九州派展開催
1988年09月1950年代末から60年代にかけて、反芸術の運動の代表的存在として活動した九州派を検証する企画「九州派展」が、23日から10月10日まで福岡市美術館で開催された。戦後日本美術史の転換期に現われた九州派が根底に持つ「生活者の視線」を再評価し、また解体に到る原因をさぐることを目的に、約90点の作品と写真パネル、関連資料が出陳された。
1950年代末から60年代にかけて、反芸術の運動の代表的存在として活動した九州派を検証する企画「九州派展」が、23日から10月10日まで福岡市美術館で開催された。戦後日本美術史の転換期に現われた九州派が根底に持つ「生活者の視線」を再評価し、また解体に到る原因をさぐることを目的に、約90点の作品と写真パネル、関連資料が出陳された。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパに起こったジャポニスムを問い正す「ジャポニスム展」が、23日から12月11日まで国立西洋美術館で開催された。日仏共同企画により5年の歳月をかけて準備された同展には、絵画約60点、版画、素描約160点を中心に、彫刻、家具、工芸、写真や比較のための日本作品も含め、400点以上が出品された。学術的な専門性の高い展示形式がとられ、ジャポニスム研究にとっても画期的な展覧会となった。日本展に先立ち、5月17日から8月15日まで、パリのグラン・パレで同展のフランス展が行なわれた。
国際文化財保存科学学会(International Institute for Conservation of Historic and Artistic Works)の第12回国際会議が、19日から23日まで、京都市宝池の京都国際会館で開催された。IICは、文化財遺品の保存、修復の国際的連携を図ることを目的に1950年に設立され、現在40ケ国、400の美術館・博物館・保存修理研究所が加盟、会員も約3,600名を数える。欧米の美術館等の東洋美術品の修復に、日本の技術が重要な役割を果たしていることから、アジア諸国の専門家も一同に会した国際会議の日本での開催をIICが強く希望し、今回の開催となった。
大画面制作に意欲を示す加山又造の、過去10年間の中から代表的な?風絵作品14点に新作6点を加えた「加山又造?風絵展」が、15日から27日まで日本橋・高島屋で開催された。華麗な花鳥の装飾美の世界から、近年は北宋山水への関心も示す作品が展観され、同展は京都、横浜、大阪を巡回した。
アイルランドの首都ダブリンにあるチェスター・ビーティ・ライブラリー所蔵の江戸期の各種物語絵66点を紹介する展覧会が、6日から10月16日までサントリー美術館で開催された。同コレクションは、鉱業界で成功した実業家ビーティの収集になるもので、今回の展覧会には、奈良絵本を中心に江戸期の狩野派、土佐派、浮世絵等の絵巻や冊子本、版本などが出陳された。
明治31年の日本美術院創立から同院再興を経て90周年を迎えた本年、これを記念した「日本美術院創立90周年記念展」が、6日から18日まで日本橋・三越で開催された。橋本雅邦ら前期日本美術院正員から現再興日本美術院同人まで85名の代表的作品81点が展示された。
ユネスコはこのほど、来年度より3ケ年計画で敦煌の本格的な修復保存に乗り出すことを決定した。修復費用約400万ドル(約5億円)は各国の負担となるが、日本への期待も高まる中、25日からの竹下首相の訪中で、敦煌保存に10億円を寄付する方針が、20日までにほぼ固まった。
京都市内の旧家で、写真家でもあった洋画家横山松三郎の作と思われる明治天皇の肖像画が確認された。明治維新政府の外務大録蜷川式胤の遺品の中に残されていたもので、「M.Yokoyama1872」(明治5年)のサインがあり、明治天皇の肖像画としては最初のものである可能性の高いことがわかった。
戦後初の公立美術館として昭和24年にスタートした高松市立美術館が、市内中心部(高松市紺屋町10-4)に場所を移し、高松市美術館と改称して新装開館した。延床面積約1万㎡、総事業費46億円の四国最大の美術館となった。
