紫綬褒章受章者

1961年11月

11月3日、学問、芸術上の発明、改良創作に寄与した功労者27名に紫綬褒章が贈られた。 美術関係者は、文化財専門審議会専門委員相見香雨、出版美術家連盟会長岩田専太郎、重要無形文化財(漆工芸)磯井如真、京都市立美術大学教授久松真一である。

藤島武二展

1961年11月

毎日新聞社の企画する巨匠展シリーズの第1回として、藤島武二展が1日から15日まで新宿伊勢丹で開かれた、出品は代表作、未公開を合せ100余点に上った。

白隠、仙崖、円空、木喰展

1961年11月

江戸時代における移異色の作家として注目を浴びるようになった白隠、仙崖、円空、木喰の展覧会が11月1日から12日まで東京上野の松坂屋で開かれた。

正倉院のガラス調査終る

1961年10月

正倉院宝物のガラス調査は去る34年から原田淑人、各務鉱三、山崎一雄、岡田譲の4氏によって行われてきたが、今秋も虫干し期間中実施され10月26日終了した。この3ヶ年にわたった調査はガラス容器6点のほか玉類数千点について行われたもので、従来不明とされていた6世紀から8世紀にかけてのガラス製作のもようが明かにされ注目をあつめた。

玉堂美術館落成

1961年10月

川合玉堂終焉の地、東京都青梅市御岳に玉堂の画業を偲んで玉堂美術館が建てられた。玉堂歿後、有志によって高橋誠一郎を名誉会長とする玉堂会がつくられ、故人の遺作、遺品を保存し、記念するための美術館建設が計画され全国に亘る諸団体、有志の寄附によって5月創立となった。10月25日天皇皇后両陛下の行幸のもとに開館された。美術館の設計は吉田五十八。毎日9時から4時迄公開館している。

青木繁展開く

1961年10月

青木繁歿後50年を記念しての展観で、油絵、水彩、デッサン約70点の他、書簡等が陳列された。主催は福岡ユネスコ協会、西日本新聞社その他で福岡(9月19日-24日)小倉(10月6日-11日)東京(10月17日-22日)の3ヶ所で行われた。

ピカソ版画展開催

1961年10月

ピカソ全貌シリーズ第1回展として、版画展が、アート・フレンド・アソシエーションの主催、外務省、文部省、フランス大使館の後援で日本橋白木屋で(17日-29日)最初の展観を行った。エッチングは1930年前半に制作されたものを中心に、近作まで含め111点、戦後のリトグラフ145点、リノカット45点という大量で、東京展のあと、京都、名古屋、大阪でも開かれる。

パウルクレー展開催

1961年10月

ベルン美術館・読売新聞社主催、スイス大使館、外務省、文部省後援で、我国では初めてといってよい大規模のクレー展が池袋の西武百貨店で開かれた。スイス、ベルン美術館の管理するクレーの名品百点(油絵30点、水彩40点、デッサン30点、版画10点)が出品され、無名時代から晩年の作品まで、系統的に各時期の作品が組織された展覧会で非常に好評であった。ベルン美術館長M・フグラーも1日、来日した。会期は14日から11月14日迄。

仙台市立美術館開館

1961年10月

仙台市立美術館がこのほど落成、開館記念として10月11日から11月5日まで桃山美術名作展を催し、御物の狩野永徳筆唐獅子図屏風を初め名作多数を特陳した。

前田青邨喜寿記念展

1961年10月

本年喜寿と金婚を迎えた前田青邨の記念展で、屏風、襖絵をはじめ大小100点近い作品が10日から22日まで日本橋高島屋で展示された。

重要美術品の刀盗まる

1961年10月

新潟市の小林デパートで開催中の「正宗とその一門展」に、東京国立博物館から出陳されていた、重要美術品の「相州・弘光」作の脇差が盗まれていることが6日の朝、判明した。

法隆寺献納御物の収蔵館建設着工

1961年10月

文化財保護委員会は、法隆寺献納御物の収蔵館を東京国立博物館敷地内に建設することをきめ10月上旬より工事にとりかかった。設計は、工学博士・大島久次。完成は昭和37年5月ごろの予定。

大谷磨崖仏の調査に仏学者協力

1961年09月

文化財保護委員会は、日仏文化交流の一環として来日中のフランスの地理学者ドリオ、ポー両氏に、ヨーロッパにおける石造美術保存法の立場からの助言を求めるため27・28両日、大谷石仏の日仏共同調査を行った。

勅使塚古墳の発掘調査

1961年09月

霞ヶ浦西岸古墳群のうちで最大の規模をもつ茨城県行方郡玉造町の「勅使塚古墳」発掘調査が明治大学考古学研究室の手により9月21日から10月10日迄行われた。

円山応挙展

1961年09月

屏風と画巻を中心とする応挙名作展が9月20日から10月15日まで東京国立博物館で開かれ、「保津川図屏風」をはじめ応挙の大画面代表作10数点が一堂に集まった。

ユーゴ彫刻シンポジウムで受賞

1961年09月

ユーゴスラヴィアのスロヴェニア州で行なわれた国際彫刻シンポジウムに、日本からは美術家連盟の推せんで田中栄作、富樫一、またパリから水井康雄が参加し、木彫部門一位に田中が、石彫部二位に富樫が入賞した。

円空彫刻展

1961年09月

江戸時代の修験僧円空の残した多くの鉈彫りにより仏像彫刻は、現代彫刻の課題にもつながる表現的作風の故に近年注目を集めるようになり、その大規模な展覧会が9月12日から17日まで、東京渋谷・東横で開催された。

「彫刻家集団S.A.S」結成

1961年09月

今春解散した日本美術院彫塑部の、新海竹蔵山本豊市ら旧同人、院友を中心とする彫刻家32人は、新に「彫刻家集団」(S.A.S)を結成、11日発表式を行なった。全員を会友とし、その中から9人の委員を選出して集団の運営に当り、年数回の研究会と、年1回の公募展を開くことを決めた。 なお第1回展は11月3日から9日まで銀座松坂屋で開いた。

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