第16回倫雅美術奨励賞受賞者決定
2004年12月新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第16回目の受賞者が決定した。「美術評論部門」では、「地平線の夢―昭和10年代の幻想絵画」展の企画及びカタログ中の論文により大谷省吾(35、東京国立近代美術館)に、「美術史研究部門」では「金色のかざり」展の企画及びカタログの論文により久保智康(46 、京都国立博物館)が選出された。授賞式は、12月10日、東京、赤坂プリンスホテルで行なわれた。
新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第16回目の受賞者が決定した。「美術評論部門」では、「地平線の夢―昭和10年代の幻想絵画」展の企画及びカタログ中の論文により大谷省吾(35、東京国立近代美術館)に、「美術史研究部門」では「金色のかざり」展の企画及びカタログの論文により久保智康(46 、京都国立博物館)が選出された。授賞式は、12月10日、東京、赤坂プリンスホテルで行なわれた。
大阪府吹田市の万博公園内にあった国立国際美術館(1977年開館、2004年1月18日に移転のため閉館)が移転し、11月3日に開館した(住所:大阪市北区中之島4-2-55)。新施設は、完全地下型で地下2階に常設展示室、地下3階に企画展示室4室があり、述べ床面積は、13,486平方メートル。開館記念展として「マルセル・デュシャンと20世紀美術」展が翌年12月19日まで開催された。
1954年に国際美術評論家連盟(AICA)の日本支部として設立された美術評論家連盟は、創立50周年を迎えて、その記念事業としてシンポジウム「日本の美術批評のあり方」を11月20日に開催した。(会場、東京国立近代美術館)。同連盟は、164人からなる。
日本芸術院(三浦朱門院長)は、11月29日、新会員4人を発表した。第一部(美術)では、洋画家山本貞(70)、彫刻家川崎普照(73)、同じく澄川喜一(73)、建築家岡田新一(76)が選ばれた。これにより、現在の定員120人に対して、今回の補充により会員数は110人となった。
政府は、11月3日付けで秋の褒章受章者816人と14団体を発表した。美術関係では、漆芸作家大西勲(60)、竹工芸作家藤沼昇(59)、版画家井田照一(63)、彫刻家小清水漸(60)、黒鉄ヒロシ(57、本名竹村弘)が選ばれた。
サントリー文化財団主催の同賞の受賞者が、11月8日に発表された。「芸術・文学部門」では、田中貴子(京都精華大学)『あやかし考―不思議の中世へ』(平凡社)、原研哉『デザインのデザイン』(岩波書店)が選出された。贈呈式は、12月14日に東京・丸の内の東京会館で行なわれた。
2003年3月に閉館した出光美術館跡(大阪市中央区南船場3-4-26出光ナガホリビル13階)を借り受け同美術館展示室を開設した。同美術館準備室では、すでに3,000点をこえるコレクションがあり、また同市北区中之島に16,000平方メートルの敷地を確保しているが、財政難から施設建設が遅れていた。そのため、美術館建設までの一時利用として同施設を活用し、コレクションを公開することになった。
日本画家東山魁夷の業績を称え、21世紀を担う日本画家を表彰するために2002年に創設された同大賞(日本経済新聞社主催)の第2回受賞者に、菅原健彦(42)「雲水峡」が選出された。11月1日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで贈呈式が開催された。同大賞作を含む入選作14点による展覧会が、12月12日までニューオータニ美術館で開催された。
日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。国華賞には、玉虫敏子『都市のなかの絵―酒井抱一の絵事とその遺響―』(ブリュッケ刊、2004年6月)と石松日奈子「雲岡中期石窟新論―沙門統曇曜の失脚と胡服供養者像の出現―」(『MUSEUM』587号、2003年12月)が選ばれた。贈呈式が、10月21日に朝日新聞社東京本社で開催された。
政府は、10月29日、平成16年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。美術関係では、日本画家福王寺法林(83)、篆刻家小林斗?(88)が文化勲章を受章。また、建築史家伊藤延男(79)、洋画家島田章三(71)、陶芸家大樋年朗(77)、日本古代文化研究者の中西進(75)が文化功労者に選ばれた。
