高村光太郎賞決定

1961年02月

第4回高村光太郎賞が25日発表され、造型部門では向井良吉「蟻の城」(昨年度行動美術展出品)、白井晟一「東京浅草善昭寺本堂・群馬県松井田町役場・秋田県雄勝町役場など一連の作品」が受賞した。なお建築作品の授賞は今回が初めてで、選考対象の範囲が、詩部門とともに拡げられたのは注目される。なお高村光太郎賞は賞金5万円で、昭和33年高村光太郎全集の印税を基金に、詩と造型部門を対象に設けられたものである。

熱海パゴタ落成

1961年02月

昭和29年インドのネール首相から世界平和の願いをこめて日本に贈られた十つぼの仏舎利を納める3番目のパゴダが熱海市錦ヶ浦の曽我山山頂に完成、25日落慶法要が行なわれた。

永仁の壺、偽作と断定

1961年02月

かねて偽作問題を引起していた通称”永仁の壺”は昨年末から進められてきた科学調査によってこのほど同作品のほか、同じ古瀬戸の二つの重要文化財も偽作であることがはつきりした。こうした文化財行政の不手際について、衆議院の文教委員会では24日関係者をよんで責任を追及した。

文化財保護委員会委員長の後任決定

1961年02月

文化財保護委員会委員長は、昭和35年7月河井前委員長の死去以来、矢代幸雄委員がその職務を代行してきたが、2月20日河原春作が新に文化財保護委員会委員に任命され、更に同24日、文化財保護法第12条第1項の規定により委員長に互選された。河原新委員長は、文部次官、重要美術品等調査委員会々長、文理科大学長、大妻女子大学長などを歴任現在に及んだ。

平賀亀祐に叙勲

1961年02月

政府は21日の閣議で平賀亀祐に勲3等瑞宝章を贈ることを決めた。平賀亀祐は在仏35年に及び、同国ではフランス美術文化勲章、フランス学士院章、ル・サロン金章などを受領している。日本政府からの叙勲は在留邦人の困救者の救済や松方コレクション返還に尽力した功に対し贈られたもの。昨年から帰国中で3月再び渡仏するが、民間人として生前の叙勲は異例の措置である。

第1回南画院展

1961年02月

昨年結成された日本南画院(松林桂月会長)の第1回展覧会が9日から15日まで東京都美術館で開かれ、白井烟嵓に文部大臣賞が、戸田浩堂、松本郭南に院賞がそれぞれ授与された。

院展彫塑部解散

1961年02月

日本美術院彫塑部の同人、新海竹蔵山本豊市、関谷充、桜井祐一千野茂の五氏はこのほど美術院に離脱届を提出した。これは、この数年院展彫塑部内にあった石井派と新海派の芸術主張の対立、派閥闘争の結果とみられる。5氏の離脱届を受け取った日本美術院では理事会を開き”ことここにおよんだ責任は他の彫塑部同人も負わねばならない”との結論を出し、存続を主張する石井鶴三を説得して13日彫塑部の解散を決議、14日発表した。

現代スペイン絵画展

1961年02月

国立近代美術館では、同館並びに朝日新聞社主催、スペイ大使館、外務省、交部省後援で、2月11日から3月12日まで現代のスペイン絵画展を開いた。出品作家、作品はすべてスペイン側の選考によるもので、その最高責任者であるスペイン外務省の国際展覧会部長ルイス・ゴンザレス・ロブレスは、この展覧会は、現代スペイン絵画のもつ情緒的な諸傾向、つまり具象から非具象、さらに大胆な実験を試みるアンフォルメルを経て、新しい材料を用いた造形に突き進むものまで、すべて空間と光の問題設定に主力を注いでいる画家達の諸傾向を、一望のもとに比較鑑賞出来るように意図したものであると、のべている。

知恩院秘宝特別展

1961年02月

法然上人の七百五十年大遠忌を記念して知恩院秘蔵の名品が2月10日から15日まで東京大丸で公開された。

フーラー博士来日

1961年02月

アメリカの建築家リチャード・バックミンスター・フーラー博士夫妻は読売新聞社と日本テレビの招きで3日来日、3月2日まで滞在し各地で講演を行なった。

黒田清輝名作展

1961年01月

毎日新聞社主催、国立文化財研究所後援で1月31日から2月12日まで日本橋三越で開催。1954年国立近代美術館での黒田清輝展につぐ戦後2度目の大規模な回顧展である。油絵80余点の他、素描、スケッチブック等総数100余点が出品され、会場は連日入場者で賑わった。

ルコルビュジェ東京展

1961年01月

昨年暮の大阪展につぐ東京での展覧会で、建物もまたル・コルビュジェの設計になる国立西洋美術館で1月24日から2月19日迄開かれた。この展覧会はスイス・チューリッヒのベージゲルの構成になるル・コルビュジェの世界巡回展で多くの写真パネル、模型、デッサン、石版画は近代建築を前進させた半世紀の彼の歩みを示すとともに豊かな人間性を伝えるものであった。

蒼騎会結成

1961年01月

横田泰一、井上正喜、後藤弘等抽象、具象派23名の洋画によって創立、1月24日から29日迄池袋三越で第1回展を開いた。

文部省の昨年度秀作買上

1961年01月

美術振興のため、昨年から年間の公募展、団体展などの出品作で優秀作品の買上げを行ってきた文部省では35年度の買上げ作品として次の15点をきめ、17日発表した。 日本画 石本正「桃花鳥」(個展発表作) 片岡球子「渇仰」(院展) 寺島紫明「3人」(日展) 堀文子「霧の野」(新制作展) 洋画 伊谷賢蔵「阿蘇」(行動美術展) 井出宣通「午後」(光風会展) 高橋忠弥「魚」(独立展) 中谷泰(陶土」(毎日日本現代美術展) 西山真一「谷合の家」(日展) 原精一「H僧正」(国際具象派展) 松島正幸「大漁船入港」(独立展) 耳野卯三郎「静物」(日展) 村井正誠「顔」(モダン・アート) 彫刻 桜井祐一「ネグリジェの女」(院展) 豊福知徳「立像」(新制作展)

中尊寺金色堂仏像の修理始まる

1961年01月

中尊寺金色堂の本尊、阿弥陀如来など国宝・重要美術品の仏像32体の復元修理が10日から、西村京都美術院国宝修理所長らの手によつて始められた。

朝日賞決定

1961年01月

第31回昭和35年度の朝日賞受賞者が3日発表され、美術関係では四天王寺金堂壁画の作者中村岳陵、同寺五重塔壁画の作者山下摩起にそれぞれ文化賞が贈られた。

毎日芸術賞決定

1961年01月

毎日芸術賞第2回(昭和35年度)の授賞者が1日発表された。美術部門では中村岳陵「四天王寺新金堂壁画・釈迦伝」に対し芸術大賞が贈られ、写真部門では土門拳「筑豊のこどもたち」「るみえちやんはお父さんが死んだ」が受賞した。

平城宮跡第5次発掘調査終る

1960年12月

奈良国立文化財研究所が去る11月21日から行つていた第5次平城宮跡発掘調査は、27日調査予定地1320平方米の発掘を終り、年内に実測を完了、本年の調査を終了した。なお16日に第5次発掘調査現地報告会が同研究所で開かれた。 

重要文化財(建造物)の新指定

1960年12月

16日、文化財保護委員会は重要文化財建造物27件の新指定を決定した。今回は木造では、明治初期の洋風建築2件、民家1件を含んでいるのが特色である。

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