「玉虫厨子」の複製完成
1960年10月「玉虫厨子」の複製は約9年の歳月を費して完成、1日乃村工芸社で関係者に披露された。この複製は、日本鱗翅学会設立15周年を記念して企画され、奈良県文化財保護委員会の指導で同学会々員ら11人が製作に参加したものである。厨子に使われた玉虫は全国の小中学生から集め総数15595匹にのぼり、製作費450万円を要して完成された。今後、法隆寺の真物の厨子と並べておかれることになつている。
「玉虫厨子」の複製は約9年の歳月を費して完成、1日乃村工芸社で関係者に披露された。この複製は、日本鱗翅学会設立15周年を記念して企画され、奈良県文化財保護委員会の指導で同学会々員ら11人が製作に参加したものである。厨子に使われた玉虫は全国の小中学生から集め総数15595匹にのぼり、製作費450万円を要して完成された。今後、法隆寺の真物の厨子と並べておかれることになつている。
文化財保護法施行10周年を記念しての展覧会で、施行以来国宝に指定された約700点の国宝のうち、その半数近い260余点の名品が10月2日から11月6日まで東京国立博物館で展観された。
外務省が文化交流のため招いた大英博物館東洋部長バーゼル・グレイは夫人同伴で2日来日した。各地の美術館、京都、奈良の古社寺を訪れ、又講演会を行う予定。
小林古径遺作展委員会と国立近代美術館との共同主催で歿後初の遺作展が開かれた。古径の代表作及下絵、素描等200点余を集めた大遺作展であつた。後援は日本美術院、朝日新聞社で30日から10月30日まで国立近代美術館で陳列された。
日本美術家連盟による第3回美術家会館建設展が27日から10月2日まで日本橋高島屋でひらかれた。一昨年の第1回展(洋画、版画)昨年の第2回展(日本画、彫刻)ににつづく3回目の催しで最終回となるものである。今回は伊東深水等の日本画75点、林武等洋画142点、棟方志功等版画64点、他に彫刻、また、フランス、イタリーなど海外作品数十点を加え、計270点を展示即売し、美術会館建設資金の一部に当てられた。
北斎生誕200年を記念して、北斎の墓のある東京都台東区浅草、誓教寺境内に記念碑がつくられ24日除幕式が行われた。近藤市太郎、楢崎宗重氏らが中心となつて、本年春北斎生誕200年記念碑建立委員会(委員長高橋誠一郎)を設立、版画家、画商、広く文化人一般に呼びかけ募金した。碑は縦1米、横85糎の赤ミカゲ石に、富士を形どつた白ミカゲ石の板をはめこみ、北斎の二字を彫り込んだもの。
新築の熊本城天守閣の落成式は22日行われ、同夜から毎夜投光機によつて照明されることになつた。
アルベール・マルケの回顧展がブリジストン美術館でひらかれた。同館並びに朝日新聞社の主催、フランス大使館後援で17日開会式が行われ、このため来日したマルケ未亡人マルセルと姪のロスフエルデール夫人が出席した。作品は約124点で、マルケの全貌を伝えるにふさわしい展観であつた。
神奈川県立近代美術館で17日から10月30日まで前田寛治回顧展がひらかれ、76点が出陳された。
滋賀県の潮音寺では同寺の重要文化財、薬師如来坐像の売却申請書を文化財保護委員会に提出していたが、13日許可が下り、85万円で売りに出された。同像は昭和25年重文に指定されたもので寄木造り、藤原時代の作である。
鎌倉市長谷高徳院の阿弥陀如来坐像(大仏)は、近年ひどく前方に傾き、とくに頭部の保持に不安がもたれるに至つたので、33年度以来、調査をつづけてきた文化財保護委員会では14日から補強工事に着手することとなつた。
秋田の平野政吉コレクションによる藤田嗣治展が毎日新聞社主催で新宿伊勢丹で13日から開かれた。平野コレクション展に隣接して、藤田の近作その他多数を展観しめずらしい藤田回顧展となつた。
政府は6日の閣議で今年度の(35年度)文化勲章受賞者選考委員、文化功労者選考審査委員として次の10名を決定した。 大浜信泉(早大総長) 桂寿一(東大文学部長) 兼重寛九郎(東大名誉教授) 河原春作(大妻女子大学長) 黒川利雄(東北大学長) 小林秀雄(日本芸術院会員) 田辺尚雄(音楽評論家) 富永惣一(国立西洋美術館長) 中村研一(日本芸術院会員) 山内恭彦(東大理学部長)
第4回シエル美術賞は、日本美術家連盟と神奈川県立近代美術館運営委員会の合同協議によつて選考され、別記の如く応募作品1649点の中から1,2,3等佳作など8名の受賞者を決定、27日発表した。なお、今年度から版画は独立した部門となり、シエル版画賞その他が追加された。
第3回国際美術教育会議が26日から9月までマニラで開かれるが、日本からは、日本美術教育連合理事長の役職をもつ春陽会会員の倉田三郎が出席する。倉田三郎は“普通の美術教育と効果的な美術教育”のセミナーのリーダーとして推されている。
日本経済新聞社の主催で23日から28日迄日木橋三越で「芋銭名作展」が開かれた。芋銭の遺作60余点を集めて展観、戦後最も充実した芋銭の回顧であつた。
京都市広隆寺霊宝殿にある国宝弥勒菩薩像の右手薬指が第一関節あたりから折れ、破片になつているのを18日案内人が発見した。直ちに修理が行われ、9月10日復元されたが、事故は学生のいたずらによるものであつた。
前衛彫刻家が集つて互に横の連絡を保ち、はげましあつて、新しい彫刻を生みだすために強力な作品発表の場をつくろうというのが目的で「集団現代彫刻」というグループを結成した。メンバーは小野忠弘、建畠覚造、中島快彦、木村賢太郎、毛利武四郎、広井力、向井良吉、野崎一良、昆野恒、篠井欽治、朝倉響子ら38人で、各会に所属のまま新しいグループ活動を推進する。第1回展は9月17日から26日迄東京西部デパートで開催される。
一般に“永仁の壷”と云われている重要文化財の“瀬戸飴釉永仁銘瓶子”について、瀬戸市の古陶研究家滝本知二から、文化財保護委員会に重要文化財の指定を取り消すようとの要望書が正式に提出された。委員会では12日報告をきくとともに専門家の間で検討をつづけることになつた。
本年は北斎の生誕200年に当り、外国に於ても北斎を中心に記念浮世絵展を開いているが、我国でも、1月27日から2月7日まで福岡市博多大丸で、また、5月3日から31日まで大阪市立美術館で大展覧会を催した。東京では8月6日から11日迄、毎日新聞社主催、東京国立博物館後援のもとに白木屋で開催した。