江戸東京博物館野外展示計画

1989年05月

平成4年開館予定の江戸東京博物館の分館として、東京都が都立小金井公園内に建設を予定している野外収蔵展示施設の基本計画案が、26日まとまった。7ヘクタールの敷地に下町ゾーン、山の手ゾーン、管理ゾーン、樹林保護ゾーンを設け、下町・山の手ゾーンには、江戸時代以降の生活文化を伝える建築物30棟を移築、復元する。平成4年度より整備を開始し、同14年に完成の予定。

「桃山の華-屏風襖絵」展

1989年05月

桃山期の屏風、襖絵の優品30余点を出陳する「桃山の華-屏風・襖絵」展が、27日から7月2日まで、東京元赤坂のサントリー美術館で開催された。金碧障屏画を中心に、扇面なども加えられ、桃山の絢爛の美が展観された。

写真発明150年記念事業

1989年05月

写真が発明されて150年目にあたる今年は、世界各地で記念事業が行なわれているが、日本写真協会は、日本広告写真協会、海外の写真協会の協力を得て、凸版印刷株式会社の協賛による写真コレクションの選定、収集を進めている。’60~’70年代に活躍した内外の写真家約50人の作品を、アート、ドキュメンタリーなど10項目に分類し収集。「トッパン・コレクション」と呼ばれるこのコレクションは、6月末までに収集を終え、新設される東京都写真美術館に寄贈される。

高山辰雄展

1989年05月

現代の日本画壇を代表する一人高山辰雄の生涯にわたる代表作85点を集めた高山辰雄展が、26日から7月9日まで、東京国立近代美術館で開催された。初めて描いたという牡丹連作も出陳され、充実した展観となった

東京国立近代美術館京橋分館に写真、デザイン展示ホール計画

1989年05月

昭和59年にフィルム収蔵室から失火、建物の老朽化が問題となった東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターは、建て替えのための基本設計が終わり、実施設計の段階に入っているが、新館に、写真・デザインの常設展示ホールと収蔵・保存整理室が新設されることになった。整備基本計画によると、地上5階に収蔵室や研究室、6階に330㎡の展示ホールが設けられる予定。

広島市立現代美術館開館

1989年05月

現代美術を専門に扱う美術館として公立では初めての広島市立現代美術館(広島市南区比治山公園1-1)が、3日開館した。黒川紀章建築都市設計事務所の設計で、延床面積9291㎡、総工費55億円。開館記念展として、3日から6月18日まで「シュプレンゲル美術館展」を開催した。

「狩野派の巨匠たち」展

1989年04月

初期狩野派から明治期の狩野派まで、国宝、重文を含む70余件の作品を集めた展覧会が、22日から5月21日まで、開館3周年記念展として静岡県立美術館で開催された。海外から初の里帰りとなる作品も紹介され、充実した展観となった。

第19回現代日本美術展

1989年04月

第19回現代日本美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。応募数820人1620点の中から、大賞に島剛(立体)「Firework-63」、美術文化振興協会賞に石塚一男(平面)「Closs ⅩⅩⅦ」が選ばれ、また佳作賞には、平面の出店久夫、モリ・ナオ、山口啓介、二子石義之、立体の神山明が選ばれた。

エコロジーミュージアム

1989年04月

博物館の新しいコンセプトとして、生態学(ecology)的視点から、「参加」「体験」を通して五感に訴える新しい展示形式の博物館が、世界的に注目を集めている。サンフランシスコの「エクスプラトリアム」、パリの「ラ・ビレット」に始まるこの構想は、物理学者オッペンハイマーの発案になり、科学と芸術の結合による斬新な体験を提供する。このコンセプトを導入した名古屋市生命科学館が29日に開館。今後美術館運営への影響も期待されている。

政府、ボストン美術館に100万ドル寄付

1989年04月

アメリカ・シカゴ総領事館は、東洋美術展示室の改修拡張工事を進めるボストン美術館に、11日、日本政府が100万ドルを寄付したことを発表した。ボストン美術館では昨年(’88年)10月から、400万ドルをかけて同工事を進めていた。

政府、三菱銀行、シカゴ美術館に200万ドル寄贈

1989年04月

政府と三菱銀行は、東洋美術展示室の開設準備を進めているアメリカ・シカゴ美術館に、11日それぞれ100万ドルを寄附した。同展示室は1991年5月完成予定で、「The Mitsubishi Bank Galleries」の名称がつけられる予定。