文化審議会(高階秀爾会長)は、10月15日、長谷寺本堂(奈良県桜井市)を国宝に、作家太宰治の生家「旧津島家住宅主屋ほか」(青森県金木町)など12件の建造物を重要文化財に、ほかに2地区を重要伝統的建造物群保存地区に指定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。これにより、国宝を含む建造物の重要文化財は2,269件(3911棟)となった。
世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、日本美術協会主催)の第16回授賞式が、10月21日、東京、元赤坂の明治記念館で行なわれた。美術関係の受賞者は、絵画部門ではゲオルグ・バゼリッツ(66、ドイツ)、彫刻部門ではブルース・ナウマン(62、アメリカ)、建築部門ではオスカー・ニーマイヤー(96、ブラジル)が選ばれた。
「風景」を見つめ、表現した近代美術を概観した展覧会が、10月9日より横浜美術館で開催された。同展覧会は、「明るい窓:風景表現の近代」展(2002年2月)のシリーズの第2回にあたり、内容は「第1章 近代都市パリの形成と風景表現」、「第2章 帝都東京の成立と風景表現」、「第3章 ニューヨークと地方―アメリカ風景写真の展開」、「第4章 近代都市パリの成熟と『地方』への関心」、「第5章 帝都東京と作られた『地方』」、「第6章 大量殺戮と廃墟―第二次世界大戦末期の戦争風景」によって構成され、印象派以後の19世紀後半から戦争による惨禍までの「風景」表現を広範囲に、多面的にとらえた企画となった。(会期、12月12日まで。)
洋画家牛島憲之の画業を回顧しつつ、「昭和前期」の絵画表現を問い直す展覧会が、10月9日より府中市美術館で開催された。内容は、「植物」、「地形」、「大気と水」、「静物と人物」、「望郷と幻想」、「色彩と装飾」、「都市と建物」などのテーマを設け、洋画、日本画を問わず同時代の絵画表現の問題をモダニズムの意味と重ね合わせて検証する展覧会となった。(会期、11月28日まで。)
江戸時代初期に活動し、後に「浮世絵の開祖」とよばれ「伝説的な存在」となっていた岩佐又兵衛の実像に迫ろうとする展覧会が、10月9日より、千葉市美術館で開催された。国指定重要文化財の「人麿・貫之図」、「山中常盤物語絵巻」、「浄瑠璃物語絵巻」(以上、MOA美術館蔵)などの代表作をはじめ82点によって構成され、今日までの評価の変遷を加えた多角的な視点をもって展示された。(会期、11月23日まで。)
芸術の評論を対象にした第14回の同賞(吉田秀和芸術振興基金主催)の受賞者が決定され、10月8日、湯沢英彦著『クリスチャン・ボルタンスキー 死者のモニュメント』(水声社刊)が受賞したことが発表された。授賞式は、11月6日、水戸市の水戸芸術館で行なわれた。
石川県金沢市に金沢21世紀美術館が、10月9日に開館した。(運営は財団法人金沢芸術創造財団。住所、石川県金沢市広坂1-2-1。)施設は、外周約350メートルの総ガラス張り、地上2階、地下2階、展示面積2056平方メートル、妹島和世、西沢立衛の共同設計。開館記念展は、「21世紀の出会い―共鳴、ここ・から」展(会期、2005年3月21日まで)。
近世京都の狩野派とそれを巡る美術界の状況に焦点をあてた展覧会が、9月18日より京都文化博物館で開催された。同博物館は、1998(平成10)年に「京の絵師は百花繚乱―『平安人物志』にみる江戸時代の京都画壇―」展を開催しており、これに先立つ18世紀前半の京都の美術界を狩野派を中心に振り返ろうとする試みで、内容は第一部「近世京都の狩野派絵師たち」、第二部「狩野派と近世京都画壇」によって構成され、参考出品を含む90点によって検証された。(会期、10月24日まで。)
中国における考古学上の近年の成果としての発掘品と仏教美術の遺品によって構成された展覧会が、9月28日より東京国立博物館で開催された。同博物館は、2000(平成12)年にも、同国宝展を開催したが、今回は、「考古学の新発見」と「仏教美術」の2テーマに焦点をあてた企画となった。新石器時代から唐時代までの発掘品と後漢から北宋の時代までの仏教美術の作品、あわせて164点が出品された。(会期、11月28日まで。国立国際美術館を巡回。)
文化庁の調査研究委員会(座長、藤本強)は、国特別史跡キトラ古墳(奈良県明日香村)の壁画保存問題で、9月14日、同古墳内の壁画を全面的に剥ぎ取ることを決定し、結果を公表した。