日本学士院新会員決定

2003年12月

日本学士院(長倉三郎院長)は、12月12日、会員の補充選挙を行ない新会員6人を選定したことを発表した。会員は学術上優れた業績を上げた研究者が選ばれ、第一部人文科学では、狩野派障屏画の独創的研究による成果を上げた美術史家武田恒夫(78)が選出された。今回の補充で、会員は139人(定員150人)となった。

第15回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2003年12月

新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第15回目の受章者が決定した。「美術評論部門」では、小沢節子『「原爆の図」描かれた<記憶>、語られた<絵>』(岩波書店)、「美術史研究部門」では木村理恵子(栃木県立美術館)「ダンス!20世紀初頭の美術と舞踏」展の企画及びカタログ内の論文が対象となった。授賞式は、12月1日、東京・赤坂プリンスホテルで行なわれた。 

第9回重森弘淹写真評論賞受賞者決定

2003年11月

国内で唯一の写真評論賞で、写真評論家重森弘淹の業績を称えて設立された同賞(重森弘淹顕彰会)の第9回の受賞者に、今橋映子『<パリ写真>の世紀』(白水社)が決定した。授賞式は、11月23日、東京綜合写真専門学校で行なわれた。

日本芸術院新会員決定

2003年12月

日本芸術院(犬丸直院長)は、12月1日、新会員9人を発表した。第一部(美術)では、洋画家塗師祥一郎(71)、陶芸家今井政之(72)。現在の定員120人に対して、今回の補充により会員数は112人となった。

登録有形文化財の答申

2003年11月

文化審議会(高階秀爾会長)は、11月21日、明治村帝国ホテル中央玄関(愛知県犬山市)をはじめとする170件の建造物を登録有形文化財に新たに登録するよう、河村健夫文部科学大臣に答申した。これにより登録累計は、3,899件となった。

第24回ジャポニスム学会賞受賞者決定

2003年11月

ジャポニスム学会(高階秀爾会長)は、第24回の同会賞を美術史家松村恵理『壁紙のジャポニスム』(思文閣出版)に決定した。授賞式は、11月22日、東京・恵比寿の東京都写真美術館で行なわれた。

第25回サントリー学芸賞受賞者決定

2003年11月

サントリー文化財団主催の同賞の受賞者が、11月6日に発表された。「芸術・文学部門」では、飯島洋一(多摩美術大学助教授)『現代建築・アウシュヴィッツ以後』(青土社)、宮崎法子(実践女子大学教授)『花鳥・山水画を読み解く-中国絵画の意味』(角川書店)が選出された。贈呈式は、12月10日、東京・丸の内の東京会館で行なわれた。

「大見世物」展開催

2003年11月

江戸時代後期から明治初期にかけて、浅草をはじめとする庶民の盛り場において、興行としておこなわれた見世物を見なおそうとするユニークな展覧会が、11月1日からたばこと塩の博物館で開催された。内容は、「浅草と両国-見世物の空間」、「籠細工」、「生人形」、「菊細工」、「細工見世物の世界」、「軽業・曲芸」、「動物見世物」等、刷り物だけではなく、一部その再現をしながら展示し、260余点によって幅広く当時の庶民文化を検証する試みとなった。(会期、12月14日まで。)

秋の褒章受章者

2003年11月

政府は、11月2日付けで秋の褒章受章者846人と5団体を発表した。美術関係では、紫綬褒章に、版画家中林忠良(66)、劇画家さいとう・たかを(67、本名斎藤隆夫)、写真家富山治夫(68)、木工芸作家中川清司(61)、美術家荒川修作(67)美術史家若桑みどり(67)が選ばれた。

第15回国華賞受賞者決定

2003年10月

日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。國華賞には、安藤佳香『仏教荘厳の研究-グプタ式唐草の東伝-』(中央公論美術出版)が、同奨励賞には、猪熊兼樹「春日大社蔵『沃懸地螺鈿毛抜形太刀』の意匠に関する考察」(『仏教芸術』266号、平成15年1月)が選ばれた。贈呈式が、10月23日に朝日新聞社東京本社で開催された。

文化勲章、文化功労者決定

2003年10月

政府は、10月28日、平成15年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。美術関係では、日本画家加山又造(76)が文化勲章を受章。また、建築家安藤忠雄(62)、写真家田沼武能(74)が文化功労者に選ばれた。

