで開催され、法隆寺の宝物多数を一度に鑑賞できる好機となった。
我国の近代美術に偉大な功績を残した天心の活動を、自筆書簡をはじめ、彼と関連のあった古美術や日本美術院・洋画界・彫刻界の各作家の作品から大観する展覧会が、31日から11月29日まで福井県立美術館で行われた。出品作品170余点はいずれも各作家の代表的作品が選ばれ、充実した展観となった。
表現主義の巨匠、エドワルド・ムンクの作品220余点を集めた展覧会が、9日から11月23日まで東京国立近代美術館で開催された。油彩54点、素描・版画170余点のうち、「叫び」「思春期」なども出品され、充実した展観となった。
昭和56年度の文化勲章受賞者5名並び文化功労者10名が、20日の閣議で決定した。美術界関係では、文化功労者に日本画の奥田元宋、洋画の荻須高徳がそれぞれ選ばれた。尚、文化勲章の伝達式は11月3日皇居で、文化功労者顕彰式は翌4日国立教育会館で行われた。
大正から昭和にかけて大和絵の復興に尽力した松岡映丘の生誕100年を記念した「松岡映丘、その人と芸術」展が、3日から11月29日まで山種美術館で行われ、時期を同じくして山口蓬春、杉山寧ら映丘門下生の作品による「映丘一門、華麗なる巨匠展」(10月22日~11月3日、日本橋・高島屋)が開催された。
ピカソ生誕100年を記念し、本年既にいくつかのピカソ展が開かれたが、最後として、3日から11月3日まで、ピカソとマリー・テレーズとの間に生まれたマヤが相続したピカソ遺産作品の中から主要な絵画・彫刻・陶器を集めた「ピカソ展」が、西武美術館で開催された。
宇部市野外彫刻展を前身として始まった「現代日本彫刻展」の第9回は、1日から11月10日まで宇部市野外彫刻美術館で開催され、大賞(宇部市賞)に増田正和「碑」が選ばれた。
強烈な個性と豊かな構想力で室町画壇に大きな足跡を残した禅僧画家雪村の芸術を、60余点の作品から辿る展覧会が、2日から11月8日まで奈良・大和文華館で開催された。
東京23区では、昭和54年の板橋区に次いで2番目の区立美術館となる渋谷区立松濤美術館(渋谷区松濤2-14-14)が1日オープン、美術品を収集せず企画展のみによるユニークな運営方針を打ち出した。
第12回中原悌二郎賞がこのほど決定、同賞に建畠覚造「cloud―4」、同優秀賞に清水良治「狐影」、最上寿之「ドコマデイッテモボクガイル」がそれぞれ選ばれた。