和歌山県慈尊院の秘仏調査

1961年06月

1,000年来の秘仏といわれる和歌山県伊都郡九度山慈尊院の本尊弥勒菩薩座像を文化財保護委員会の技官がが6月8日はじめて三重の扉を開けて調べたところ、金色極彩色の仏像がほとんど完全に近い姿で残されており、9世紀、平安初期の代表的名作であることがわかった。

現代工芸美術家協会設立

1961年06月

日展系工芸家が中心となり、新らたな創作活動を目指してつくられた団体。板谷波山岩田藤七高村豊周山鹿清華を顧問に、山崎覚太郎が委員長となり、役員、会員は、染色、金工、陶磁、硝子、漆工、その他工芸のあらゆる分野の人を含んでいる。日本テレビ、読売新聞社が後援している。事務所は東京都千代田区神田鍛冶町1ノ4

国立近代美術館増築

1961年05月

国立近代美術館では開館以来二度目の大規模な増築工事に着手したため5月から休館となった。今回の増築工事が完成すれば館の建坪は現在の664坪から500坪増加する。

大原美術館新館落成

1961年05月

大原美術館では本館の傍らに新たに分館を建設中であったが、5月30日竣工公開された。鉄筋コンクリート平家建、設計監理、倉敷レイヨン営繕部 浦松鎮太郎、松村慶三

俵屋宗達展

1961年05月

日本経済新聞社の主催する大規模な俵屋宗達展が5月30日から6月11日まで東京・高島屋で開催され、宗達の代表作のほとんど及び宗達派の作品約100点が展観された。

芸術院定員を120人に

1961年05月

政府は29日の次官会議で日本芸術院の定員をこれまでの100人から120人に増員することにきめ、30日の閣議で正式に決定された。第一部(美術)はこれまでの50人から56人にふえた。

鎌倉大仏建造当時の経文など発見

1961年05月

建長2年、北条時頼が鎌倉に大仏をつくたとき奉納した経文約600巻と、比叡山延暦寺の僧覚超直筆の願文(永延3年)とが和泉市の池辺弘方から発見され、22日に京大赤松俊秀教授鑑定の結果、和泉市から文化財保護委員会に文化財指定を申請することとなった。

ムンク版画展

1961年05月

ノルウェーの画家エドヴァルト・ムンク(1863~1944)の版画104点がオスロー市立美術館から送られて、5月20日から6月18日まで国立西洋美術館で展示された。わが国では大正時代からムンクの芸術は紹介され、特異な画家として限られた愛好者をもっっていたが、これほど規模の大きな展観は初めてであり、ムンクのペシミスティックな幻想的芸術が広く再認識を求められる貴重な機会を提供した。

丸善石油、芸術奨励賞を設ける

1961年05月

丸善石油文化福祉事業団は、科学奨励金制度と芸術奨励賞を設けた。芸術奨励賞は、外国留学賞1人、100万円、他に優秀賞五人、5万~10万円で、今年は絵画、彫刻の新人を対象に7月末迄審査の申請を受けつけた。本年度の審査員は富永惣一、滝口修造、河北倫明上野直昭嘉門安雄の5名。 奨励賞の受賞者は11月17日発表された「留学賞」下村良之介 作品”浩””張”「優秀賞」志水晴児(彫)作品”め””宇宙船”以下佳作5名。

明治初期洋画展

1961年05月

鎌倉の近代美術館では、26日から5月16日まで、明治初期の洋画の流を伝える油彩、水彩、デッサン、銅版など150余点を陳列した。

第6回日本国際美術展開く

1961年05月

毎日新聞社主催日本国際美術展は、日本を加えて参加15ヶ国、450余点の作品を集めて10日から30日迄東京都美術館で開いた。今年は1952年第1回展を開いて以来10年目を迎え、記念として、「ベルギー絵画40年」、又先般公開したイタリア現代彫刻展の中、秀れた15点を選択して再公開するほか、「海外で紹介する日本作家」などを特別陳列した。

インカ帝国黄金展

1961年05月

ペルー国プラード大統領の訪日を機に、同国ムヒカ・ガイヨ氏の黄金コレクション530点を公開した「インカ帝国黄金展」が読売新聞の主催、ペルー大使館後援で5月3日から21日まで東京・上野松坂屋で行なわれ引続き大阪、名古屋でも展示された。

重要美術品認定制度の廃止決定

1961年05月

文化財保護委員会では文化財保護法施行以後の暫定措置としてこれまで続いて来た「重要美術品」の認定制度を、明年いっぱいで廃止する方針を決め、重要美術品のうちすぐれたものを重要文化財へ格上げするための選別作業を今年度から急ピッチで進めることになつた。

国宝重文指定

1961年04月

文化財保護委員会は31日建造物と美術工芸品の国宝、重要文化財の指定をきめた。国宝に指定されたのは建造物5件、絵画、彫刻などの美術工芸品11件で、いずれも重要文化財からの格上げ。また新しく重要文化財に指定されたのは建造物21件、美術工芸品42件で、重要美術品からの格上げと新規指定とを含んでいる。

現代美術の実験展

1961年04月

荒川修作、工藤哲己、白髪一雄等、若手前衛作家15人を選んでの文字通り実験展。反絵画、反彫刻的な傾向の最も冒険的な実験作品約70点が12日から陳列され、国立の近代美術館としては果敢な試みであつた。

中国宋元美術展開催

1961年04月

4月22日より1ヶ月間、東京国立博物館で催された中国宋元美術展には、絵画・彫刻・陶磁・漆工・染織・書跡の各部門にわたる名品400点が一堂に集められた。このように総合的な展観は、日本以外では不可能とも考えられるもので、その意義は高く評価された。

to page top