横浜美術館開館

1989年03月

横浜市が開催する横浜博覧会の開会にあわせ、会場の中央に、横浜美術館(横浜市西区緑町1-4)が25日開館した。横浜市が都市開発推進地域として開発を続けている「みなとみらい21」地区の中心的存在として建設されたもので、総工費127億円、延床面積26,829㎡の、国内屈指の大型館となった。館長には河北倫明が就任、開館記念展として25日から6月4日まで、「メトロポリタン美術館名品展」が開催された。

日本芸術院賞

1989年03月

日本芸術院(有光次郎院長)は27日、昭和63年度(第45回)の日本芸術院賞受賞者8名を内定した。第1部美術関係では、恩賜賞にガラス工芸家藤田喬平(ガラス飾筥「春に舞う」に対して)、芸術院賞に日本画家佐藤圀夫(昭和63年日展出品作「月明」に対して)、建築家内井昭蔵(昭和61年開館の世田谷美術館に対して)がそれぞれ選ばれた。授賞式は、6月5日東京上野の日本芸術院会館で行われた。

都新美術館建設で最終答申

1989年03月

都内二ケ所に新しく美術館を建設する計画を検討している都新美術館建設計画委員会(委員長、嘉門安雄ブリヂストン美術館長)は、22日、鈴木都知事に最終答申を提出した。それによれば、現代美術を収集する区部の美術館は、常設展示や企画展、国際展を開催し、延床面積3万㎡、開館予定は’93年度。美術作品を保管し、野外展示物も持つ多摩地域の美術館は、延床面積2万㎡、’95年度開館予定。建設費は両館合わせて300億円が想定されている。注目されるのは、区部の美術館に設置される美術情報センターで、国内外150館の美術館情報、2万点を超える作品情報、7千人の作家情報を収集。センターは、映像ホール、AVギャラリー、コンピューター・グラフィックスのアートホールなどで構成され、図書館には5万冊の図書、10万冊の展覧会カタログを収集する。将来的には、美術情報システムを国内外の美術館とネットワークで結ぶ予定という。

人間国宝指定

1989年03月

文化財保護審議会(斎藤正会長)は24日、重要無形文化財保持者(人間国宝)として新たに7名を指定するよう西岡文相に答申した。美術関係では、工芸技術の部で桐塑人形の市橋とし子(本名市橋登志)、色絵磁器の13代今右衛門(本名今泉今右衛門)、蒔絵の田口善国(田口善次郎)、彫金の金森映井智(本名金森栄一)が選ばれた。これで、人間国宝認定者は186人、うち現存者は70人となった。

個人作家美術館、次々に開館

1989年03月

終戦直後から洋画家中川一政がアトリエを構えた神奈川県真鶴町に、2日、真鶴町立中川一政美術館(真鶴町真鶴1178-1)が開館した。 次いで4月22日には、創画会創立会員の日本画家山本丘人の美術館夢呂土・山本丘人記念館(静岡県駿東郡小山町用沢1373-1)、5月14日に洋画家中村研一中村研一記念館(東京都小金井市中町)と、作家の個人美術館が相次いで開館した。

東京国立文化財研究所、コンピューター画像処理モデルを発表

1989年03月

当研究所情報資料部は、昭和62、63年度の科学研究費により「美術史学研究支援画像処理モデル」の研究を進めてきたが、11日、当研究所においてその報告会を行った。美術史研究に有効なソフトを作成、付加し、色彩や形態の比較、再現を可能としたもので、関係者の注目を集めた。報告会には、美術史学、美術館、図書館等の関係者約50人が出席。同報告会では、千葉工業大学電子工学科のパソコンによる画像のデータベース化、MOA美術館の画像検索システムの発表も行われた。

昭和63年度芸術選奨

1989年02月

第39回の芸術選奨の受賞者が、21日文化庁から発表された。美術関係では、文部大臣賞に洋画家西村竜介(個展「水の抒情詩」でフランスの古城を題材に日本的詩情を豊かに表現した)、建築家篠原一男(「東京工業大学百年記念館」の設計で、工学的な機能と感性的な性能を見事に融合した)、美術評論家田中日佐夫(評伝『竹内栖鳳』は豊富な資料を駆使してこの画家の人と芸術と時代を浮き彫りにした労作)が選ばれ、また文部大臣新人賞に、染織作家草間喆雄(個展「ナイト・ランドスケープ」は、二重織の独自な技法を駆使した作品)が選ばれた。授賞式は、3月22日、東京上野の日本芸術院会館で行われた。