第13回吉田秀和賞受賞者決定

2003年10月

芸術の評論を対象にした第13回の同賞(吉田秀和芸術振興基金主催)の受賞者が、10月21日に岡田温司『モランディとその時代』(人文書院)に決定した。授賞式は、11月22日、水戸市の水戸芸術館で行なわれた。

第15回世界文化賞

2003年10月

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、日本美術協会主催)の第15回授賞式が、10月23日、東京、元赤坂の明治記念館で行なわれた。美術関係の受賞者は、絵画部門ではブリジット・ライリー(72、イギリス)、彫刻部門ではマリオ・メルツ(78、イタリア)、建築部門ではレム・コールハーツ(58、オランダ)が選ばれた。

建造物の重要文化財指定

2003年10月

文化審議会(高階秀爾会長)は、10月17日、旧日光田母沢御用邸(栃木県日光市)をはじめ14件を重要文化財に指定するよう河村建夫文部科学大臣に答申した。これにより、国宝を含む建造物の重要文化財は2,250件(3,844棟)となった。

森美術館開館

2003年10月

東京都港区の複合総合施設六本木ヒルズ内に、同美術館が、10月18日に開館した。美術館は、53階建ての高層ビルの52、53階に設けられ、総床面積7,284平方メートル、ギャラリー総面積2,875平方メートル。開館記念展として、「ハピネス:アートにみる幸福への鍵」展を開催した。(会期、平成16年1月18日まで。)

神奈川県立近代美術館葉山館開館

2003年10月

10月11日、神奈川県立近代美術館の本館となる葉山館が開館した。施設は、地上2階、地下2階、延床面積は7,111平方メートル、4室ある展示室の総面積は1,297平方メートル。鎌倉館にはなかった図書室、講堂、ミュージアムショップ、レストラン等が設けられた。民間の資金、経営ノウハウを活用することを目的に、国内の美術館としては初めてPFI(プライヴェート・ファイナンス・イニシアチブ)方式がとられ、施設の建設、維持管理、運営など事業に民間会社があたった。開館記念展は、収蔵品170点で構成された「もうひとつの現代」展が開催された。(会期、平成16年1月25日まで。)

「浮世絵 大武者絵展」開催

2003年10月

浮世絵版画における近世初期から明治期までの武者絵に焦点をあて、その展開をたどろうとする展覧会が、10月11日から町田市立国際版画美術館にて開催された。内容は、「第一部 浮世絵武者絵の流れ」、「第二部 太閤記の世界」の2部構成で、特に第一部では、元禄時代の墨摺り浮世絵から明治期までの武者絵360余点によって回顧しており、初めての試みとして注目された。また第二部でも江戸時代には禁制であった「太閤記」を主題にしながら、その表現の変容を80余点の作品によってたどろうとする意欲的な試みであった。(会期、11月24日まで。)なお、同年4月8日から、「武者絵 江戸の英雄大図鑑」展が渋谷区立松濤美術館で開催され、同展は、義経、弁慶、曽我兄弟等を題材にした武者絵、錦絵、絵馬、凧絵などによって構成され、同じテーマながら前記展覧会とは異なった試みをしていた。(会期、5月18日まで。)

登録有形文化財の答申

2003年09月

文化審議会(高階秀爾会長)は、9月19日、明治村北里研究所本館(大正4年建築、愛知県犬山市)をはじめとする建造物134件を登録有形文化財にするよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより建造物の登録有形文化財は、累計3,729件となった。

第21回平櫛田中賞受賞者決定

2003年09月

彫刻家平櫛田中の百寿を記念して、国内の彫刻界の振興を目的に設立された同賞(岡山県井原市主催)の第21回の受賞者に、籔内佐斗司(50)が決定した。9月25日、東京で授賞式が行なわれ、9月24日から30日まで日本橋高島屋で受賞記念展が開催された。

「肉体のシュルレアリスム 舞踏家土方巽抄」展開催

2003年10月

現代舞踏のなかでユニークな位置を占め、舞踏界のみならず同時代の美術家、写真家、文学者等に刺激を与えつづけた土方巽(1928~1986)の残したドキュメントを展示した展覧会が、10月11日より川崎市岡本太郎美術館で開催された。会場では、土方と関連した美術作品とともに、写真、自筆原稿、舞踏譜、舞台美術、ポスター、資料等が展示され、あわせて当時の映像とともに、舞踏の公開レッスンやパフォーマンスが上演され、「舞踏」創造の跡を検証しようと試みられた。(会期、平成16年1月12日まで。)

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