登録文化財(有形)答申
2006年12月文化審議会(阿刀田高会長)は8日、大阪市の展望タワー「通天閣」など58ヶ所151件の建造物を新たに有形文化財に登録するよう伊吹文明文部科学相に答申した。登録有形文化財の建造物は計6066件となる。
文化審議会(阿刀田高会長)は8日、大阪市の展望タワー「通天閣」など58ヶ所151件の建造物を新たに有形文化財に登録するよう伊吹文明文部科学相に答申した。登録有形文化財の建造物は計6066件となる。
マンガ文化を調査・研究し世界に発信する日本で初めての総合的なマンガ博物館となる「京都国際マンガミュージアム」(京都市中京区烏丸通御池上ル)が25日に開館。開館展は約20万点の収蔵品の中から、日本で最初のマンガ雑誌で河鍋暁斎、仮名垣魯文が明治7年に発行した「絵新聞日本地」から「ドラえもん」の海外版まで1000点以上を展観する「世界のマンガ展」(07年1月28日まで)。同館は廃校となった龍池小学校の校舎を改増築し、京都市と京都精華大学との共同事業として設立、運営される。マンガの収集、保管、展示およびマンガに関する調査研究を行い、博物館と図書館の機能を併せ持つ。
日本芸術院(三浦朱門院長)は1日、芸術上の功績が顕著であるとして、新会員6名を決定した。美術関係では日本画家・岩倉寿(70)、川崎春彦(77)、洋画家・村田省蔵(77)、彫刻家・能島征二(64)、書家・古谷蒼韻(本名・繁、82)が選ばれた。
奈良県明日香村の特別史跡、キトラ古墳の極彩色壁画の剥ぎ取りは一時中断していたが、文化庁は16日、新たに開発した「ダイヤモンドワイヤソー」を使った剥ぎ取りに着手した。
美術評論家河北倫明が創設し、若手や中堅の優れた美術評論、美術史研究に対して贈られる倫雅美術奨励賞(主催・公益信託倫雅美術奨励基金)の第18回目の受賞者に石橋美術館主任学芸員の植野健造(『日本近代洋画の成立 白馬会』(中央公論美術出版)に対して)、府中市美術館学芸員の金子信久(「亜欧堂田善の時代」展(府中市美術館)の企画と図録の論文に対して)が選ばれた。
西洋美術振興財団(高階秀爾理事長)が財団賞を新設し、その第1回顕彰式が22日に行われた。個人賞の「学術賞」は2004年に国立西洋美術館で開催された「マティス展」を担当した同館主任研究員の田中正之および御茶ノ水女子大学助教授の天野知香、2005年から06年にかけてポーランドなど中東欧4カ国の現代美術を紹介した「転換期の作法」展を担当した岡村恵子・東京都現代美術館学芸員、加須屋明子・国立国際美術館主任研究員、出原均・元広島市現代美術館学芸員に贈られた。団体賞である「文化振興賞」は「ヴィルヘルム・レームブルック展」(2003~04年)を全国5館で開催した美術館連絡協議会(酒井忠康理事長)に贈られた。
今日では規制の枠組みとなってしまっている日本画と洋画のジャンルの境界に位置する作品を幕末から昭和期まで跡づけ、西洋文化の受容と日本の造形的特色の継承との間で揺れ動いた日本近代の足跡を絵画にひきつけて展観する「揺らぐ近代―日本画と洋画のはざまに」展が、東京国立近代美術館で7日から開催された(~12月24日、その後、2007年1月10日~2月25日まで京都国立近代美術館で開催)。第一章「狩野芳崖・高橋由一―日本画と洋画の始まり」、第二章「明治絵画の深層―日本画と洋画の混成」、第三章「日本絵画の探求―日本画と洋画の根底」、第四章「日本画の中の西洋」、第五章「洋画の中の日本画」、第六章「揺らぐ近代画家たち―日本画と洋画のはざまで」の構成で、1990年代から盛んになった日本画、洋画というジャンルの確立の美術史的跡づけに、作品による再検討を促す展観となった。
サントリー文化財団は8日、第28回サントリー学芸賞受賞者を発表した。美術関係では芸術・文学部門で鈴木禎宏『バーナード・リーチの生涯と芸術―「東と西の結婚」のヴィジョン』(ミネルヴァ書房)、竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』(講談社)が選ばれた。贈呈式は12月11日、東京丸の内の東京會舘で行われる。
文化審議会(阿刀田高会長)は27日、現存最古の全面ガラス張り温室「名古屋市東山植物園温室前館」ほか8件の建造物を重要文化財に指定し、和歌山県の湯浅町湯浅地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定するよう、伊吹文明文部科学相に答申した。これで建造物の重要文化財は2306件(うち国宝は213件)4147棟、重要伝統的建造物群保存地区は全国で79地区となる。
室町時代に山口の大内氏のもとで活躍し、後世、多くの画家たちにその画風を慕われた雪舟の没後500年を記念する展覧会が、山口県立美術館で1日から30日まで開催された。同美術館が開館当初から進めてきた雪舟とその周辺についての調査・研究の成果を反映し、作品を編年的に展示する一方、雪舟が訪れた場所に注目し、移動によって画風を育んだ一面を浮かび上がらせた。また、同展を契機に通常の展覧会図録とは別に雪舟研究の現状を反映した研究資料『雪舟等楊―「雪舟への旅」展研究図録』が刊行された。
