第20回中原悌二郎賞決定

1989年09月

彫刻家中原悌二郎を記念し、作家の郷里旭川市の主催で行なわれる中原悌二郎賞第20回の受賞者が決定し、池田宗弘「見果てぬ夢・門出(ドン・キホーテ・シリーズから)」が選ばれた。同作品は昨年の第11回神戸須磨離宮公園現代彫刻展で特別賞となったもので、同氏の受賞は第17回優秀賞と合わせて2回目である。また、本年の優秀賞には三木俊治「行列」が選ばれた。

ユーロパリア89ジャパン開催

1989年09月

昭和34年より隔年にブリュッセルで行なわれているアートフェスティバル「ユーロパリア」は、本年日本を特集することとなり、26日より約3ケ月間美術、音楽、演劇、文学など日本文化の全貌を紹介する企画が行なわれた。美術展は、「病草紙」などの国宝を含む131点の作品により人間表現の歴史的変化、精神的背景を探る「日本美術における人間像」展のほか、現代美術、インスタレーションなど新しい潮流にも目をむけ、工芸、書など多分野におよび、従来の日本への理解に新風を送りこんだ。

輪王寺火災

1989年09月

4日午前3時頃、東京都台東区上野公園14-3の輪王寺(石川光尚住職)の本堂付近から出火し、木造平屋建て本堂、大書院、小書院、奥ノ院、庫裏等、計650平方メートルが全焼した。同寺の国指定重要文化財「輪王寺門跡表門」は難を免れ、本堂に安置されていた都指定文化財「天海僧正坐像」(江戸初期)は、一時焼失と伝えられたが、両膝が炭化し、頭部が破損しているものの修復可能であることが後に判明した。

第4回本郷新賞決定

1989年08月

公共の広場、建築物などに設置されたモニュマン、環境彫刻を対象とする本郷新賞は、全国39ケ所64点の推薦応募の中から国松明日香「捷」(札幌「はまなす国体」シンボル)に贈られることに決定。これに伴い、同賞の主催館である札幌彫刻美術館で受賞記念「国松明日香彫刻展」(9.13-10.15)が開催された。

第6回ヘンリームーア大賞決定

1989年08月

国内外の野外抽象彫刻を対象に行なわれるヘンリー・ムーア大賞展が、4日、長野県美ケ原高原美術館で開幕。招待部門の12作家12点、コンクール部門応募作品537点から選ばれた19作家19点、計31点の中で選考が行なわれ、大賞にはメキシコのフェルナンド・ゴンザレス・ゴルタサル「解体された柱」、特別優秀賞に新宮晋「星の神話」、鹿田淳史「コスミック・アーチ’89」、リック・ブース「モト・ムーアヘンリーへのオマージュ」、ライナー・クリスター「白い大きな頭像Ⅰ/84/85」が決まったほか、優秀賞7点、彫刻の森美術館賞7点、美ケ原高原美術館賞6点、上野の森美術館賞6点が選ばれた。

第2回朝倉文夫賞決定

1989年08月

過去2年間のすぐれた彫刻活動に対して贈られる朝倉文夫賞第2回の選考委員会が23日行なわれ、岡本敦生「記憶体積(アーク)」が受賞作に選ばれた。

故高松宮遺愛品公開

1989年08月

昭和62年2月に死去した故高松宮の愛蔵品として、昨年6月高松宮家から高野山金剛峯寺に寄贈された美術品が、1日から1ケ月間、高野山霊宝館で公開された。作品は、重文級のものも含む12件29点で、このほか、歴代天皇、皇族の遺品約40点も同時に公開された。

「ドラクロワとフランスロマン主義」展開催

1989年08月

19世紀前半のヨーロッパで芸術全般にわたってくり広げられたロマン主義運動の、フランス絵画における展開を油彩画約70点によって展観しようとする「ドラクロワとフランス・ロマン主義」展が5日より10月1日まで、国立西洋美術館で開かれた。パリ、コレージュ・ド・フランスのジャック・テュイリエの企画になる同展は「ロマン派の諸源泉」「芸術家の肖像」「死」「女性」「ドラマ」「自然」「戦い」の7セクションに分けられ、題材別にフランス・ロマン主義の動きを跡づけようとする興味深い展観となった。

建造物関係重要文化財指定

1989年07月

文化財保護審議会は21日、建造物関係の重要文化財として横浜市開港記念館、浄興寺本堂(新潟県)、種月寺本堂(同)、蓮華峰寺骨堂(同)、旧平田家住宅(山梨県)、森村家住宅(奈良県)、当麻奥院(同)、国分寺金堂(山口県)、正八幡宮(同)の9件16棟を指定するよう西岡文相に答申した。これで重要文化財の建造物は2039件3313棟となった。

