日本学士院新会員決定

2007年12月

日本学士院(久保正彰院長)は12日の総会で9名の新会員を決定した。美術関係では西洋美術史家の青柳正規が選ばれた。

第29回サントリー学芸賞受賞者決定

2007年12月

広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動に贈られるサントリー学芸賞の第29回目の受賞者が決定した。美術関係では、河本真理『切断の時代―20世紀におけるコラージュの美学と歴史』(ブリュッケ)、三浦篤『近代芸術家の表象―マネ、ファンタン=ラトゥールと1860年代のフランス絵画』(東京大学出版会)が受賞した。 

国立西洋美術館の重要文化財指定の答申

2007年12月

文化審議会(石沢良昭会長)は7日、ル・コルビュジエの設計による国立西洋美術館を重要文化財に指定するよう渡海文部科学大臣に答申した。文化庁は重要文化財指定の目安を築50年としているが、世界遺産登録を目指していることなどから異例の指定となった。また、登録有形文化財として新たに208件の建造物を答申した。これにより建造物の登録文化財は6833件となった。

芸術院新会員決定

2007年11月

日本芸術院(三浦朱門院長)は30日、5人を新たに会員とすることを決定した。美術関係では洋画家の大津英敏、陶芸家の中里逢庵が選ばれた。

史跡天然記念物指定の答申

2007年11月

文化審議会(石沢良昭会長)は16日、日本の近代産業の発展と公害対策の歴史を残す足尾銅山の「通洞坑・宇津野火薬庫跡」、彦根藩主井伊家墓所など15件を史跡に、旧朝倉文夫氏庭園を名勝に、小笠原南島の沈水カルスト地形など4件を天然記念物に指定するよう、渡海紀三朗文部科学相に答申した。

第19回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2007年11月

美術評論や美術史の研究者に贈られる倫雅美術奨励賞の第19回目の受賞者に、「幻想のコレクション 芝川照吉展」(渋谷区立松涛美術館)を担当した瀬尾典昭(渋谷区立松涛美術館主任学芸員)、「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」(東京国立近代美術館)を担当した古田亮(東京芸術大学准教授)が選ばれた。いずれも展覧会内容と図録論文が評価されたもの。

パリ日本文化会館で日本近代洋画展開催

2007年10月

1880年代にサロンの画家ラファエル・コランに師事した黒田清輝から、エコール・ド・パリで活躍した藤田嗣治まで、フランスに留学した洋画家12名の留学期および帰国後の作品約50点を展示する「黒田清輝から藤田嗣治まで~パリに学んだ洋画家たち~」展が、24日からパリ日本文化会館で開催された(08年1月26日まで)。黒田の「婦人図(厨房)」をはじめ、藤島武二安井曽太郎梅原竜三郎、佐伯祐三らの優品が出品され、フランスで日本近代洋画が紹介される稀少な機会となった。

文化勲章受章者、文化功労者決定

2007年10月

政府は26日、今年度の文化勲章受章者5名と文化功労者15名を決定した。美術関係では、彫刻家の中村晋也が文化勲章受章者に、洋画家の奥谷博、堂本尚郎、日本画家の鈴木竹柏が文化功労者に選ばれた。

第19回国華賞受賞者決定

2007年10月

日本東洋美術の優れた研究に贈られる国華賞(国華社、朝日新聞社主催)の選考委員会が8月23日に行なわれ、第19回目の受賞者は大久保純一(『広重と浮世絵版画』(東京大学出版会)に対して)に決定した。浮世絵風景画を生み出し、受容した当時の人々の意識との関わりで理解し、同時代の他の絵画領域、とりわけ四條派との関係を明らかにした点が評価された。

「狩野永徳」展開催

2007年10月

遺品が少ないことからまとまった展観がなされてこなかった狩野永徳の展覧会が京都国立博物館で16日から開催された(11月18日まで)。近年、新たなに発見された作例を網羅し、「墨を極める」、「永徳と扇面画」、「為政者たちのはざまで」、「時代の息づかい―風俗画」、「桃山の華―金碧障屏画」、「壮大なる金碧大画」の章立てで71点が出品された。父の松栄、弟宗秀、長男光信らの代表作を合わせて展示し、永徳の画業を再考する貴重な機会となった。

重要文化財(建造物)の答申

2007年10月

文化審議会(石沢良昭会長)は19日、早稲田大学大隈記念講堂や岩手県遠野地方特有の曲がり屋形式の民家「千葉家住宅」(遠野市)など10件を重要文化財とするよう渡海紀三郎文部科学相に答申した。また、重要伝統的建造物群保存地区として豊岡市出石を新規に、世界遺産の石見銀山のある大田市大森銀山を追加で選定するよう答申した。これにより建造物の重要文化財は2327件(うち国宝は213件)となった。

「岡倉天心―芸術教育の歩み―」展開催

2007年10月

東京美術学校開校から120年を迎える東京芸術大学では、今年、様々な記念事業が行われているが、開学記念日である10月4日から11月18日まで「岡倉天心―芸術教育の歩み―」展を同大学美術館で開催した。写真や資料によって天心を概観する第一章、美術学校が収集した古美術品によって天心の日本美術への関心を探る第二章、天心在職中の東京美術学校の授業内容を紹介する第三章、古美術保存など、天心が始めた社会との連携事業に注目した第四章によって構成され、日本近代の美術教育の歴史の一端に光を当てた展観となった。

