日本芸術院新会員内定

2000年12月

日本芸術院(犬丸直院長)は、平成12年度の会員補充選考をおこない、新会員に7名を内定し、12月1日に発表、15日付けで発令した。第一部(美術)では、日本画の岩沢重夫(73)、洋画の庄司栄吉(83)が会員となった。

奈良そごう美術館閉館

2000年12月

経営破綻したそごう百貨店の再建計画が、10月25日に発表され、奈良そごう店が閉店することになった。これにともない、同百貨店に設けられていた同美術館(財団法人奈良そごう美術館運営、平成元年10月開館)は、最後の企画展「近代日本画、洋画展」(12月24日まで)終了をもって閉館した。 

世界遺産登録

2000年11月

オーストラリアのケアンズで開かれていたユネスコの世界遺産委員会で、11月30日、沖縄県の首里城跡など「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産(文化遺産)に登録されることが決定した。国内の世界文化遺産としては、前年の日光の社寺につづいて9件目となった。

「写された国宝―日本における文化財写真の系譜」展開催

2000年11月

写真技術の招来から、それぞれの時代で、どのように写真家が、文化財をとらえ、表現してきたかを検証する展覧会が、11月21日から東京都写真美術館で開催された。同展では、文化財を記録した横山松三郎の写真から、芸術表現にまで高めた現代の土門拳石元泰博、杉本博までの写真約190点で構成され、写真と文化財の関係を系譜としてとらえなおそうとした企画であった。(会期、平成13年1月28日まで。以後神奈川県立金沢文庫等に巡回。)

パリ日本館藤田作品修復終了

2000年11月

パリに日本人留学生用施設として、1929年に建てられた日本館に寄贈され、展示されていた藤田嗣治の作品「馬の図」、「欧人日本へ渡来の図」の二作品の傷みがはげしく、国際交流基金と日本の経済界の支援をうけて、7月からはじめられた修復作業が終了し、11月24日に関係者に公開された。

馬頭町広重美術館開館

2000年11月

歌川広重を中心とする青木藤作氏のコレクションの寄贈をうけ、栃木県那須郡馬頭町に同美術館が、11月3日に開館した。開館記念展として、「広重肉筆画名作展―青木コレクションを中心に」が開催された。美人画、名所絵、肖像画、画帖・下絵帖等の肉筆画を中心に約180点が展示された。(会期、12月3日まで。)

第12回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2000年11月

新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第12回目の受賞者が、11月7日に発表された。「美術評論部門」では、山野英嗣(京都国立近代美術館)の「日本の前衛」展の企画とカタログ中の論文に対して、「美術史部門」では、「ラファエル・コラン」展の企画及びカタログ中の論文を執筆したつぎの三名に贈られることが決定した。三浦篤(東京大学)、三谷理華(福岡市美術館)、山本香瑞子(同前)。

秋の褒章受章者

2000年11月

政府は、11月3日に秋の褒章受章者を発令した。美術関係では、紫綬褒章に照明デザイナーの石井幹子(62)、版画家の黒崎彰(63)、竹工芸作家の田中耕司(60)が選ばれた。

「国宝 源氏物語絵巻」展開催

2000年11月

現存する「源氏物語絵巻」54帖をすべて集めた展覧会が、11月3日から五島美術館で開催された。同美術館開館40周年を記念する特別展として企画されたもので、平安時代、12世紀に描かれたとされる「源氏物語絵巻」(国宝)を展示し、王朝文化の粋を鑑賞できる機会となった。また今日までの絵巻研究の成果として、丹念に編集された図録が発行された。(会期、11月26日まで。)

第21回小山富士夫記念賞決定

2000年10月

優れた古陶磁研究者に贈られる第21回の同賞は、古陶磁に関する顕著な成果をあげた業績により、「褒賞の部」に弓場紀知(出光美術館)と佐々木達夫(金沢大学)を決定した。

