芸術院新会員決定
1983年11月日本芸術院(院長有光次郎)は22日、58年度会員補充選挙の開票を行い、新会員11名を内定した。美術関係では洋画の田村孝之介、彫塑の進藤武松、書の青山杉雨が選ばれ、12月15日付で文部大臣から発令される。
日本芸術院(院長有光次郎)は22日、58年度会員補充選挙の開票を行い、新会員11名を内定した。美術関係では洋画の田村孝之介、彫塑の進藤武松、書の青山杉雨が選ばれ、12月15日付で文部大臣から発令される。
文化財保護審議会(会長小林行雄)は25日、建造物関係の国指定重要文化財として、長野県の諏訪大社拝殿、茨城県の善光寺楼門、大阪府の旧杉山家住宅を含む5件17棟を新たに指定するよう答申した。これで建造物重要文化財は1965件3174棟となった。
個性豊かな新鋭による独自の評論、研究に対して贈られるサントリー学芸賞受賞者が7日決定した。美術関係では小林忠著『江戸絵画史論』、増成隆士著『思考の死角を視る―マグリットのモチーフによる変奏』が選ばれた。
奈良県明日香村阿部山にある7世紀後半のキトラ古墳石室北面に玄武が描かれていたことが、10日明らかになった。高松塚古墳に次ぐ壁画の例として注目される。
3日東京都八王子市に東京富士美術館(館長宮島宗男)が、13日石川県金沢市に石川県立美術館(館長槻木慶雄)が、18日山口県下関市に下関市立美術館(館長財津永次)が開館した。いずれもゆったりしたスペースを持つ大型館で、東京富士美術館は「近世フランス絵画展」を皮切りに全世界との文化交流を目指し、石川県立美術館は地方色豊かな美術館を理想に掲げ「花鳥風月展」でスタート。下関市立美術館は同地出身の近代日本画家狩野芳崖の顕彰を柱に掲げており、開館展は「海・そのイメージと造形」展。
第37回毎日出版文化賞は本賞5点、特別賞4点に贈られ、美術関係では藤森照信著『明治の東京計画』が本賞を、現代彫刻懇談会編『世界の広場と彫刻』が特別賞を受賞した。
彫刻家・本郷新の業績を記念し、札幌彫刻美術館では、公共の広場や公園などにモニュマンとして設置された作品を対象とする「本郷新賞」を設立。同賞は隔年ごとで、来年2月に第1回選考が行なわれる。
福井県武生市の旧家に残っていた源氏物語の?風絵が、これまで源氏物語の大作としては最も古いとされていた狩野永徳の天正8年(1580)作の襖絵より2~30年遡る最古のものであることが、美術史家源豊宗ほかの調査により、17日までに明らかとなった。
57年度文化勲章受章者と文化功労者が21日の閣議で決まった。美術関係では洋画の牛島憲之、小磯良平、建築構造学の武藤清が文化勲章受章者に、日本画の上村松篁、彫刻の山本豊市、書の日比野五鳳が文化功労者に選ばれた。
昭和7年に宮内庁内匠寮営繕課によって設計されフランス人アンリ・ラパンによって内装されたアール・デコ風の旧朝香宮邸が1日、東京都庭園美術館として開館した。旧白金迎賓館に隣接し、広い庭園を持つ。運営は財団法人「東京都文化振興会」によっておこなわれ、開館展は「ピカソからジャスパー・ジョーンズまで――グッゲンハイム美術館展」。また、同日、写真家初の個人美術館である土門挙記念館が郷里山形県の酒田市宮野浦に開館。日本の写真界をリードしてきた土門の全作品を蔵し、日本初の本格的写真美術館として活動を始めた。8月には、佐賀県立美術館(館長野村綱明)が開館、同館は既存の県立博物館と接続して建設され二館一体化した運営法をとる。開館展は「近代・九州の洋画家たち展」。
空海開創とされ火伏せ大師として知られる東京足立区の西新井大師で、北斎最晩年の肉筆大作「弘法大師修法図」が見つかった。無落款だが、150×240糎の一枚すきの和紙に描かれた大作で、明治期の刊行書に掲載された後埋もれたままになっており、今回北斎研究家永田生慈の指摘によって明らかとなったもの。
1日第10回大仏次郎賞の選考が行なわれ、染色家志村ふくみによる『一色一生』が受賞作となった。
宇部野外彫刻展として知られる第10回の現代日本彫刻展が、1日から11月10日まで宇部市の常盤公園・野外彫刻美術館で開催され、大賞(宇部市賞)に岩城信嘉「風の譜」が選ばれた。
今年1月24日に死去した洋画家伊藤廉の業績をたたえるとともに新鋭画家の育成をめざして、「伊藤廉記念賞」が門下たちによりこのほど創設された。同賞は毎年、45歳以下の画家を対象として贈られる。
鎌倉時代初期の仏師快慶作の阿弥陀如来立像が、大阪府交野市傍示の融通念仏宗氷室山八葉蓮華寺で、同市から依頼を受けた京都国立博物館の調査によって発見された。保存状態が良好であり、台座、光背ともに当時のものである点が注目される。
昭和の資財帳づくりのため寺宝類の調査が行なわれている法隆寺で、未調査の宝物の中から24日までに、平安時代後期の「法華曼荼羅」をはじめとする貴重な文化財が、奈良国立博物館の調査で次々に明らかとなった。この「法華曼荼羅」は保存も極めてよく、同種のものとしては最古の部類に入る。
日米の文化交流の一環として、文化庁の主催による「絵巻物展」が、22日から11月6日までニューヨークのアジアソサエティー美術館で開催された。出品作品は、「餓鬼草紙」「一遍聖絵伝」など、国宝4件、重文21件ほか計31点。
神奈川県立近代美術館(館長匠秀夫)と三重県立美術館(館長陰里鉄郎)は、14日、資料収集・保管の相互協力、共通テーマの調査・研究、共同企画展開催などを骨子とする姉妹館提携を結んだ。近年急増した地方美術館の活動の充実が模索される中で、美術館連絡協議会などに次ぐ一策として注目される。
昭和42年に三岸家から作品寄贈を受けてスタートした三岸好太郎美術館(館長工藤欣弥)が、札幌市中央区北2条西15丁目に新築された建物に移り、1日オープンした。