国宝美術工芸品の保存修理

1959年07月

34年度第2-4半期の保存修理物件は次の通り。金地院秋景冬景山水図2幅を修理し完了。東大寺倶舎曼荼羅図を前年度より継続して修理し完了した。厳島神社平家納経33巻の内5巻を修理し完了した。当麻寺塑造弥勒仏坐像を修理し完了した。熊野速玉神社古神宝類を前年度よりひきつづき修理し、次年度に継続する。東大寺金堂鎮壇具の修理を開始し次年度に継続する。

下村観山代表作展

1959年07月

天心、春草、大観らと新しい日本画の創造をめざし、明治から大正へかけての日本画の発展に大きな足跡をのこした観山の、歿後30年を迎えての回顧展である。美校時代の写生図から昭和5年の絶筆まで屏風大作を含む40点近くが集められた。朝日新聞社主催、東京国立博物館・日本美術院後援で、会期は21日から8月2日迄。

第5回毎日産業デザイン賞決定

1959年07月

毎日新聞社が産業デザインの向上をはかつて、昭和30年度に設定した毎日産業デザイン賞の、第5回受賞者が21日発表された。授賞式は8月27日。 工業デザイン部門 金子至、秋岡義夫、河潤之介(セコニック8ミリ撮影機、影写機ならびにセコニック製品における一連のデザイン活動) 商業デザイン部門 開高健、柳原良平、酒井睦雄、山口瞳(寿屋宣伝部、テレビコマーシャルを中心とする一連のデザイン活動) なお選考委員は、今竹七郎、大場吉三郎、金子徳次郎、重成基、竹岡リョウー、直野善一(以上大阪)今泉武治、勝見勝剣持勇、小杉二郎、豊口克平原弘山名文夫(以上東京)

浅野長武ら仏政府から勲章を贈られる

1959年07月

フランス政府では、13日長年フランス文化の日本紹介と交流に功績のあつた東京国立博物館長浅野長武に、レジオン・ドヌール・オフィシエ章を、同館次長田内静三に同シュヴァリエ章を贈つた。

男体山遺物の調査

1959年07月

文化財保護委員会の斎藤忠技官ら7名の調査団により、日光連峰男体山頂で、二荒山神社奥宮周辺の遺物を発掘、山岳信仰の歴史を明らかにする学術調査が2日より10日迄行われた。発掘品として奈良時代の銅印や平安時代の銅鏡などをはじめ、錫杖・独鈷・経筒などの仏具や古銭など多数があり、巨岩が奈良時代より江戸時代まで信仰の中心となつていたことに男体山信仰の特異性が認められるにいたつた。

フランスから芸術文芸勲章おくられる

1959年06月

フランス政府は、国立西洋美術館開館を記念して、日仏文化交流の功労者として次の5名に勲章を贈ることになり12日駐日大使館で授賞式が行われた。 同勲章コマンドール 高橋明(外務省文化参事館) オフィシエ 富永惣一(西洋美術館長) 川喜多長政(東和映画社長) シュヴァリエ 嘉門安雄(西洋美術館) 秋山光和(東京国立文化財研究所)

松方コレクション、新築の西洋美術館に収まる

1959年06月

今年1月以降の松方コレクション返還の経過をのべると、まず、1月23日古垣駐仏大使とクーブドミュルビル仏外相は仏外務省で旧松方コレクション返還に関する協定に調印した。つづいて翌24日、フランスの日本大使館から、外務省にその正式リストが届いた。絵画308点、彫刻62点、書籍5点、計375点である。3月21日浅間丸は特別冷房室に同コレクションを積み、3月11日マルセーユ港を出港、4月15日無事横浜港につき、17日上野公園内に完成した西洋美術館に運ばれた。同館では作品の整理、補修ののち、陳列を行い、6月10日午前11時から開館披露式を行つた。また、これより先5月29日、日本政府は、この機会にフランス側の好意にこたえ、両国文化の交流を計るため、国立美術館長エドモン・シデ他文化人6名を政府賓客として招待することを発表した。招待はエドモン・シデ、ルネ・ユイグ(ソルボンヌ大美術史教授)、オシップ・ザッキン(彫刻家)、クロード・ベルナール(画家)、ジュリアン・デュヴィヴィエ(映画監督)、マルセル・アシャール(劇作家)、及びジャック・ドゥ・ラクルテール(作家)〔団長〕ら7名であつた。これらの文化使節一行を招いて西洋美術館の開館披露式が行われ、13日から一般公開に入つた。 なお、西洋美術館は設計ル・コルビュジエ、監理坂倉準三、前川国男、吉阪隆正、構造横山建築構造設計事務所、文部省教育施設部、施工清水建設株式会社である。 また旧松方コレクションの公開を記念して、東京国立博物館でも同時期に旧松方コレクションの浮世絵特別展を行つた。