「宋元仏画」展開催

2007年10月

大陸との交易や人の往来によって請来された宋元仏画の50件約130点を展示し、異国の仏をどのように受容したかを探る「宋元仏画」展が、13日から11月25日まで、神奈川県立歴史博物館開館40周年記念特別展として開催された。中世の鎌倉が、主に寧波からもたらされ大陸の文物や文化を受け入れる中心となっていたことへの再認識を促すとともに、南宋から元へ王朝が移り変わる中で変化する作風を国宝1件、重要文化財24件を含む優品であとづける展観となった。

平等院平成大修理竣功

2007年09月

平成15年度より特殊事業として五ヵ年計画で行なわれてきた国宝平等院鳳凰堂阿弥陀如来坐像並びに国宝天蓋の修理が26日に竣功した(総工費4億6000万円)。阿弥陀如来坐像、天蓋ともに鳳凰堂から堂外へ移動して修理を行い、天蓋の表面が漆に木粉と朱を加えたものであることが明らかになり、阿弥陀如来坐像の台座の華盤内部から小さな仏像や古銭などの納入物が発見されるなど、多くの新知見が得られた。

メセナ大賞受賞者決定

2007年10月

企業メセナ協議会は芸術文化の振興に貢献した企業や企業財団に贈る「メセナ アワード2007」の受賞者を発表した。メセナ大賞は東京銀座で1919年から資生堂ギャラリーを運営してきた資生堂に、また、社員や家族に文化芸術の鑑賞、参加機会を提供する活動に贈る「文化庁長官賞」はアサヒビール大山崎山荘美術館を運営するアサヒビール芸術文化財団に贈られた。大賞に次ぐ賞の美術関係の受賞者として、地域文化振興賞に北野建設(北野美術館、北野文芸座などを運営)、企画運営賞に東京オペラシティ財団が選ばれた。

第19回世界文化賞受賞者決定

2007年09月

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(日本美術協会主催)の第19回目の受賞者が決まった。絵画部門ではストライプによる作品で知られるダニエル・ビュレン(フランス)、彫刻部門では多様な素材を用いて自然と人間の関係を探求するトニー・クラッグ(イギリス)、建築部門では表層表現に独自性を打ち出したジャック・ヘルツォーク(スイス)とピエール・ド・ムーロン(同)が受賞した。

「フェルメールとオランダ風俗画」展開催

2007年09月

アムステルダム国立美術館所蔵品からフェルメール、ヤン・ステーンなど17世紀オランダを代表する画家をはじめ、19世紀ハーグ派による作品など油彩40点、水彩画9点、版画51点を展示し、オランダ風俗画の流れをたどる「フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展」が26日から12月17日まで国立新美術館で開かれた。Ⅰ)「黄金時代」の風俗画、Ⅱ)偉大なる17世紀の継承と模倣、Ⅲ)19世紀後半のリアリズムの風俗画、Ⅳ)版画と素描、Ⅴ)工芸品の5章により構成され、市民の日常的な生活の描写を重視してきたオランダ絵画の流れをあとづける充実した展観となった。「牛乳を注ぐ女」はアジア地域で初めての公開となった。

「美麗 院政期の絵画」展開催 

2007年09月

11世紀半ばころから13世紀前半の院政期の絵画に、その時代の人々の美麗への高い意識を見ようとする「美麗 院政期の絵画」展が奈良国立博物館で1日から開催された(9月30日まで)。第一章「美麗のほとけ」、第二章「説話絵と装飾経」、第三章「絵巻物の世界」、第四章「白描の絵画」、第五章「藤末鎌初のほとけ」の構成で、125点の出品作の大部分を国宝、重要文化財指定品が占め、この時代の洗練された視覚と趣味を圧倒的な作品群で示す充実した展観となった。

「BIOMBO/屏風 日本の美」展開催

2007年09月

江戸時代、屏風は幕府から海外の為政者への贈答品として海を渡り、ポルトガルやスペインでBIOMBOと称されるようになった。屏風絵の歴史をたどりつつ、その用途や社会的意味に注目した「BIOMBO/屏風 日本の美」展が1日から、六本木に移転したサントリー美術館の開館記念展として開催された(10月21日まで)。第一章「屏風の成立と展開」、第二章「儀礼の屏風」、第三章「BIOMBOの時代 屏風に見る南蛮交流」、第四章「近世屏風の百花繚乱」、第五章「異国に贈られた屏風」、第六章「海を越えた襖絵と屏風絵」の構成で、江戸時代に交易が盛んであったオランダに贈られた屏風のほか海外からも多くの作品が里帰りし、屏風という画面形式を再考する貴重な機会となった。同展は大阪市立美術館に巡回し、10月30日から12月16日まで展観された。

第35回中原悌二郎賞受賞者決定

2007年07月

国内の優れた彫刻作品に送られる中原悌二郎賞(北海道旭川市主宰)の第35回目の受賞者に鈴木久雄「距離・Irish Sky」、優秀賞に今村源「ダイブⅡ」が選ばれた。

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