原爆ドームと厳島神社が世界遺産に
1996年12月メキシコのメリダで開かれていた第20回世界遺産委員会は、日本が推薦していた広島市の原爆ドームと広島県宮島町の厳島神社を世界遺産に登録することを6日決定した。
メキシコのメリダで開かれていた第20回世界遺産委員会は、日本が推薦していた広島市の原爆ドームと広島県宮島町の厳島神社を世界遺産に登録することを6日決定した。
“具象絵画の芥川賞”として多数の人材を輩出してきた安井賞展(主催=財団法人安井曽太郎記念会、毎日新聞社、セゾン美術館)の第40回目の選考委員会が11日に開かれ、安井賞は柳田昭(48)の「水温む頃」、佳作賞は上川伸(37)の「THE WALL “Main Stream: type D”」、特別賞に安達博文(44)の「虹の境界」に贈られることとなった。なお、同展は、具象に限定したコンクール展が現在の美術動向にそぐわないとの声も強まり、記念会理事会が「(同展は)すでにその使命を達成した」として、平成9年開催の第40回で幕を閉じることが11月15日に発表されている。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は15日、東京大学の安田講堂、小岩井農場本部事務所など119件の建造物を登録文化財とするよう小杉隆文相に答申した。主に近代以降の建築物の保護のため、10月施行の改正文化財保護法で新設された文化財登録制度を適用した初答申となった。
日本芸術院(犬丸直院長)は22日、今年度の会員補充選挙を行い、あらたに9人を新会員に内定した。美術関係では洋画の奥谷博(62)、彫塑の橋本堅太郎(66)が選ばれた。総会の承認後、12月15日付で小杉隆文相が発令する。
美術展のカタログを収集する専門図書館「アートカタログ・ライブラリー」が14日、東京・赤坂に開館した。収集されたカタログは開館時点で約2800冊。平成7年度以降に国内で開催された展覧会カタログと美術館の収蔵品カタログが中心。
優れた美術評論や美術史研究および創作活動に贈られる倫雅美術奨励賞の第8回受賞者が決まり、美術評論・美術研究部門では仙台市博物館の内山淳一(37)の『江戸の好奇心-美術と科学の出会い』(講談社)と東京大学大学院の高階絵里加(31)の「パリ時代の山本芳翠」(『近代画説』4号)、創作活動部門では吉沢美香(37)の「個展を中心にした最近の創作活動」が選ばれた。贈呈式は12月3日、赤坂プリンスホテルで行われた。
第18回サントリー学芸賞(サントリー文化財団主催)の受賞者が、6日決定された。4部門9人の受賞者のうち、美術関係では芸術・文学部門で飯沢耕太郎『写真美術館へようこそ』(講談社)が受賞した。
奈良・東大寺の戒壇院が創建以来、三度焼失していたことが発掘調査で確認された。調査している県立橿原考古学研究所が11日発表したもので、天平勝宝6(754)年に鑑真が戒律を授けた創建当時の基壇や三層の火災の焼土面、瓦、石列などが見つかった。
和歌山県田辺市に1日、田辺市立美術館(下口弘館長)が開館した(和歌山県田辺市新庄町3588-1)。同市出身の収集家、脇村礼次郎より寄託されたコレクションをもとに、紀州の文人画を中心とした近世・近代の文人画、郷土ゆかりの作家などを収集・展示する。地上一階で延べ床面積は約1580平方メートル。
島根県浜田市に1日、おもに子どもを対象に特色ある作品収集や展覧活動を行う美術館として浜田市世界こども美術館が開館した(島根県浜田市野原町859-1)。7100平方メートルの敷地に建てられた建物は、「日本海に漂う創造と美の船」をイメージした高松伸の設計により、延べ床面積約3600平方メートルの五階建て、四・五階に四つの展示室を持つほか、三階には多目的ホールと映像コンピュータ室、入口階の二階にミュージアムショップ、事務室など、一階に三つの創作室と図書室を備えている。開館記念展は「こどものためのパウル・クレー展」(1~97.1.26)。
