白河郷合掌造り集落が世界遺産に

1995年12月

世界遺産の登録を審議するためドイツ・ベルリンで開かれているユネスコ世界遺産委員会は6日、岐阜県大野郡白河村と富山県東砺波郡平村、上平村に残る「白河郷、五箇山の合掌造り集落」を文化遺産として「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「古都京都の文化財」が登録されており、自然遺産を含めて国内6か所目の登録となった。 

芸術院新会員決定

1995年11月

日本芸術院(犬丸直院長)は17日、今年度の会員補充選挙を行い、あらたに6人を新会員に内定した。美術関係では洋画の織田広喜(81)、平松譲(81)、彫塑の長江録弥(69)が選ばれた。総会の承認後、12月15日付けで島村宜伸文相が発令する。

史跡指定

1995年11月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は24日、鳥取県淀江町の上淀廃寺跡など4件を新たに国の史跡に指定するよう島村文相に答申した。これで国の史跡指定は1371件となった。

メセナ大賞受賞者決定

1995年11月

企業や企業財団による優れた芸術文化支援活動を表彰する「メセナ大賞」’95(社団法人企業メセナ協議会主催)が決定。25都道府県から自薦、他薦116件の応募があり、美術関係では財団法人京都服飾文化研究財団による「モードのジャポニズム」展開催などの活動に審査委員特別賞が贈られ、育成賞にパルコの「URBANART」の開催、企画賞に三菱広報委員会のアジア子供アートフェスティバル開催が選ばれた。

米国セントルイス美術館で日本画の一世紀展開催

1995年11月

明治元(1868)年から百年間の日本画の展開を跡づける「NIHONGA-Transcending the Past」展が米国ミズーリ州のセントルイス美術館(The Saint Louis Art Museum)で4日から開催された(-12.31)。米国の日本画研究者が作品選定、構成にあたり、開催とともにシンポジウムも行われて「日本画」とは何かを国際的視野から問う好機となった。

サントリー学芸賞受賞者決定

1995年11月

第17回サントリー学芸賞(サントリー文化財団主催)の受賞者が、13日決定された。4部門7人の受賞者のうち、美術関係では芸術・文学部門で今橋理子『江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象』(スカイドア)が受賞した。

千葉市美術館開館

1995年11月

千葉市中央区に3日、千葉市美術館(辻惟雄館長)が開館(千葉市中央区中央3-10-80)。地下3階地上12階、塔屋1階の建物の3-5階が中央区役所、7階以上が美術館で、7、8階が展示室、9階が市民ギャラリー10階が図書室となっている。「千葉市を中心とした房総ゆかりの作家・作品」「近世以降の美術品」「現代美術」を収集の柱とし、開館記念展は大英博物館との共同企画による「喜多川歌麿展」(3-12.10)。

豊田市美術館開館

1995年11月

愛知県豊田市に11日、豊田市美術館(寺光彦館長)が開館(豊田市小坂本町8-5-1)。建物は地上3階地下2階、鉄筋コンクリート造りで延べ床面積は1120平方メートルで常設展示室7室、企画展示室1室のほか漆工芸の高橋節郎館、図書閲覧室、講堂、アトリエ等の諸施設を備えている。「一作家複数作品」をめざし、国内外の近現代美術を系統立てて収集、展示していく方針で、開館記念展は「デトロイト美術館所蔵:ヨーロッパ近代美術とアメリカ現代美術」(-1.7)。同館はデトロイト美術館と姉妹館提携を結んでおり、今後も情報交換、人的交流を推進していく。一般市民の美術館活動への参加を促すため準備室段階から一口千円の美術品購入基金を実施し、一般の寄付を仰いでいる点も注目される。

第7回世界文化賞受賞式開催

1995年10月

国境を越え、世界の平和と文化の発展に人生をささげた芸術の創造者たちをたたえる「高松宮殿下記念世界文化賞(プレミウム・インペリアーレ)」(財団法人日本美術協会主催)の第7回受賞式が26日、東京赤坂の明治記念館で行われ、絵画部門でフランスのマッタ(83)、彫刻部門でアメリカのクリスト夫妻(60)、建築部門でイギリスのレンゾ・ピアノ(58)が受賞した。

倫雅美術奨励賞受賞者決定

1995年11月

優れた美術評論や美術史研究および創作活動に贈られる倫雅美術奨励賞の第7回受賞者が決まり、美術評論・美術研究部門では世田谷美術館の勅使河原純(47)の『美術館からの逃走』(現代企画室)と東京国立近代美術館工芸館の樋田豊次郎(44)「素材の領分」展の企画とカタログ論文、創作活動部門では車季南(チャ・ケナム)(42)の「染織を通じての最近の創作活動」が選ばれた。顕呈式は12月4日、赤坂プリンスホテルで行われた。

