国立近代美術館休館
1957年12月国立近代美術館では増築工事のため、今月より明年三月まで休館することになつた。
国立近代美術館では増築工事のため、今月より明年三月まで休館することになつた。
日本経済新聞社では三日から一五日まで日本橋高島屋に於いて、アジア・アフリカの歴史の中で興亡した諸文明と、その時代の特色を示す美術品を集めて一般に公開した。
七月下旬から一一月上旬まで、イタリヤ、ミラノで開かれたトリエンナーレ国際工芸展で日本の河井寛治郎作品「扁壺」がグランプリを獲得した。なおその他でも金賞に鈴木表朔「湯筒」、川上治助「二月堂お盆」、渡辺力「陶器腰掛」、銀賞丸和商店「土びん」。インダストリアル・デザイン銀賞柳宗理、展示室構成銀賞板倉準三等によるトリエンナーレ展会場構成等がある。
宮内庁では、宮内庁三階の改修成つた皇居仮宮殿の装飾用置物と、我国の伝統的美術工芸を保護奨励する意味から重要無形文化財保持者とこれに準ずる作家の作品を採用することになり二九日その氏名を発表した。 陶芸-石黒宗麿、今泉今右衛門、加藤土師萌、楠部弥一、近藤悠三、酒井田柿右衛門、清水卯一、富本憲吉、磯井如真、音丸耕堂、黒田辰秋、高野松山、田所芳哉、松田権六 金工-鹿島一谷、香取正彦、二橋美衡 人形-鹿児島寿蔵、堀柳女
東京国立博物館では明年欧州各地で開催される日本古美術展の発送が迫つたので、歓送のいみをかねて出品物の特別展を三〇日から一二月五日まで開催した。
昭和三二年度朝日広告賞第一部作品の入選が決定し、二三日発表された。 新聞広告用デザイン、朝日広告賞(賞金三〇万円)島田光雄(日本電建)、準朝日広告賞(賞金各五万円)岩永泉(寿屋)、青野健、内藤京-神戸市の合作(中央公論社)、河口恭一郎、川崎智生-守口市の合作(福助足袋) 広告写真、朝日広告賞(賞金三〇万円)藤田圭一(花王石鹸)、準朝日広告賞、(賞金各五万円)海老原一雄(第一生命)、海老原正子(森永乳業)、吉田秀也(第一生命)
美術文化協会を脱退した岩間正男、浅利篤らの会員を中心に、広く作家の参加をもとめて、新象作家協会が創立された。
文化財保護委員会では二二日、建造物四、彫刻二、工芸品七、書跡三、考古一の新国宝と重文一七八の指定を決定した。今回の国宝には奈良と鎌倉の二大仏が含まれている。
昨年一二月設定された安井賞(三二年度版参照)の選考委員会が、一四日国立近代美術館で開かれ、第一回の受賞作品は春陽会々員田中岑「海辺」と決定した。なお授賞式は故人の命日である一二月一四日に行われた。
日展参加団体である新世紀美術協会では、その会員の一部である田沢八甲、長屋勇、横山義雄らは日展審査の不明朗を理由に脱退した。新らたに同志と新協美術会を結成して同月第一回創立会を開催した。
日本経済新聞社では五日から一七日まで日本橋三越に於て蕪村の名品約六〇点を陳列展観した。
一一日の衆議院文教委員会でさきに日展問題等を追求した社会党高津正道委員から今度国立近代美術館の経理につき追求があり、報道関係にも取上げられるところとなつた。しかし調査の結果は経理上の不正は事実無根なることが分り、一四日の同委員会で、文部省当局によりさきの発言を全面的に否定する釈明を行つた。
毎日新聞社主催の第二五回産業美術振興運動「一九五七年商業デザイン作品募集」による入賞が決定し、三日発表された。 受賞次の通り A部門(新聞広告デザイン)総理大臣賞状並に毎日広告賞(渡欧または賞金五〇万円)明治製菓、岩永泉(デザイン)直江玲子(文案) B部門(ボスター、デザイン)通産大臣賞状並に毎日広告賞(賞金二〇万円)太陽製菓、工藤恵 C部門(コマーシャル・フォト)通産大臣賞状並に毎日広告賞(賞金二〇万円)キスミー本舗、早崎治
明三三年六月イタリア、ベニスで開かれる第二九回ビエンナーレ国際美術展に、日本の代表作家を選考する国際美術協議会が、四日外務省で開かれ、次の六名が決定した。 絵画-岡田謙三、福沢一郎、前田青邨、川端竜子 彫刻-木内克、辻晋堂
東寺と朝日新聞社の共催により一日から一九日まで東寺名宝展を開催した。今秋行つた秘宝調査の成果と、従来国宝重文に指定されたものを併せ陳列し一般に公開したものである。
第一一回毎日出版文化賞は、一一点の入賞が決り発表されたが、三日同社で贈呈式が行われ著者に賞金五万円、出版社に賞牌が贈られた。美術関係では谷口吉郎著、佐藤辰三写「修学院離宮」(毎日新聞社)がある。
池上本門寺の五重塔は東京都内で一番古い五重塔であるが、元禄一二年現在地に移してから右に傾いていた。木造部分の腐朽がひどくなつたため、国庫の補助をえて各層屋根瓦、匂欄、扉の取替などの修理を行うことになつた。
政府は本年度紫綬褒章受章者二〇名を二九日の閣議で決定発表した。同章は学術、芸術の分野で功績のあつた者に贈られ、美術関係受章者は左の通りである。 大浦徳太郎(建造物修理)、関靖(文化財保存業務)、田中良(舞台美術)、長谷川源次郎(歌舞伎舞台装置)、藤村新治郎(仏師)
東京国立博物館では二三日から一一月二四日まで、鎌倉室町時代の総合展として、中世文化の粋三〇〇余点を集めた中世美術展を開催した。
日本ユネスコ国内委員会主催による東西文化交渉史の国際シンポジウムが、二八日東京神田の中央大学会館で開かれた。これは昨年一一月、印度のニューデリーで開かれたユネスコ第九回総会で、一〇カ年計画として東西両文化の相互影響を解明する事業として決議されたもので、その第一回の国際会議が開かれたわけである。会期は二八日から三一日まで同大学、一一月四、五両日京都大学を会場とし、二〇カ国一三〇人の学者がそれぞれ研究発表と討論を行つた。