奈良国立文化財研究所長藤田亮策逝去
1960年12月奈良国立文化財研究所長藤田亮策は、12日自宅で狭心症のため急逝、20日同研究所で研究所葬を行つた。なお文化財保護委員会では、後任所長に奈良国立博物館長石田茂作の兼務を命じた。
奈良国立文化財研究所長藤田亮策は、12日自宅で狭心症のため急逝、20日同研究所で研究所葬を行つた。なお文化財保護委員会では、後任所長に奈良国立博物館長石田茂作の兼務を命じた。
もと府警本部だつた旧大阪城内の建物を改装し、大阪市立博物館として1日から開館し、桃山文化展を開いた。建物は6900平方米、そのうち一階だけが完成、さらに二、三階の改修にとりかかり、来秋完成を目標としている。
美術工芸品の記録保存のためつづけられている模写事業は、平等院鳳凰堂、醍醐寺五重塔板絵と進んできているが、本年度は、醍醐寺の残りの四天柱とともに、日野法界寺阿弥陀堂の壁画にかかり11月下旬第1年度の仕事を終えた。担当画家は川面稜一ら5名である。
本年1月からアメリカ各地で開催された「はにわ」展は、サンフランシスコを最後に、去る10月16日好評裡に終了、本国に戻つたので東京国立博物館で22日から12月25日迄特別陳列を行つた。
文化財保護委員会は、11日、美術工芸品58件を新たに重要文化財に指定した。
読売新聞社主催のもとに上野松坂屋で11日から20日まで、日本の明治以降の絵画、彫刻の他西欧19世紀以降の絵画で、近代約100年間に制作された宗教関係の名作約100点を集めて展観した。
北海道札幌市の今井札幌本店では朝日新聞社主催のもとに8日から13日まで、札幌では初めての西洋美術展をひらいた。フランス近代絵画を中心に独、伊その他の17~18世紀の作品、又ロシアの作品十数点を含んでいた。
倉敷市の大原美術館は今年で開館30年を迎えたので7日30周年記念式を行つた。開館以来の入場者は120~130万人と発表された。
第2回を迎える東京国際版画ビエンナーレ展が、国立近代美術館で11月5日から12月4日迄開かれ、今年は世界37ケ国から、約517点の出品があつた。国際展審査員アバ・ベイエフスキイ(カナダ)、ビル・グローマン(西独)、ギュスターブ・フォン・グロシュビッツ(米)、滝口修造らによつて授賞者を別記(受賞一覧)の如く決定、11月8日授賞式を行つた。
昭和15年11月財団法人根津美術館が設立されてから20周年を迎えたので、蔵品中から優品を選んで陳列し、一切の記念事業にかえた、なお各私立美術館からも、賛助出品があり、5日から20日迄開かれた。
アルゼンチンのブエノスアイレスで3日から10日迄開かれた、第8回世界観光ポスター・コンクールで、日本から出品の「からつ」が最優秀賞となつた。佐賀県唐津市海岸に松原と地引網をあしらつた作品で、西島伊三雄の版画を、唐津市と門司鉄道局が制作した淡彩四色刷のポスターである。日本のポスターは第1回、4回、7回につづき4度目の受賞である。
明治神宮鎮座40年を記念して、明治の日本画、洋画、彫刻、工芸の代表作約60余点を展観した。毎日新聞社主催、東京国立博物館、明冶神宮後援で1日から6日迄日本橋三越で行われた。
先に指定取消の要望書が提出された問題の瀬戸飴釉永仁銘瓶子について、陶芸家加藤嶺男は8月23日自作である旨を声明した。然し、この発言には疑問多く、問題の鍵を握るのは父唐九郎とみられていたが、在仏中の加藤唐九郎は9月29日、壼は唐九郎自身の製作であると発表、更に松留窯発掘は架空のことであると述べたため、真偽をめぐつて大きな問題となつた。文化財保護委員会も新に調査班を組織し、独自の立場から、古瀬戸全般にわたつて一層綿密な調査を行うこととなり、新に、X線や磁気測定その他による科学的研究を採用し、真相究明にのりだすこととなつた。
米国のグッゲンハイム財団による本年度グッゲンハイム国際賞はオランダのカレル・アベルの作品「婦人とだちよう」に与えられたが、斎藤義重の「作品R」は優秀作として入選したと31日発表された。
奈良博物館では恒例の正倉院展を2日から11月6日までひらいた。今年は、光明皇后1200年忌にあたるので、展観も、皇后ゆかりの品々を中心として出品された。
日本経済新聞社主催、文化財保護委員会、東京・奈良国立博物館後援で18日から30日まで東京高島屋で開かれた。
国立西洋美術館、読売新聞主催、フランス文化省、大使館、文部省、外務省後援で20世紀フランス美術展がひらかれた。会場は国立西洋美術館で会期は10月15日から12月11日迄であつた。マチス、ピカソ、ルオー等の臣匠から新鋭作家まで、20世紀フランスを代表する100余の作家による絵画、タピスリー、ステンドグラス、陶器、金工、織物など300余点が展観された。この展覧会の特徴は、従来の美術展にみられなかつた絵画、装飾美術、工芸を含む20世紀フランス美術の綜合展で、特にタピスリーが多く集められ、ステンドグラスの紹介もめづらしかつた。東京展終了後、来年1月から京都でも開催が予定されている。
文化財保護委員会は、文化財保護法施行10周年を記念して、文化財の保存につくした32団体と個人181人を功労者として表彰することをきめ14日氏名を発表した。表彰式は11月2日東京虎ノ門社会事業会館における10周年記念大会の席で行われる。功労者は文化財保護委員会と都道府県教育委員会が選んだものである。
重要文化財、新発田城表門と旧二の丸隅櫓の竣工式が6日現地に於て行われた。この工事は、今回の修理を機会に、新発田市を、国有である当建物の管理団体に指定して、国庫から750万円を支出し1080万の工費を以て34年4月着工以来18ケ月の工期を費して完了したものである。
都教育委員会では去る8月から武蔵御岳神社の文化財調査を行つていたが、4日、「松竹双雀鐘」「銅鏡」などの種々貴重な文化財が発見されたと発表した。この調査は、文化財専門委員丸尾彰三郎氏、東京国立文化財研究所田沢坦氏らに都が依頼、8月及び9月と2回に亘つて調査を行つた結果である。