ギメコレクション里帰り

1989年07月

明治9年フランス文部省より宗教調査使節として派遣されて来日し、日本美術品を蒐集したエミール・ギメの蒐集品のうち仏像約200点が里帰りし、「フランス国立ギメ美術館創立100周年記念-甦るパリ万博と立体マンダラ展-エミール・ギメが見た日本のほとけ信仰」展として東京池袋西武百貨店(28-8.15)、尼崎市の西武百貨店(9.8-19)で開催された。ジャポニスム、在外日本美術品への興味の高まりの中で100年前の一フランス人の視点を浮彫りにする展観となった。

天皇家の美術品を国に寄贈

1989年07月

昭和天皇の遺産相続税申告が7日までに行なわれ、これに伴って、天皇家に伝わる美術品総数約4,500件の中から、絵画880件、書560件、置物960件、道具類550件など約3,180件を国に寄贈することが明らかとなった。寄贈品の中には鎌倉時代の「蒙古襲来絵巻」や狩野永徳筆とされる「源氏物語図屏風」など国宝級のものが含まれる。

マルコポーロ賞決定

1989年07月

各年度に出版されたイタリア文化に関するすぐれた著作に贈られるマルコ・ポーロ賞第12回受賞者が決定し、石鍋真澄著『聖母の都市シエナ-中世イタリアの都市国家と美術』が選ばれた。

世界デザイン博覧会開幕

1989年07月

通産省が平成元年度を「’89デザインイヤー」に指定したことに伴い、名古屋市が市制百周年事業として行なう世界で初めてのデザインをテーマとした「世界デザイン博覧会」が15日に開幕。「ひと・夢・デザイン-都市が奏でるシンフォニー」をテーマに名古屋城会場(19ヘクタール、テーマ「歴史からの発見」)、白鳥会場(26ヘクタール、テーマ「21世紀との遭遇」)、名古屋港会場(11ヘクタール、テーマ「楽しさへの旅立ち」)の3会場で展示が行なわれた。また、会期中の10月18日より21日まで、世界的な視野でデザインを考える「国際デザイン会議」が「かたちの新風景-情報化時代のデザイン」をテーマに開催された。

「アパルトヘイト否!国際美術展」

1989年06月

反アパルトヘイト世界美術協会の趣旨に共鳴した、世界34ケ国81名の現代芸術家による154点の作品で構成される展覧会が、昭和58年のパリでの展観を皮切りにヨーロッパ、ブラジル、アメリカを経て日本に巡回。沖縄各所で展示された後、翌平成2年3月まで国内各地をまわり、アパルトヘイト廃絶を呼びかける。

第2回MOA岡田茂吉賞決定

1989年07月

日本美術や工芸の分野ですぐれた業績を示す作家を絵画、工芸部門で隔年交互に顕彰するMOA岡田茂吉賞の第2回受賞者が決定し、8日、授賞式が行なわれた。工芸部門の大賞は染織家志村ふくみ、優秀賞は漆芸家中野孝一が受賞。8日より25日までMOA美術館で二作家の回顧展が開催された。

昭和天皇の美術品収蔵庫建設計画

1989年06月

昭和天皇の崩御(1月7日)に伴い、その遺産整理を進めている宮内庁は、国に寄贈する予定の昭和天皇所有の美術工芸品を保存し、同時に一般公開も行なうための収蔵庫を、皇居内に建設する方針を固めた。国に寄贈される遺品は約1万点に上ると予想されているが、寄贈によりその管理責任は現在の侍従職から宮内庁の用度係に移るため、新たな収蔵庫の建設案が浮上したもの。宮内庁は、来年度予算の概算要求に盛り込みたい意向という。

小杉放菴展

1989年06月

洋画、日本画、書をよくした小杉放菴の歿後25年を記念した回顧展が、27日から8月27日(前後期)まで、東京丸ノ内の出光美術館で開催された。同館が所蔵する放菴のコレクションの中から、初期から晩年にいたる約130点の作品が出品された。

麻布美術工芸館開館

1989年06月

財団法人工芸学会が工芸美術の活性化を目的に準備を進めてきた麻布工芸美術館(港区六本木4-6-9)が、14日開館した。展覧会のほか、現代工芸の育成や情報サービスにも力点が置かれ、開館記念展として「江戸のふぁっしょん-肉筆浮世絵にみる女たちの装い」が開催された。

クールベ展開催

1989年06月

クールベの本格的な回顧展として国内では初めてのものとなった「ギュスターヴ・クールベ展」が、3日から8月6日まで、東京京橋のブリヂストン美術館で開催された。作品は油彩画55点、素描8点、版画2点で、オルセー美術館、プチ・パレ美術館、ワシントン・ナショナルギャラリーなど世界各地から集められ、初期から晩年までを通観する好機となった。

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