西寺跡の発掘調査
1963年12月奈良国立文化財研究所が12月、京都市南区唐橋にある西寺の第3回発掘調査を行なつた結果、規模、伽藍の大きさ、創建時代において、東寺とほぼ同じであることが確認された。
奈良国立文化財研究所が12月、京都市南区唐橋にある西寺の第3回発掘調査を行なつた結果、規模、伽藍の大きさ、創建時代において、東寺とほぼ同じであることが確認された。
文化財保護委員会では「人間国宝」といわれる重要無形文化財保持者に対する年金交付を要求していたが、28日、1500万円が奨励交付金の形で大蔵省から認められた。現在保持者は、芸能、工芸技術合わせて51人であるが、そのうち文化功労者、芸術院会員ですでに年金を交付されている10人を除いた人々に、技術を磨き、伝承者を養成させる目的で配分交付されることになつた。
文化財保護委員会は12月中旬、久能山東照宮の総合調査を行ない、刀剣、甲冑、書画など、家康以来歴代将軍の遺品約200点を調査した結果、多くの新資料、新事実が発見され注目された。
千葉県香取郡神崎町の西之城貝塚で23日、発掘調査にあたつていた早大考古学教室の西村教授と同大学生約40人は9,000年前の同貝塚より以前と思われるタテ穴式の住居跡を発見した。西村教授の話によると、この住居跡は日本最古のものという。
栃木県足利市にある足利氏の氏寺、鑁阿寺多宝塔の解体修理中、宝輪先端にある宝珠から仏舎利が発見された。この形式は古代インドの仏塔に見られるが、日本では他に例がなく注目される。
フランス文化省は9日、ルーヴル美術館蔵の「ミロのヴィーナス」を東京オリンピックの開かれる昭和39年に日本に貸出すと発表した。
東京国立文化財研究所では開所記念として11月15、16日の両日にわたり研究所において稀観絵巻物展を催し、敦煌出土の十王経図巻、駒競行幸絵詞など15点を陳列した。
彫刻を中心とし、インダス文明遺品、陶器、貨幣、絵画の240点を展示した展覧会が、日本経済新聞社と東京国立博物館の共催により、11月3日から39年1月12日まで東京国立博物館で開かれた。アショカ王時代の有名な柱頭ライオン像をはじめ、モヘンジョダロ、ハラッパの遺跡出土品から中世のヒンズー寺院の彫刻、ムガール時代の細密画に至る各時代の美術品の秀作が並べられた。同展は1月から3月まで京都市美術館でも開かれた。
国画創作協会回顧展は、大正7年創立以来、京都画壇における日本画の革新運動を興しながら解散に至る迄の同会10年間の歩みを回顧、展望しようとする意義深い展観であつた。3日から27日迄京都市美術館で開かれた。
昭和38年度文部省関係の紫綬、藍授、黄授褒章の受章者が決まり、11月5日に伝達式が行なわれた。文化財関係者は次の10氏である。石黒宗麿(70才、陶芸)、福井利吉郎(77才、日本美術史)、堀口捨己(68才、建築芸術)、山根徳太郎(74才、難波宮跡発掘調査)以上紫綬褒章、井上庄七(83才、博物館事業)以上藍授褒章、小林良太郎(71才、かつら製作)、五島敏太郎(84才、組紐製作)、杉山秀雄(71才、仏像修理)、名和嘉一郎(70才、古文書修理)、山口修吉(75才、刀剣柄巻)以上黄授褒章。
23日、昭和38年度の文化功労者として計10人が決つたが、美術に関係ある梅原末治、松田権六氏がその中に含まれた。
京都国立博物館では10月23日から11月23日まで「鎌倉時代の美術――彫刻・工芸篇――」の特別展を開催し,八大童子立像(金剛峰寺)、弁財天坐像(鶴岡八幡宮)、時雨螺鈿鞍(永青文庫)など国宝、重文を含む約130点が陳列された。
フランス外務、文化両省と東京国立博物館、朝日新聞社共催の「日本古美術展」が19日から12月16日までパリのプリ・パレ美術館で開かれ,埴輪、仏像、水墨画、南画、禅画など180点が展示された。
9月7日盗難にあつた臼杵磨崖仏の石仏群中の仏頭一個は、10月21日、臼杵市役所に損傷もなく送り届けられて来た。発送人は不明である。
国立西洋美術館・読売新聞社・アートフレンド・アソシエイション共同主催で1日から11月12日迄、国立西洋美術館で、また版画は、1日から10月23日迄日本橋白木屋で開かれた。7年の歳月をついやして準備したといわれるが、世界各国の美術館、個人所蔵家から出品を依頼し、作者所蔵の近作43点を加え、油絵118点、グヮッシュ、水彩等87点、版画239点、彫刻6点、ステンド・グラス2点に及ぶ、シャガールの全貌を示す世界的な大展覧会であつた。
昭和36年2月、日本美術院を脱退した山本豊市,新海竹蔵、桜井祐一等彫刻家12名は、S・A・S(彫刻家集団)を結成、今日に及んでいたが、9月、国画会に合流することとなり、国画会は同日、彫刻部を新設した。
大阪・四天王寺は昭和32年以来、五重塔など主要伽藍の再建工事を進めていたが、このほど完成、15日から5日間落慶法要を行なつた。
財団法人日本近代文学館の創立を記念して、毎日新聞社と近代文学館主催で1日から13日迄,新宿伊勢丹で行われた。明治、大正、昭和三代に亘る近代文学100年の流れを図書、書簡その他の資料によつて捉えようとしたもので、関連する絵画、彫刻、挿絵、装幀等も数多く出品され、文学と絵画の関係を伝える上でも興味ある展観であつた。
印象派の先駆者で光と水の画家として古くから我国に紹介されながら、その作品がまとまつて展示されたのは今回が初めてである。油絵4点、水彩画62点、いずれも大英博物館所蔵の作品で、国際文化振興会、朝日新聞社主催のもとにブリヂストン美術館で21日から10月20日まで開かれたが、ターナーはもとより、従来イギリス近代美術の伝えられる機会が少なかつただけに意義ある展観であつた。
朝日新聞社主催で17日から22日迄日本橋高島屋で開催、代表作約50点を厳選しただけに充実した展覧会であつた。