水彩画推奨記録賞
1943年02月芸能文化協会の甲斐惟一は私財を投じて昨年度から水彩画の記録的優秀作に授賞し斯道の奨励に努めたが、その賞は飯島八郎、渡辺文雄、桂竜雄、石川菊寿、山元不二夫、石川新一、牛島弘、藤田薫、三橋兄弟治、長沢昇、山中仁太郎、小原博司、漆畑広作、柏原文雄に授けられた。
芸能文化協会の甲斐惟一は私財を投じて昨年度から水彩画の記録的優秀作に授賞し斯道の奨励に努めたが、その賞は飯島八郎、渡辺文雄、桂竜雄、石川菊寿、山元不二夫、石川新一、牛島弘、藤田薫、三橋兄弟治、長沢昇、山中仁太郎、小原博司、漆畑広作、柏原文雄に授けられた。
陸軍美術協会では陸軍報道部と連絡を執り、中堅洋画家を以つて「画家青年隊」を組織、平時から兵隊と同じ生活をして現地陸軍の活躍状況を描写する事となつた。
京都画壇の大塾早苗会は会長川村曼舟の逝去により存続如何を検討の処、創始者故山元春挙家より解散希望の申出があり師家の意見を重んじ五日同塾物故者追悼会を執行、故山元春挙の墓に詣で解散した。
一日京都ホテルに於て高橋翼賛会文化部長、菊池契月、西山翠嶂、上村松園、清水六兵衛等出席して東京側の建艦運動協議結果にもとづきこれに協力する事に決定した。
二十九日朝日新聞東京本社貴賓室に於て十七年度朝日文化賞贈呈式が挙行された。美術部門は藤田嗣治「シンガポール最後の日」其他、中村研一「コタバル」の作戦記録画が選ばれた。尚同日午後六時より日比谷公会堂に於て記念講演会が催された。
芸術院会員の献画計画に歩調を合せ日本画家報国会々員百九十名は各自一点宛を制作し、展覧会を開き売上金全部を建艦資金に当てる事になつた。
二十六日帝国ホテルで清水院長始め、帝国芸術院美術部の横山大観、川合玉堂等三十余名大政翼賛会から後藤事務総長、高橋文化部長出席、時局に関する意見を交換し、日本画会員は三尺幅各自五点、他は点数随意で年内に完成建艦に献納を決定。
技術保存を要する工芸品の生産、販売、輸出の時局に即した綜合指導を行い亦一般工芸の健全な発展を図るため、商工省の指示により大日本工芸会が創設された。役員は会長吉野信次、一般委員長椎名悦三郎、理事長国井喜太郎、理事十名が決定した。
第二回日仏印交換教授は国際文化振興会の派遣による日本側教授として京都帝国大学教授文学博士梅原末治に決定、仏印側からは仏印図書館総長ポール・ブーデと決定された。
前興業銀行総裁宝来市松は今回斯学の権威に諮り、昭和十六年度を初年度とする東洋美術史論文奨励賞を提供することとなつた。本賞は単行図書を除き毎年一月一日より十二月末日までに雑誌に発表された東洋美術史関係論文中最秀一篇に賞金五百円を贈与するものである。
陸海軍将士に報ひようとの気運が芸術界に澎湃として高まり、二十四日及び二十六日の両日、芸術各界の代表者が大政翼賛会に集り、これを全芸術界挙つての愛国運動とすべく打合せ会を行つた。両日は日本画の安田靫彦、石塚彰吾(小室翠雲代理)、洋画の梅原竜三郎、木村荘八、彫刻の石井鶴三(北村西望代理)や日本文学報国会事務局長久米正雄、日本音楽文化協会理事長中山晋平をはじめレコード文化協会、芸能文化聯盟等の各代表者が、あらゆる機能を総動員して戦艦献納の挙国運動に邁進することを申し合せた。
日本赤十字社に於ては、予て皇太子殿下御降誕奉祝記念会としての献上屏風の製作を河合玉堂に依嘱中であつたが、「揺ぎなき大和島根」なる六曲一双の屏風が完成したので、二十二日献上の手続を了した。
野間奉公会昭和十七年度野間賞贈呈式は、十七日小石川区音羽町大日本雄弁会講談社講堂に於て挙行された。受賞者は野間美術賞(賞杯及賞金壱万円)平櫛田中、野間美術奨励賞(賞杯及賞金壱千円)中村研一、挿絵奨励賞(同上)川上四郎であつた。
肇国以来現代に至る吾が国史の跡を回顧し、皇国文化の発展の様を伝へ、わが民族文化の振起と顕揚とを図る為紀元二千六百年奉祝会では国家的記念事業として「日本文化大観」(歴史編上・下、現勢編、図録上・中・下の六巻)を刊行することになり、昭和十四年二月官制により日本文化大観編修会を設け鋭意編纂中のところ、その第一巻(歴史編上)特製版七百部が刊行されたので、十四日歌田奉祝会幹事長は宮内省に出頭、皇室並に各宮家に献上の手続を了した。書型は大約規格判B4番型、背及び角革麻布表紙、本洋綴、見返しは正倉院御物色紙中の雲麒麟文様を薄墨色に複製し、用紙は千年の保存に堪へる三椏製局紙、天金、背文字金を使用せる豪華なものである。
李王垠、同妃、王世子殿下には御揃にて六日太平洋戦争美術展覧会に御成り遊ばされた。
賀陽宮恒憲王、同妃殿下には邦寿王、治憲王、章憲王、文憲王、美智子女王各殿下と御揃にて六日太平洋戦争美術展覧会に御成り遊ばされた。
李鍵公、李?公、同妃殿下には五日太平洋戦争美術展覧会に御成り遊ばされた。
朝香宮殿下には三日太平洋戦争美術展覧会に御成り遊ばされ、緒方朝日新聞社主筆の御案内で出陳の絵画を御覧遊ばされた。
絵画研究及び日本画材料による試作品を発表する為に洋風画家猪熊弦一郎、伊藤廉、硲伊之介、林倭衛、林重義、曽宮一念、野口謙蔵、里見勝蔵、木下孝則、須田国太郎、鈴木保徳、鈴木新太郎等に依り竹頭会が結成された。
天皇、皇后両陛下には畏くも二十九日皇太子殿下、孝宮、順宮両内親王殿下と御揃にて宮中千種の間及び豊明殿に於て入江侍従の御説明にて陸海軍部隊の様を描ける陸海軍作戦記録画三十九点を天覧並に台覧あらせられた。