メセナ大賞2000決定

2000年10月

企業メセナ協議会主催の同賞は、現代美術の分野で平面作品を問い直すVOCA展の開催を評価して、第一生命に決定した。

第22回サントリー学芸賞受賞者決定

2000年10月

サントリー学芸賞(サントリー文化財団)の第22回目の受賞者が公表された。「芸術・文学部門」では、浦池美鶴(京都大学)の『シェイクスピアのアナモルフォーズ』(研究社出版)、成恵卿(ソウル女子大学)の『西洋の夢幻能―イエイツとパウンド』(河出書房新社)、吉田憲司(国立民族学博物館)の『文化の「発見」』(岩波書店)が選ばれた。

「菱川師宣」展開催

2000年10月

浮世絵の祖とされる菱川師宣の展覧会が、10月24日から千葉市美術館で開催された。国内外から集められた、肉筆画、版画、版本等約150点が展示され、これまでにない大規模な展覧会として、この絵師の芸術が回顧された。(会期、11月26日まで。)

第12回国華賞受賞者決定

2000年10月

日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に、平成元(1989)年に創設された國華賞(國華賞顕彰基金)の受賞者が公表された。受賞作は、岡田健(東京国立文化財研究所)の「東寺毘沙門天像―羅城門安置説と造立年代に関する考察」(『美術研究』370、371号、平成10年3月、11年3月)、今橋理子(学習院女子大学)の『江戸絵画と文学―<描写>と<ことば>の江戸文化史』(東京大学出版会、平成11年10月)。贈呈式は、10月27日、東京築地の朝日新聞社浜離宮朝日小ホールでおこなわれた。

「没後200年 若冲」展開催

2000年10月

伊藤若冲の没後200年を記念した回顧展が、京都国立博物館で、10月24日から開催された。国内外から集められた約140点をこえる作品によって、現代にも通じる斬新な作品群が出品され、歴史的な位置付けを再検討するとともに、今日的な視点からの検証も加えられ、若冲研究の成果が一堂にあつめられた。(会期、11月26日まで。)

室生寺五重塔修復工事完成

2000年10月

室生寺では、平成10年(1998)9月の台風7号で、境内の樹木が倒壊し、五重塔(国宝)の北西角が初層から五層目にかけ損壊した。その修復工事が完成し、落慶法要が、10月21日から3日間にわたりおこなわれた。

「グレー村の画家たち」展開催

2000年10月

フランス、パリ南西約70キロに位置する小村グレー・シュル・ロワンをとりあげ、この芸術家コロニーに滞在した画家たちをとりあげた展覧会が、山梨県立美術館で10月21日から開催した。グレー村は、19世紀中頃から多くの芸術家たち、ことに外国の画家たちが滞在し、黒田清輝、浅井忠など、日本の画家たちにも縁の深い地であった。アメリカ、アイルランド、イギリス、スウェーデン、日本から作品をあつめ、この小村が、画家たちの創造に、どのような影響をあたえたかを検証しようとした企画であり、大規模な国際展であると同時に、パリ中心のこれまでの19世紀美術史研究に対して、新たな視点をしめしたものとして注目された。(会期、11月26日まで。以後、府中市美術館等4館を巡回した。)

府中市美術館開館

2000年10月

東京都府中市の都立府中の森公園内に同美術館が、10月14日に開館した。施設は、二階建て、延べ床面積7,795平方メートル。美と結びついた暮らしを見直す美術館として、近代日本の洋画を中心にコレクションしている。開館記念展として、「生誕百年記念 牛島憲之展」が11月26日まで開かれた。

重要文化財指定

2000年10月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、10月20日、万鉄五郎の「裸体美人」(東京国立近代美術館)など、美術工芸品18件と建造物6件を重要文化財に指定するよう大島理森文相に答申した。また、二つの町並みを重要伝統的建造物群保存地区に選定し、56ヶ所ある116の建造物を登録有形文化財に登録するよう答申した。

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