ハイビジョンギャラリー

1989年04月

岐阜県美術館に4日、所蔵品を最新の映像技術ハイビジョンで紹介するハイビジョン・ギャラリーがスタートした。同館が昨年より準備を進めてきたもので、所蔵品1900点のうち約700点をデータベース化、110インチプロジェクターを中心に、60インチ2式、29インチ1式が設置されている。

絵画の高騰、一層顕著に

1989年04月

昭和62年、ゴッホの「ひまわり」が58億円で落札され話題となったが、絵画の価格の高騰が一般化し、美術館の活動を圧迫している。海外のオークションで名画を高値で次々に落札するジャパンマネーの脅威は、海外でも関係者を刺激しているが、その多くは税金対策を抱える企業。昨年の日本の美術品輸入額は、2年前の4倍近い2千億円とも言われる。そうした中で、美術館建設ラッシュは依然続いており、美術館の作品購入の困難化や、企画展の保険料の巨額化など、様々な問題が表面化している。

国際「紙」造形展

1989年04月

昨年設立された日本紙アカデミー(町田誠之会長)は、現代美術における素材としての紙の可能性を追求する企画として、国際紙造形展を開催。1日から10日までの京都文化博物館を皮切りに、2ケ所を巡回した。

多摩美大に夜間コース新設

1989年04月

多摩美術大学に4月から二部コース(夜間)が、全国で初めて開設された。新しいタイプの芸術教育を目指したもので、修業年限4年、授業時間午後6~9時。学科は昼間大学に呼応した絵画(油絵、日本画)、デザイン(グラフィック、プロダクト、インテリア)、芸術(映像、身体造形、舞台美術)の3科が設置されている。

山種美術館賞決定

1989年04月

日本画の育成を目的に、1971年の発足以来隔年で開催され、本年で第10回を迎えた山種美術館賞が決定。推薦者43名(うち4名辞退)の中から、大賞に平松礼二「路-“この道”を唱いながら」、優秀賞に斎藤典彦「Shaman Moon」、中村文子「刻」が選ばれた。同賞展は1日から5月7日までの山種美術館を皮切りに、全国を巡回した。

文化財の新指定(美術工芸品、建造物)

1989年03月

文化財保護審議会(斎藤正会長)は28日、国の重要文化財として、新たに美術工芸品68件、建造物9件19棟、また建造物1件6棟を追加指定するよう、西岡文相に答申した。 美術工芸品は、絵画6件(「大阪夏の陣図」ほか)、彫刻9件(仁和寺薬師如来像ほか)、工芸11件、書籍典籍13件、古文書9件、考古資料12件、歴史資料6件が指定され、昨年4月火災で焼失した高野山地蔵院地蔵菩薩立像の指定解除も合わせて答申された。 建造物は、旧神戸居留地十五番館などの明治期洋風建築を含む9件19棟が、新たに指定され、また既に17棟が重文に指定されている京都宇治の万福寺については、祠堂など6棟が追加指定されることとなった。 また、重要伝統的建造物群保存地区として函館市元町末広町の指定が答申された。 今回国宝の指定はなく、これで重要文化財は、美術工芸品9523件(うち国宝827件)、建造物2030件3297棟、保存地区(町並み指定)は29ケ所となった。

『国華』創刊100年記念特別展「室町時代の屏風絵」開催

1989年03月

明治22年岡倉天心らによって創刊された美術雑誌『国華』が、今年創刊100年を迎えるのを記念し、28日から5月7日まで、東京国立博物館で「室町時代の屏風絵」展が開催された。『国華』誌上に紹介された作品や未発表作を含む大和絵屏風40余点のほか、漢画の屏風絵など計97点が出陳され、屏風を中心に見る室町から桃山期への絵画の展開と、ことに従来不明瞭だった室町期の大和絵障屏画の実像を展望する好機となった。

日本美術院百年史刊行開始

1989年03月

明治31年(1898)の設立以来、平成10年(1998)に百周年を迎える日本美術院では、記念事業として『日本美術院百年史』全15巻の刊行を計画、このほど第1巻が刊行された。以後、平成10年までに、全巻刊行に向け遂次刊行されていく予定といい、第1巻刊行を記念し、刊行記念展「近代日本画の夜明け」が、4月27日から5月9日まで、日本橋高島屋で行われた。

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