植田正治写真美術館開館

1995年09月

砂丘を背景とする構成的な作品で知られる写真家植田正治の作品を保存、公開する「植田正治写真美術館」が23日、作家の郷里である鳥取県岸本町に開館(西伯郡岸本町須村353-3)。建物は国立公園大山の麓にあって高松伸の設計になり、鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積2800平方メートル。4展示室のほか映像展示室などを備え、作家から寄贈された約12000点の写真作品の保存、調査研究、展示公開を行っていく。開館記念展は「UEDA-CHO:植田正治、その変革なき変遷」展(23-3.24)。

文化財の時代範囲拡大への提言

1995年10月

近代の文化遺産の保存や活用のあり方を検討している文化庁の協力者会議(河合隼雄座長)は16日、「大正期以前に限定してきた文化財(建造物)の時代範囲の基準を、建築後半世紀を経過した建造物に改めるべきだ」とする報告書をまとめた。また、橋などの土木構造物も対象に加え、使用しながら保存するよう提言している。これにより、近代の文化財の指定、保存に新たな枠組みが提示されたこととなる。

中原悌二郎賞受賞者決定

1995年09月

国内の優れた彫刻作品に贈られる中原悌二郎賞の第26回目の受賞者は武蔵野美術大学教授の保田春彦(65)の「聚落(しゅうらく)を囲う壁Ⅰ」に、中堅・若手作家を対象とした中原悌二郎賞優秀賞は舟越桂(44)「唐突な山」に贈られることとなった。

世界遺産推薦大賞決定

1995年09月

文化庁は21日、世界的に貴重な自然・文化遺産を保護する世界遺産条約に基づく「世界遺産一覧表」への登録候補に広島市の原爆ドームと広島県宮島町の厳島神社の二件を推薦する事を正式に決定した。同日の文化財保護審議会で了承され、22日に関係省庁の連絡会議で協議したうえで、ユネスコの世界遺産委員会に伝えられ、1996年12月の同委員会で登録の可否が決定される。

あいつぐ「戦後50年」関連企画展

1995年08月

敗戦から半世紀を迎える今夏、美術界でもそれに関連する企画が相継いだ。東京都庭園美術館では12日より「終戦50年企画アメリカに生きた日系人画家たち」展が開かれ、大分県立芸術会館(10.25-11.19)、ひろしま美術館(11.25-1.28)に巡回したほか、沖縄県の浦添市美術館では「沖縄戦後美術の流れ」(2-27)、広島市現代美術館では「ヒロシマ以後-現代美術からのメッセージ」展(7.22-9.17)、郡山市立美術館では「ヒロシマ-21世紀へのメッセージ」展(12-9.17)神奈川県立近代美術館では「芸術の危機-ヒトラーと《退廃芸術》」展(13-9.24)、町田市立国際版画美術館では「戦争・人間展」(7.30-9.24)が開かれ、第二次世界大戦と戦後の美術を振り返り、再考する試みがなされた。 

武生市、佐伯祐三作品の公開中止

1995年09月

福井県武生市の小泉剛康市長は11日の定例市議会初日で、懸案となっている佐伯祐三の油彩画38点の公開を中止する旨を明らかにした。「夭折の天才画家」と言われる洋画家佐伯祐三(1898-1928)の未公開の作品、資料が、昨年、大量に発見され、その一部が武生市に寄贈されて、同市が計画している「佐伯祐三記念美術館(仮称)」所蔵作品として11月に一般公開される予定であったが、寄贈作品について疑問の点が多いとして、全点、寄贈者に返却されることとなったもの。

「メルシャン軽井沢美術館」開館

1995年07月

酒造会社メルシャンが所有する「軽井沢ウイスキー蒸留所」の樽貯蔵庫を改築した「メルシャン軽井沢美術館」(長野県北佐久郡御代田町大字馬瀬口)が23日に開館。床面積1330平方メートルの建物はフランスの建築家ジャン・ミッシェル・ヴィルモットの設計になり、元の建物を活かしたものとなっている。開館記念展はフランスのマーグ・コレクションからの出品を中心とする「ミロ、夢の迷宮」展(23-11.19)。

ペテルブルグミュージアム開館

1995年07月

北海道小樽市に27日、ペテルブルグミュージアム(今井千香子館長、小樽市色内1-3-1)が開館。株式会社丸井ディオスの運営になり、小樽市指定の歴史的建造物「旧小樽ホテル」の内部を改装して美術館としたもので、エルミタージュ美術館、国立ロシア美術館などサンクト・ペテルブルグ(旧レニングラード)の美術館博物館と提携し、これらの館の所蔵品を継続的に常設展示する。

文化庁「文化財公開施設の計画に関する方針」策定

1995年08月

近年、文化財公開施設の新設・増大、文化財公開事業などが活発に行われるようになったことに鑑み、文化庁文化財保護部は「文化財公開施設の計画に関する方針」を打ち出し、博物館等の文化財公開施設を計画する際の基本的な考え方や留意点を明確にした。文化財の維持・保存と公開・活用というあい矛盾する二者を調和させるためにかねてからそのよりどころとなる指針の提示が求められていたことに応え、立地条件、設計と施工などについて具体的な基本ラインが示されている。

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