みづえ賞設定

1959年06月

美術出版社、資生堂共催による「みづゑ選抜・新しい水彩15人展」が5日から銀座松屋でひらかれた。第1回みづゑ賞は、その中から選ばれ、一席中本達也、二席油野誠一、横山操ときまつた。

福田平八郎自選展

1959年05月

福田平八郎最初の自選展で、自選代表作60余点を展観し、大正10年代から今日迄の画業を展望するよい機会であつた。朝日新聞社主催で5月22日から6月3日迄銀座松屋で開かれた。

日本国際美術展受賞者きまる

1959年05月

毎日新聞社主催第5回日本国際美術展は、5月9日から東京都美術館で開かれているが、20日、全出品作品(外国部308点、日本部233点)に対して行われた授賞選考委員会で次の通り受賞者を決定した。 〔外国部〕 外務大臣賞(賞状及び賞品) ヘンリー・ムア 文部大臣賞(賞状及び賞品) エミール・シューマッハ 東京都知事賞(賞状及び賞品) ジェラール・シュネイデル 毎日新聞社賞(賞状及び賞品) M・F・フセイン 毎日新聞社賞(賞状及び賞品) アントニオ・スワレス 〔日本部〕 最優秀賞(賞状及び副賞30万円) 海老原喜之助 国立近代美術館賞 斎藤義重 鎌倉近代美術館賞 杉全直 ブリヂストン美術館賞 駒井哲郎 優秀賞(賞状及び賞金5万円) 麻布三郎 高間惣七 中谷泰 横山操 本郷新 大衆賞(賞状及び賞金5万円) 東郷青児 大衆賞は5月9日から20日迄の一般入場者の投票によつて決定した。

ローマの「日本アカデミア」の設計者に吉田五十八

1959年05月

外務省は日本とイタリアの文化交流センターとして、今年から2ケ年計画、総額18,000万円の予算でローマに「日本アカデミア」を建設することになつたが、設計を日本芸術院会員吉田五十八に依頼することをきめた。 敷地は伊政府の提供で4,000平方米、建物本館2,000平方米、別館200平方米が予定されている。

日光文化総合調査

1959年05月

日光輪王寺を中心に、日光の総合調査が文化財保護委員会と読売新聞社によつて12日~26日にわたつて行われた。調査団は人文科学部門としては書跡班・彫刻班・絵画班・考古班・歴史班などに分かれ、輪王寺天海蔵の蔵品を中心に調査が行われ、自然科学部門では日光を中心として動物、植物、気象などの班に分れて調査を行つた。 各部門とも多くの新発見や新資料の収穫など多大の成果をおさめた。

故宮博物院名画写真展

1959年05月

5日-10日 於日本橋・白木屋 及び26日-31日 於大阪・阪急百貨店 朝日新聞社主催。台湾台中にある中国美術の一大コレクション故宮博物院の蔵品より名画300種を選んでその実大写真を展示したもので、元来ごくわずかの人にしか知られていなかつた故宮の名画を紹介したことは、まことによろこばしい。

斎藤義重に国際芸術批評家協会賞

1959年05月

パリの国際芸術批評家協会は、5日、本年度の同協会賞を斎藤義重に贈つた。去る4月24日審査会で決定されたもので受賞作「作品E」はユネスコで複製のうえ、各国に配布される予定。

平家納経の新補

1959年04月

保存修理を行つていた平家納経(厳島神社蔵)33巻のうち薬草喩品の表紙と見返の絵を安田靱彦が新しく描いて、同品の修理が完了し、平安時代に製作された平家納経に新風を入れることとなつた。

国宝美術工芸品の保存修理

1959年04月

34年度第1-4半期の保存修理物件は次の通り。知積院障壁画25枚内「松に梅図」を修理し完了。神護寺薬師如来立像を修理し完了。陽明文庫 後二条殿記30巻の内10巻を修理し完了。高野山文化財保存会 続宝簡集を前年度よりひきつづき修理し、次年度に継続する。

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