台東区が作っている財団法人台東区芸術歴史協会(理事長内山栄一区長)は、昭和61年朝倉彫塑館が建物とともに台東区に寄付した4千万円を基金に、彫刻家を対象とする朝倉文夫賞を設定。29日に選考委員会が行なわれ、過去2年間に国内で発表された作品の中から、第1回受賞者に戸谷成雄の木彫「連山」が選ばれた。授賞式は9月28日台東区民会館で行なわれた。
現代具象彫刻の振興を目指し一昨年開設されたロダン大賞展(彫刻の森美術館、美ケ原高原美術館)の第2回受賞者が決定。大賞に海外招待作家からフランスのセザール「親指」、特別優秀賞にメキシコのペドロ・セルバンテス「双子座」、ギリシャフォティス・チャッチオニディス「女のトルソ」、の綿引道郎「詩人-自然を讃え、生を詩う」、安藤泉「逆転の確率」がそれぞれ選ばれた。
7月31日付で東京国立近代美術館を退任した犬丸直にかわり、元文化庁長官の大崎仁が新館長として就任、1月発令された。
ユネスコ主催による「第1回世界美術館館長会議(仮称)」を来秋日本で開催する計画が動きだした。日本でこの種の会議は、国際博物館会議(ICOM)以外には開催されたことがないが、「21世紀に向けての美術館のあり方」をメインテーマに、サブテーマとして「日本と世界の美術館」「美術館の現状と課題」「21世紀の美術館」「子供のための美術館」が話し合われる予定。世界33ケ国の美術館・博物館の館長、キュレーターに呼びかけられる。
大蔵省は29日、宗教法人の経営する美術館や博物館、宝物館などの入場料収入に対して、消費税を課税する方針を明らかにした。全国各地の寺院や神社が併設しているこうした施設は150以上にのぼり、国宝、重要文化財の約6割はこうした施設が所有していると言われるが、国や地方公共団体の美術館入場料などと同様に、宗教法人の施設も課税対象になることとなった。
MOA美術館創設者岡田茂吉を記念し、日本画と工芸を対象に作られたMOA岡田茂吉賞の第1回受賞者が決定。絵画部門の大賞に稗田一穂、優秀賞に平松礼二、工芸部門の大賞に今泉今右衛門、優秀賞に田口善国が、それぞれ選ばれた。授賞式は8月1日同美術館で行なわれ、同賞展も8月1日から28日まで開催された。
李朝陶磁など韓国古美術を収蔵する財団法人出羽桜美術館(山形県天童市一日町1-4-1)が設立され、仮オープンを記念して「新羅・高麗・李朝陶磁の流れ」展が、15日から21日まで無料公開された。同館収蔵品は出羽桜酒造社長仲野清次郎の収集になるコレクションで、高麗青磁、李朝陶磁のほか、金工、木工、刺繍、民画など約1800点。美術館は10月に正式開館した。 また8日には、現代中国の油彩、国画、版画、書などを展示する弥勒之里美術館(広島県福山市外みろくの里)がオープンした。
明治22年10月岡倉天心らにより創刊された『国華』は、その後国華社編集、朝日新聞社の発売により続けられ、創刊100年を迎えた。これを記念し、谷川徹三らの発意で国華賞の創設が決定。国華創刊百周年記念顕彰基金をもとに、昭和64年度から東洋美術の優れた研究に対して贈られることになった。
チェコ・ブルノで開催された「第13回ブルノ・グラフィック・デザイン・コンペ」で、永井一正が、「4GD」展、「北欧デザインの今日」展、「美との対話’87」展など近年富山県立近代美術館で開催された展覧会のカタログ8点の装幀により、グランプリを受賞した。同コンペは書籍、雑誌・新聞、タイプの3部門からなり、永井の受賞は3部門総合の最高賞となった。
5年前京都で開催された国際紙会議を契機に、このほど日本・紙アカデミー(事務局・京都市左京区岡崎成勝寺町9-2、京都市伝統産業館内)が設立された。全国の製紙、加工、工芸などの関係者、デザイナー、学生など会員227名、当面機関誌の発行などによる情報交換を行なうという。
昭和62年に死去した故高松宮の愛蔵品12件29点が、高野山金剛峯寺に寄贈され、28日本山関係に披露された。狩野探幽筆楼閣山水図や一休禅師の書など、重要文化財級のものが含まれており、金剛峯寺では記念館を造りこれを収蔵する予定。