徳川美術展

1963年04月

尾張の徳川家の収蔵品のうちから百余点の逸品を選んで、「徳川美術展」が4月2日より11日まで上野松坂屋で開催された。国宝「源氏物語絵巻」のほか、「豊国祭図屏風」「西行物語絵巻」等の優品が注目された。

高村光太郎賞決定

1963年04月

第6回高村光太郎賞は先月8日、造型部門2名、詩部門3名が選考委員会で決定、4月2日授賞式を行なつた。 〔造型部門〕 「海の風」(彫刻、二科会展出品) 堀内正和 「青銅壷」(鋳金、日展作品) 西田大由 〔詩部門〕 略

文化財の新指定

1963年03月

文化財保護委員会では29日、新たに国宝、重要文化財の指定を発表した。国宝に指定されたのは、滋賀県聖衆来迎寺蔵の六道絵15幅、伊勢国朝熊山経ケ峰経塚出土品、竜吟庵方丈など9件(美術工芸品7件、建造物2件)。重要文化財に指定されたのは、田能村竹田、与謝蕪村の作品、宝生家に伝わる能面など77件(美術工芸品66件、建造物11件)である。なお、無形文化財として、茶の湯釜(長野松蔵)、日本刀(宮入堅一)、肥後透・肥後象嵌(米光太平)の3件が指定された。

米国より重要文化財刀剣返還さる

1963年03月

終戦直後、連合軍総司令部の指令で提出された刀剣類のうちには、占領軍に持ち去られた旧国宝、重要美術品等認定物件42口が含まれていたが、そのうちの旧国宝太刀銘国宗1口が、米国内でこれを手に入れたウォルター・A・コレプトン氏の好意により、3月28日、日本に返還された。

国立劇場設計の入選作決定

1963年03月

文化財保護委員会では、東京三宅坂パレス・ハイツ跡に建設予定の国立劇場設計案を広く一般から募集していたが、応募作品307点(海外から10点)のうちから国立劇場審議会(会長内田祥三)によつて入選者は次の如く決定27日発表された。 1等 大阪市 竹中工務店大阪本店設計部 岩本博行他14名 2等 横浜市 松本陽一 3等 2名(略) 佳作5点(略) 1等入選作をもとに38年度中に着工準備に入ることになつた。

芸術選奨決定

1963年03月

文部省は、昭和37年度(第13回)芸術選奨の受賞者に8名、1団体を選出、26日発表した。なお授賞式は4月20日行つた。美術部門では、麻生三郎(油絵)、山田喆(てつ)(陶磁)が受賞、又、評論その他の部門で円城寺次郎(日本経済新聞社常務取締)が「“日本名陶百選展”をはじめ多くの美術展の企画、展示と美術図書刊行にすぐれた業績を残した」ことに対し新聞界から初めて受賞した。

滋賀県三大寺山遺跡の発掘

1963年03月

滋賀県教育委員会は8日から栗太郡瀬田町神領、三大寺山遺跡の発掘調査をつづけ、14日にいたり石敷跡を発見、ここに奈良時代、近江国府の正庁のあつたことを裏付けた。

浅草神社の復元工事完成

1963年03月

江戸時代から三社権現として有名な浅草神社の社殿(重要文化財)の復元工事(昭和36年着手)が完了し、14日から6日間、記念の奉祝祭が行われた。

世界の巨匠名作版画展

1963年03月

“レンブラントからピカソまで”の副題がついているが、49作家198点によつてヨーロッパ版画の伝統を系譜的に紹介しようとした展覧会である。内容はアメリカのアッチェンバッハ・コレクションから選出した「オランダの黄金時代」50点、メトロポリタン美術館よりカロとドーミエ約50点、ワシントン国立美術館より、後期印象派から現代作家迄約100点、更にピカソのリノリウム版画50点で、8日から20日迄日本橋白木屋で、また23日から4月7日迄、京都市美術館で開かれた。

エジプト展開催

1963年03月

東京国立博物館、朝日新聞社共催で、3月3日から5月5日迄東京上野の国立博物館で開催された。カイロのコプト美術館、エジプト美術館、イスラム美術館、又、アレキサンドリア、グレコ・ローマン美術館などから、メンカウラ像、書記の像、セヌセルト三世頭部など彫刻、工芸、染色、装具など258点が送られたもので、我国でこれだけまとまつてエジプト美術が紹介されるのは初めてである。 なお朝日新聞社は大阪本社創立85周年、東京本社創刊75周年記念事業の一つとして行つたわけで、展覧会の純益金を、アスワンダム建設で水没しようとするヌビア地方の遺跡、アブ・シンベル神殿救済費の一部に当てようとするのが目的とされている。