仙台市の富沢遺跡で昭和63年3月、地表下5メートルに2万年前の森と人類の活動の痕跡が発見されたため、その遺跡を800平方メートルにわたって地下にそのまま保存展示する「地底の森ミュージアム」(正式名称・仙台市富沢遺跡保存館、宮城県仙台市太白区長町南4-3-1)が2日に開館した。敷地面積14263平方メートル、地上1階・地下一階、延床面積2743平方メートルで発掘の状態のままで展示する地下常設展示室のほか復元された氷河期の森を散策できる野外展示等、遺跡の保存、活用にあらたなかたちを示して注目された。
今年度の文化勲章受章者5名と文化功労者15名が25日、政府から発表された。美術関係では陶芸の浅蔵五十吉(83)、洋画の伊藤清永(85)、服飾デザインの森英恵(70)が文化勲章受章者に、写真の石元泰博(75)、書・書教育の上条信山(89)、洋画の難波田竜起(91)、日本画・古画再現の守屋多々志(84)、彫刻の柳原義達(86)が文化功労者に選ばれた。
中国南宋時代末期から元時代初期にかけて活躍し、日本の水墨画に多大な影響を及ぼした禅僧、牧谿の日本に現存する作品を初めて一堂に集めた「牧谿-憧憬の水墨画」展が26日から五島美術館で開催された(~11.24)。新出作品・模本を含めた展観に加え、図録も伝来作品の図版一覧や資料編を充実させるなど、日本の水墨画研究に大きく寄与する企画となった。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は18日、国の史跡に青森市の三内丸山遺跡など8件、重要文化財に三重県四日市市の四日市旧港港湾施設など3件、天然記念物2件、重要伝統的建造物群保存地区(町並み保存地区)2件の指定・選定を奥田幹夫文相に答申した。また、答申は東京都港区の旧新橋停車場跡の史跡指定範囲を大幅に拡大するよう求めた。
黒田清輝らが中心となり、明治の日本美術に新風を吹き込んだ白馬会の結成100年を記念して「白馬会-明治洋画の新風」展が19日からブリヂストン美術館で開催された(~11.28)。白馬会の回顧展としては空前の規模であり、その全貌をうかがう恰好の機会となった。本展はブリヂストン美術館で終了後、京都国立近代美術館、石橋美術館に巡回した。
14日、山口県萩市に山口県立萩美術館・浦上記念館(足立明男館長)が開館(山口県萩市平安古586-1)。同館は浮世絵コレクターとして有名な浦上敏朗のコレクションを核に、同じく日本美術コレクターのフェリックス・チコチンによるコレクションも加えた、全国でも有数の浮世絵美術館となる。建物は地下一階、地上二階で、七つの展示室のほかに美術図書室、ビデオコーナー、ミュージアムショップなども設けられている。開館記念展は「蒐集家浦上敏朗の眼 館蔵名品展」(14~12.23)
15世紀後半から幕末まで約400年にわたって最大の画派であり続けた狩野派の始祖正信と、大成者元信の時代に焦点をあてた「室町時代の狩野派-画壇制覇への道」展が、15日から京都国立博物館で開催された(~11.17)。新出資料を含めて室町時代の狩野派の作品が網羅的に展示され、従来の狩野派展とは異なる新鮮さが評価された。
茨城県鹿嶋市の鹿島神宮の境内の大杉が22日の台風17号の強風で倒れかかり、国指定重要文化財の仮殿が傾き、東神門も全壊した。仮殿は元和4(1618)年の建築。東神門は昭和15(1940)年に建てられたもの。
国際交流基金の主催によりパリ日本文化会館の開館記念事業の一環として17日からパリのグラン・パレで興福寺展が開かれた。国宝、重要文化財34件を含む寺宝47件を展観するもので、海外に日本の仏教文化を紹介する好機となった。
19日、やきものの祭典「世界・?(ほのお)の博覧会」が開幕。佐賀県を中心に、福岡県、長崎県が県内の産地の特色を生かしながら参加した。世界から国宝級の陶磁器を集めて展示した「文明とやきもの展」、人間国宝ら現代の名匠の作品による「現代陶芸の精華展」等の企画展も行われた。