政府は27日、2006年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。美術関係では日本画家・大山忠作(84)が文化勲章受章者に、建築家・黒川紀章(72)、舞台美術家・朝倉摂(84)が文化功労者に選ばれた。
日本および東洋の美術に関する優れた研究成果に対して国華賞顕彰基金から贈られる国華賞の第18回目の受賞対象は須藤弘敏の「転写と伝承―延暦寺銀字本・仁和寺本系紺紙法華経について―」(『国華』1319号、平成17年9月)、根立研介の『日本中世の仏師と社会―運慶と慶派・七条仏師を中心に―』(塙書房、平成18年5月)に決まった。贈呈式は25日、東京築地の朝日新聞社で行われた。
独立行政法人国際交流基金が、学術、芸術などの文化活動を通じて日本に対する海外の理解もしくは日本人の対外理解を深め国際相互理解、国際交流に貢献したと認められる個人、団体に贈る国際交流基金賞および同奨励賞の受賞者が決定した。国際交流基金賞に伊藤若冲をはじめとする江戸時代の日本絵画を収集し、1980年に財団法人心遠館を設立、88年にはロスアンジェルス・カウンティ美術館の日本館設置に際し、資料を提供したほか、コレクションの一部を寄託したジョー&悦子プライス夫妻が選ばれた。本年、夏に東京国立博物館で開催され、各地へ巡回している「プライスコレクション―若冲と江戸絵画」展が開かれている折の受賞となった。
奈良時代後半に制作された唐招提寺の木彫像を契機としてさかんになった一木彫の仏像を、江戸時代の円空、木喰による像まで国宝4点、重要文化財36点を含む65点の作品で跡づける「仏像 一木にこめられた祈り」展が3日から東京国立博物館で開催された(~12月3日)。第一章「檀像の世界」、第二章「一木彫の世紀」、第三章「鉈彫」、第四章「円空と木喰」の編年的構成で、神木や霊木といった木の霊性や量感、彫るという造形手法の特質を活かした像が多数出品され、木を素材として礼拝対象をつくる我国の造形の一面が浮彫にされた。
天台宗の開祖最澄が自らのもたらした新しい仏教、天台を護る神として崇めた日吉山王への信仰とその広がりを物語る日吉山王曼荼羅図の諸相を中心に紹介する展覧会が、天台宗開宗1200年を記念して大津市歴史博物館で7日から開催された(~11月19日)。日吉神は比叡山延暦寺を守護すると考えられて幅広い信仰を受け、その祈りの対象として多様な日吉山王曼荼羅が生み出されてきたが、本展はそれらの作例の所在を日吉大社の膝下である坂本を中心に調査し、これまで知られてこなかった作品を紹介するとともに、多様な作例から天台における神と仏の関係を探ろうとする意欲的な試みとなった。
弘法大師空海が大陸から帰朝して今年が1200年目に当たるのを記念して、古来、大陸との交流の窓口となった太宰府、博多周辺を中心に、九州北部の仏像を展観する「空海と九州のみほとけ」展が福岡市博物館で9月15日から開催された(~10月29日)。第一章「古代寺院と入唐僧」、第二章「海と山のみほとけ」、第三章「雅なる仏たち」、第四章「蒙古襲来と九州」、第五章「大陸との交流」、第六章「九州の弘法大師信仰」の構成で、空海のもたらしたものに焦点を当てながら、大陸からの外来文化を九州北部の自然環境や文化的風土がどのように受容したかを、古代から近代まで概観する展観となった。
備中鴨方藩士の子として生まれ、藩務につきつつも書画、琴をよくし、50歳で脱藩して自ら好むところに生きた浦上玉堂(1745―1820)の画業を編年的に展観する展覧会が岡山県立美術館で29日から開催された(10月29日まで)。書、画譜やその草稿、玉堂作成になる七絃琴なども出品され、孤絶とされる玉堂の世界を総合的にとらえる機会となった。同展はその後、千葉市美術館(11月3日~12月3日)に巡回した。
文化審議会(阿刀田高会長)は15日、機那サフラン酒製造本舗土蔵(新潟県長岡市)、沼田家住宅旧りんご倉庫(札幌市)など66ヶ所139件の建造物を新たに登録有形文化財とし登録するよう小坂憲次文部科学相に答申した。これで登録有形文化財(建造物)は計5926件となる。
奈良県明日香村の特別史跡・高松塚古墳壁画の保存について、石室を取り出して解体修理を行う方法が適当であるとの方針が昨年度、決定されている。文化庁は14日、石室内部を報道公開して劣化状況などの取材に応じ、15日には文化審議会が石室解体や発掘に伴う古墳の現状変更を承認して石室解体が正式に認められた。10月2日から発掘調査を開始し、2007年3月から約2ヶ月間で石室を解体する予定。
3年前の地方自治法改正で提示された美術館・博物館を含む「公の施設」の管理運営を民間業者に任せる「指定管理者制度」導入は、今年9月から本格的に施行される。横浜市では昨年6月中田宏市長が横浜美術館、みなとみらいホール、横浜芸術センター「横浜にぎわい座」、横浜能楽堂など4施設も個別に公募形式で指定管理者を選定する方針を打ち出し、1月中旬には応募企業・団体を公開、5月下旬には横浜市芸術文化振興財団が優秀提案者に決まるなど、地方自治体の大型館でも導入が具体化している。本来営利を目的としない美術館・博物館の業務に同制度が適するか、議論が高まっている。