故高松宮遺愛品公開
1989年08月昭和62年2月に死去した故高松宮の愛蔵品として、昨年6月高松宮家から高野山金剛峯寺に寄贈された美術品が、1日から1ケ月間、高野山霊宝館で公開された。作品は、重文級のものも含む12件29点で、このほか、歴代天皇、皇族の遺品約40点も同時に公開された。
昭和62年2月に死去した故高松宮の愛蔵品として、昨年6月高松宮家から高野山金剛峯寺に寄贈された美術品が、1日から1ケ月間、高野山霊宝館で公開された。作品は、重文級のものも含む12件29点で、このほか、歴代天皇、皇族の遺品約40点も同時に公開された。
明治9年フランス文部省より宗教調査使節として派遣されて来日し、日本美術品を蒐集したエミール・ギメの蒐集品のうち仏像約200点が里帰りし、「フランス国立ギメ美術館創立100周年記念-甦るパリ万博と立体マンダラ展-エミール・ギメが見た日本のほとけ信仰」展として東京池袋西武百貨店(28-8.15)、尼崎市の西武百貨店(9.8-19)で開催された。ジャポニスム、在外日本美術品への興味の高まりの中で100年前の一フランス人の視点を浮彫りにする展観となった。
文化財保護審議会は21日、建造物関係の重要文化財として横浜市開港記念館、浄興寺本堂(新潟県)、種月寺本堂(同)、蓮華峰寺骨堂(同)、旧平田家住宅(山梨県)、森村家住宅(奈良県)、当麻奥院(同)、国分寺金堂(山口県)、正八幡宮(同)の9件16棟を指定するよう西岡文相に答申した。これで重要文化財の建造物は2039件3313棟となった。
通産省が平成元年度を「’89デザインイヤー」に指定したことに伴い、名古屋市が市制百周年事業として行なう世界で初めてのデザインをテーマとした「世界デザイン博覧会」が15日に開幕。「ひと・夢・デザイン-都市が奏でるシンフォニー」をテーマに名古屋城会場(19ヘクタール、テーマ「歴史からの発見」)、白鳥会場(26ヘクタール、テーマ「21世紀との遭遇」)、名古屋港会場(11ヘクタール、テーマ「楽しさへの旅立ち」)の3会場で展示が行なわれた。また、会期中の10月18日より21日まで、世界的な視野でデザインを考える「国際デザイン会議」が「かたちの新風景-情報化時代のデザイン」をテーマに開催された。
各年度に出版されたイタリア文化に関するすぐれた著作に贈られるマルコ・ポーロ賞第12回受賞者が決定し、石鍋真澄著『聖母の都市シエナ-中世イタリアの都市国家と美術』が選ばれた。
昭和天皇の遺産相続税申告が7日までに行なわれ、これに伴って、天皇家に伝わる美術品総数約4,500件の中から、絵画880件、書560件、置物960件、道具類550件など約3,180件を国に寄贈することが明らかとなった。寄贈品の中には鎌倉時代の「蒙古襲来絵巻」や狩野永徳筆とされる「源氏物語図屏風」など国宝級のものが含まれる。
日本美術や工芸の分野ですぐれた業績を示す作家を絵画、工芸部門で隔年交互に顕彰するMOA岡田茂吉賞の第2回受賞者が決定し、8日、授賞式が行なわれた。工芸部門の大賞は染織家志村ふくみ、優秀賞は漆芸家中野孝一が受賞。8日より25日までMOA美術館で二作家の回顧展が開催された。
反アパルトヘイト世界美術協会の趣旨に共鳴した、世界34ケ国81名の現代芸術家による154点の作品で構成される展覧会が、昭和58年のパリでの展観を皮切りにヨーロッパ、ブラジル、アメリカを経て日本に巡回。沖縄各所で展示された後、翌平成2年3月まで国内各地をまわり、アパルトヘイト廃絶を呼びかける。
洋画、日本画、書をよくした小杉放菴の歿後25年を記念した回顧展が、27日から8月27日(前後期)まで、東京丸ノ内の出光美術館で開催された。同館が所蔵する放菴のコレクションの中から、初期から晩年にいたる約130点の作品が出品された。
