ロートレックの作品盗まる
1968年12月京都国立近代美術館で開催中の「ロートレック展」(11月9日―12月27日、同館・読売新聞社・アルビ美術館共催)会場から油彩の女性像「マルセル」が26日夜から27日の朝にかけて盗難にあった。
京都国立近代美術館で開催中の「ロートレック展」(11月9日―12月27日、同館・読売新聞社・アルビ美術館共催)会場から油彩の女性像「マルセル」が26日夜から27日の朝にかけて盗難にあった。
本年度長岡現代美術館賞(100万円)は関根伸夫の「位相」に与えられ、日本から8人、外国から7人の選抜作家の間で争われたものである。それらの作品は16日から27日まで東京池袋の西武デパートで展示された。
西国21番札所亀岡市曽我部町穴太、天台宗穴太(あなお)寺の重文に指定されている聖観音立像とその原寸大模造の二体が10日盗まれた。
35年の閣議で決定され、39年6月に着工された新宮殿が14日に落成式を挙げた。鉄骨鉄筋コンクリート造り、地上二階地下一部二階建て、高床式の正殿を中心とする床総面積22,949平方メートル、造園費を含めた総工費130億円(建物坪当り110万円余)。
文化財保護審議会(会長稲田清助)は8日建造物関係重要文化財として明治の洋風建築11件(14棟)、民家7件(11棟)、社寺2件(6棟)の新指定を決めた。洋風建築は北海道庁旧本庁舎(札幌市・明治21年完工)、旧日本郵船会社小樽支店(小樽市・明治39年)、慶応義塾図書館(東京・明治44年)、旧横浜正金銀行本店本館(横浜市・神奈川県立博物館)(明治37年)、旧第四高等中学校本館(金沢市・明治24年)、旧中込(なかごみ)学校校舎(金沢市・明治8年)、旧帝国京都博物館(京都市・明治28年)、旧日本銀行京都支店(京都市・明治39年・現平安博物館)、旧帝国奈良博物館本館(奈良市・明治27年)、旧日本生命保険会社九州支店(福岡市・明治42年)、新潟県議会旧議事堂(明治16年)。
東京国立近代美術館主催の第6回東京国際版画ビェンナーレ展の最高賞である国際大賞(40万円)が5日野田哲也「日記68年8月22日」に決った。東京国立近代美術館賞(30万円)は永井一正、京都国立近代美術館賞(30万円)は西ドイツのアルミール・マビニエール、国際文化振興会会長賞(30万円)がアメリカのジェームス・ローゼンクイストに決定した。審査委員長山田智三郎、審査員はセルツ、サンドベルク他であった。
歿後40年を記念してこれまででは最大規模の回顧展が25日から11月24日まで東京・セントラル美術館で開かれた。主催は同館ならびに朝日新聞社。
22回毎日出版文化賞が31日に発表された。昭和42年8月1日から43年8月31日までの間に刊行された出版物中から選ばれたもので美術関係は求竜堂刊行の尾川宏著「紙のフォルム」に与えられた。
オランダ絵画の黄金時代の画家61人の作品を集めて19日から12月22日まで東京国立西洋美術館で開かれた。主催はオランダ文化省・同館・読売新聞社で油彩、水彩、デッサン、版画など125点。
22日平等院鳳凰堂の南北両面の扉絵四面の模写が完成し、原画は収蔵庫に保管されることになった。
43年度の文化勲章と文化功労者が25日の閣議で決った。4人の文化勲章受賞者のうち美術関係者は陶芸家の浜田庄司、日本画の堅山南風。7人の文化功労者のうちでは日本画の小野竹喬、書道の鈴木翠軒。
4日から23日まで渋谷西武デパートで19世紀末の曲線装飾に特色のあるアール・ヌーヴォー展を開催。当時の家具、食器、ポスターなど陳列。主催は毎日新聞社。
東京上野の国立博物館の敷地内に表慶館と相対して3年前から建築中の国立東洋美術館(谷口吉郎設計)が完成して12日より開館し、東洋古美術展を開催した。
万博美術館展示用の日本側委員会の作成した海外作品リスト189点の原案について11カ国から招いた美術専門家による第一回国際会議が1日から東京・経団連会館で開かれて、日本側の名品主義に対する各国の批判がジャーナリズムを騒がした。
神戸市、日本美術館企画協議会、朝日新聞社主催のビェンナーレ形式の第1回野外彫刻展が1日より11月10日まで須磨離宮公園で開かれた。出品者は招待制で今年の課題は「夜(光)と彫刻」「風と彫刻」「水と彫刻」で33名の作家が出品し、会場構成大高正人、照明藤本久徳が担当し、大賞は飯田善国の「ミラー・オン・ザ・コンストラクション」に与えられた。
24日京都市教王護国寺で開催中の「東寺秋の秘法展」に出品中の国宝・兜跋毘沙門天像が左手に持っている宝塔(木製、高さ15センチ)が盗難にあった。宝塔そのものは江戸時代の作品らしく指定はされていない。
東京国立近代美術館では明治100年を記念して、7日から10月27日までこの一世紀間の日本と西洋美術の相互影響の軌跡とその諸相を一堂に集めて陳列し展観に供した。海外からの出品も約70点あり、近年とみに興味を惹いている国際的文化交流の実質を明らかにする記念すべき展覧会であった。
古代コロンビア黄金製装身具、人面など160点を13日より東京日本橋高島屋を皮切りに大阪そごう、名古屋名鉄、広島福屋など10月27日まで開催された。
ユネスコが東洋文化の組織的研究の第一歩として日本を対象とする「現代芸術への日本の貢献」をテーマに一流専門家を集めて国際的な視野から研究討議を行なった。今回は文学、音楽、建築、演劇の四部門で日本と海外から各4人、計32人で24日から29日まで東京プリンスホテルで(1)「近代および現代の日本および西欧の文化の歴史的背景」、(2)「最近100年間の日本と西欧の芸術的関係」を討議。28日から30日まで京都国際会館で(2)の継続と(3)「日本および西欧における芸術発展の動向」を討議した。建築部門の出席者は村松貞次郎、浜口隆一、前川国男、丹下健三、ジェームズ・M・リチャーズ(英)、フルフトッド・ロス(スイス)、シャロット・ペリアン(仏)。