江戸東京博物館、収蔵品展開催

1989年03月

東京都が平成4年のオープンに向けて準備を進めている江戸東京博物館の収蔵品の一部を公開する展覧会が、1日から28日まで東京都庭園美術館で開催された。同博物館の展示資料は、開館時までに約10万点とすることを目標に、現在寄贈品約3万点を含む約5万点が、既に収集されている。今回の公開は、このうち美術品を中心に構成された。

ベルリンで東山魁夷展

1989年02月

西ベルリンにある国立東洋美術館で、11日から4月2日まで、東山魁夷展が開催された。同地での開催は、かつて昭和8年より10年にかけて東山がベルリン大学で美術史を学んだ機縁によるものだが、スケッチ38点を含む100点が展示され、話題を呼んだ。

平櫛田中賞

1989年02月

第14回平櫛田中賞(岡山県井原市立田中美術館主催)の選考委員会が開かれ、彫刻家の深井隆が受賞した。対象となったのは、昭和62年の個展(東京)発表作品の木彫「逃れゆく思念」。

関野克、カゾラ賞受賞

1989年01月

元東京国立文化財研究所長関野克は、国際記念物遺跡会議(ICOMOSイコモス)の第3回カゾラ賞を受賞した。同賞はイコモスの初代会長カゾラを記念し1980年に創設されたもので、文化財関係者に贈られる。1月末日、東京神田の学士会館で授賞式と祝賀会が行われた。

昭和会賞決定

1989年01月

昭和生まれの具象美術の絵画、彫刻の新人登竜門として24回目を迎えた昭和会賞(日動画廊主催)が決定。応募総数351人の中から、昭和会賞に中西良の油彩画「風景」、林武賞に岡本銕二の彫刻「高椅子の女」、優秀賞に藤原護、井草裕明が、それぞれ選ばれた。

竹久夢二らの挿絵原画1234点、京都で発見

1989年01月

大正から昭和にかけての婦人雑誌の挿絵原画1234点が、4日東京都文京区の弥生美術館で報道関係者に公開された。これらの原画は、少女画報、婦人画報、コドモノクニなどに掲載されたもので、高畠華宵、加藤まさを、竹久夢二、蕗谷虹児ら77作家が確認された。京都市内の額縁屋の解体の折に見つかり、昨年末、弥生美術館が一括購入した。

第1回中村彝賞

1989年01月

洋画家中村彝の画業を記念して創設された中村彝賞(中村彝会:鈴木良三会長)の第1回受賞者が発表され、日展会員の洋画家佐竹徳が受賞した。同賞は、60歳以上の優れた具象画家を対象に年1回選考される。第1回同賞贈呈式は、2月2日新宿中村屋で行われた。

第32回安井賞

1989年01月

具象美術の登竜門安井賞(第32回)の選考委員会が19日行われ、安井賞に福田美蘭「水曜日」、佳作賞に瀬川富紀男「鏡考-あやとり」が、それぞれ決定した。今回の受賞は、推薦応募数374点(230人)の中から選ばれたもので、入選作品58点も同時に内定。入賞、入選作品による安井賞展は、3月11日から28日まで東京池袋の西武美術館で開催され、以後各地を巡回した。なお、福田美蘭は、同賞の史上最年少25歳の受賞となった。

朝日賞決定

1989年01月

昭和63年度の朝日賞7件が1日発表された。美術関係では、彫刻家佐藤忠良(日本人の体質感を表現した具象彫刻の実現に対して)、舞台美術家朝倉摂(すぐれた舞台空間の創造を通して現代演劇に貢献)が受賞。贈呈式は31日、朝日新聞東京本社で行われた。

第30回毎日芸術賞

1989年01月

第30回毎日芸術賞が、1日発表された。美術関係では、絵画の絹谷幸二(「絹谷幸二自選展」と個展)、写真の杉本博司(写真集『SUGIMOTO』の刊行と二つの写真展)、建築の吉村順三(「八ケ岳高原音楽堂」の設計)がそれぞれ受賞。同賞の贈呈式は、12日、東京一ツ橋の如水会館で行われた。

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