昭和天皇の崩御(1月7日)に伴い、その遺産整理を進めている宮内庁は、国に寄贈する予定の昭和天皇所有の美術工芸品を保存し、同時に一般公開も行なうための収蔵庫を、皇居内に建設する方針を固めた。国に寄贈される遺品は約1万点に上ると予想されているが、寄贈によりその管理責任は現在の侍従職から宮内庁の用度係に移るため、新たな収蔵庫の建設案が浮上したもの。宮内庁は、来年度予算の概算要求に盛り込みたい意向という。
財団法人工芸学会が工芸美術の活性化を目的に準備を進めてきた麻布工芸美術館(港区六本木4-6-9)が、14日開館した。展覧会のほか、現代工芸の育成や情報サービスにも力点が置かれ、開館記念展として「江戸のふぁっしょん-肉筆浮世絵にみる女たちの装い」が開催された。
クールベの本格的な回顧展として国内では初めてのものとなった「ギュスターヴ・クールベ展」が、3日から8月6日まで、東京京橋のブリヂストン美術館で開催された。作品は油彩画55点、素描8点、版画2点で、オルセー美術館、プチ・パレ美術館、ワシントン・ナショナルギャラリーなど世界各地から集められ、初期から晩年までを通観する好機となった。
桃山期の屏風、襖絵の優品30余点を出陳する「桃山の華-屏風・襖絵」展が、27日から7月2日まで、東京元赤坂のサントリー美術館で開催された。金碧障屏画を中心に、扇面なども加えられ、桃山の絢爛の美が展観された。
平成4年開館予定の江戸東京博物館の分館として、東京都が都立小金井公園内に建設を予定している野外収蔵展示施設の基本計画案が、26日まとまった。7ヘクタールの敷地に下町ゾーン、山の手ゾーン、管理ゾーン、樹林保護ゾーンを設け、下町・山の手ゾーンには、江戸時代以降の生活文化を伝える建築物30棟を移築、復元する。平成4年度より整備を開始し、同14年に完成の予定。
現代の日本画壇を代表する一人高山辰雄の生涯にわたる代表作85点を集めた高山辰雄展が、26日から7月9日まで、東京国立近代美術館で開催された。初めて描いたという牡丹連作も出陳され、充実した展観となった
写真が発明されて150年目にあたる今年は、世界各地で記念事業が行なわれているが、日本写真協会は、日本広告写真協会、海外の写真協会の協力を得て、凸版印刷株式会社の協賛による写真コレクションの選定、収集を進めている。’60~’70年代に活躍した内外の写真家約50人の作品を、アート、ドキュメンタリーなど10項目に分類し収集。「トッパン・コレクション」と呼ばれるこのコレクションは、6月末までに収集を終え、新設される東京都写真美術館に寄贈される。
現代美術を専門に扱う美術館として公立では初めての広島市立現代美術館(広島市南区比治山公園1-1)が、3日開館した。黒川紀章建築都市設計事務所の設計で、延床面積9291㎡、総工費55億円。開館記念展として、3日から6月18日まで「シュプレンゲル美術館展」を開催した。
昭和59年にフィルム収蔵室から失火、建物の老朽化が問題となった東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターは、建て替えのための基本設計が終わり、実施設計の段階に入っているが、新館に、写真・デザインの常設展示ホールと収蔵・保存整理室が新設されることになった。整備基本計画によると、地上5階に収蔵室や研究室、6階に330㎡の展示ホールが設けられる予定。
博物館の新しいコンセプトとして、生態学(ecology)的視点から、「参加」「体験」を通して五感に訴える新しい展示形式の博物館が、世界的に注目を集めている。サンフランシスコの「エクスプラトリアム」、パリの「ラ・ビレット」に始まるこの構想は、物理学者オッペンハイマーの発案になり、科学と芸術の結合による斬新な体験を提供する。このコンセプトを導入した名古屋市生命科学館が29日に開館。今後美術館運営への影響も期待されている。