国立近代美術館京都分館設立

1963年03月

国立近代美術館京都分館が京都市岡崎に設立された。元京都勧業館別館を改装したもので、敷地約930坪、地階302坪、1階318坪、2階325坪。4月から開館されるが、工芸を中心とした特色ある近代美術館として発足する。開館に先立ち国立近代美術館次長今泉篤男は3月1日付で京都分館の初代館長に転任、後任次長には河北倫明が就任した。

法隆寺綱封蔵の解体修理

1963年02月

法隆寺境内にある綱封蔵の解体修理が2月下旬よりはじめられた。綱封蔵は法隆寺にのこるただ一つの宝物庫で現在のものは室町時代にたてられたといわれ、歴代寄進される宝物などを保存していたが昭和初年以来空になつており、傷みがひどくなつたため今度の解体修理となつもの。

文部省の買上作品決定

1963年02月

文部省は37年度に購入する優秀美術作品12点を決定、22日発表した。美術振興をはかるため、年間の公募展、団体展などの発表作品のうちから優秀作品を選んで買上げるもので今回は第4回目に当る。選考委員は冨永惣一他7名 買上作品 (日本画) 「鴛」(日展出品) 麻田弁次 「磐梯」(日展出品) 奥田元宋 「瀞」(院展出品) 中島多茂都 「樹濤」(新制作展出品) 平川敏夫 (洋画) 「褐色の像」(現代展出品) 大沢昌助 「花模様の椅子」(国画会出品) 久保守 「作品1」(個展出品) 高間惣七 「漁夫達」(光風会展出品) 高光一也 「画室の女」(日展出品) 中村琢二 「橋」(二科展出品) 服部正一郎 (版画) 「チュウリップと三蝶」(春陽会展出品) 長谷川潔 (彫刻) 「鳥を抱く女」(新制作展出品) 本郷新

サンパウロビエンナーレ展出品作家決定

1963年02月

本年9月からサンパウロ近代美術館で開催の第7回ビエンナーレ展に我国から参加出品する作家が次の如く決定、4日発表された。 油絵 山口長男村井正誠富岡惣一郎、森省一郎、今井俊満(在パリ) 版画 加納光於、池田満寿夫、磯部行久 彫刻 井上武吉 なお同地での審査に参加、その他交渉に当る代表は岡本謙次郎ときまつた。

飛鳥板蓋宮遺跡の発掘

1963年02月

皇極天皇の飛鳥板蓋宮跡と推定されている奈良県高市郡明日香村の飛鳥川東岸一帯を発掘調査していた橿原考古学研究所の網干善教は、同宮の大極殿の回廊跡らしい遺構を発見したと3日発表した。

コローの油絵盗難

1963年01月

倉敷の大原美術館で、25日、本館二階展示室のコローの油絵「ナポリ風景」(6号)(旧三井コレクション)が額縁を残し絵だけ持去られた。

須田国太郎遺作展

1963年01月

京都市、並びに国立近代美術館、須田国太郎遺作展委員会主催により1月19日から2月12日迄京都市美術館、つづいて2月19日から3月21日迄東京国立近代美術館で開催された。初期から晩年迄の代表作140余展を展観、須田の初めての大規模な回顧展であつた。

埼玉県地蔵塚古墳の壁画発見

1963年01月

埼玉県行田市の教育委員会は、同市若小玉の山林中にある地蔵塚円墳を修理中、18日、石室の側壁に水鳥、馬、鹿、武人などを画いた壁画を発見した。これは、凝灰岩の壁面に鉄器で掘つたものである。

朝日賞決定

1963年01月

昭和4年創設以来、文化、社会奉仕、体育の分野で各年度のすぐれた業績に対し贈られている朝日賞の37年度受賞者が決定、美術関係では次の二名が受賞、16日授賞式が行なわれた。 梅原末治 考古学に対する深い学殖と、すぐれた労作に対し。 坂本繁二郎 「能面と謡本」にいたる一連のすぐれた画業に対し。

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