「ファイバーアートの新領域-アメリカ」展開催
1988年04月アメリカで1960年以降運動として培われてきたファイバー・アートの近年10年間の動向を紹介する展覧会が、26日から5月22日まで京都国立近代美術館で開催された。41作家約40点の作品が展示された。
アメリカで1960年以降運動として培われてきたファイバー・アートの近年10年間の動向を紹介する展覧会が、26日から5月22日まで京都国立近代美術館で開催された。41作家約40点の作品が展示された。
箱根芦の湖畔に、現代日本画の秀作を収蔵公開する成川美術館(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根570)が、24日オープンした。現在の収蔵作品は約300点で、山本丘人の作品80余点、平山郁夫40余点などが柱となっている。また、近代日本画の収集で知られる足立美術館に、2日陶芸館が新たにオープン、河井寛次郎、北大路魯山人の作品が常陳されることとなった。
奈良県政百年を記念し、県と市、NHKの主催で、奈良公園一帯と平城宮跡を会場に、日本人の文化と心の源流を訪ねる「ならシルクロード博」が、24日から10月23日まで開催された。テーマは「民俗の英知とロマン」。これに合わせて、奈良国立博物館で「仏教美術展」が24日から9月4日まで開催、奈良県立美術館で「オアシスと草原の道展」、奈良県新公会堂で「海の道展」がそれぞれ全期間中開催された。これらの展覧会では、シリアの超一級文物や敦煌の塑像「供養菩薩」をはじめ、ソ連、中国、韓国、インド、イラク、シリアなど約10ケ国の絵画、彫刻、工芸など約600点が展示された。 このほか兵庫県三田市では「都市と住宅」をテーマに「ホロンピア’88・21世紀公園都市博覧会」が17日から8月31日まで、飛騨の伝統工芸や世界の木のおもちゃを展示した「飛騨高山食と緑の博覧会」が9月23日から10月30日まで、青函トンネル開通を記念し青森市で開催された「青森EXPO’88」(7月9日~9月10日)では会場外イベントとして現代野外彫刻展(9月1日~11月3日)が開催されるなど、大規模な博覧会が相次いだ。このブームは’89年にも名古屋市の世界デザイン博など、続く予定。
第17回日本国際美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。783作家1554点の応募の中から、173点が入選。大賞に黒田克正(平面)「ON THE SPREE No2」、美術文化振興協会賞に田中太郎(立体)「サボテン」、佳作賞に岡崎ゆみこ(平面)「提示’88-YELLOW」、わたなべゆう(平面)「1988原始人Ⅰ」、神山明(立体)「夢のような気がする」、志村雄逸・水野晃一(立体)「浮遊する光2×4」、三梨伸(立体)「両側の丘の斜面」が、それぞれ選ばれた。
黒川紀章の設計になる名古屋市美術館(名古屋市中区栄2-17-25)が、23日開館した。総工費43億円、現在の収蔵作品数は294件。開館記念展として「20世紀絵画の展開」が、23日から6月19日まで開催された。
財団法人工芸学会では、和紙についての認識を深めることを目的に、4月より研究会「和紙を語る会」を設立した。23日に第1回研究会を開催、和紙研究家に加え、美術、国文学、歴史などの専門家も各回登場する予定という。
美術年鑑社と日本コロンビアは、佐久市立近代美術館の協力を得て、同美術館の収蔵作品400点のカラー画像を収めたCD-ROM(Conpact Disk-Read Only Memory)の試作品を完成させた。収蔵品の検索システムは情報化時代に対応した美術館の方向を示すものとして注目されるが、同試作品は、21日から24日まで池袋サンシャインシティ文化会館で開かれた「第1回電子出版システム展」で、日本コロンビアによるデモンストレーションが行なわれた。
昨年インドで「日本月間」が行なわれ美術、映画など各種の日本文化紹介が行なわれたのを受けて、1988年インド祭が、4月から12月にかけて日本で開催された。美術、民芸、写真、文学、風俗、建築などの展観のほか、映画、演劇、音楽、芸能など各種のイベントが行なわれた。美術関係では、19日から5月12日まで兵庫県立近代美術館でアーディヴァシ(インド部族)芸術展、5月22日から7月10日まで有楽町西武でインド宮廷衣裳展、8月11日から23日まで新宿・伊勢丹美術館でインド古典芸術展、11月25日から12月25日まで世田谷美術館でヴィスターラ-インド建築展、5月13日から29日まで高岡市立美術館でインド近代美術展、4月29日から6月5日までたばこと塩の博物館でミティーラ壁画展がそれぞれ開催され、以後各地を巡回した。ならシルクロード博の古典芸術展もインド祭の後援事業となった。
18日午前2時半ごろ、高野山金剛峯寺の塔頭地蔵院の宿坊付近から出火し、宿坊と本堂、庫裏を全焼、さらに隣接する遍照光院の庫裏も全焼。この火災により、国の重要文化財に指定されている地蔵院本尊地蔵菩薩立像が焼失した。
現在美術に刺激的な活況を示すベルリンと東京の2都市で互いの現代美術を交換展示する「ベルリン-東京現代美術交流展」(東京ドイツ文化センター、朝日新聞社主催)が開催された。東京都内の現代美術専門の画廊と西ベルリンの11画廊がそれぞれ積極的に育成、紹介してきた作家の代表作を交換展示したもので、11日から30日まで東京12ケ所の画廊で行なわれた東京展では、西ベルリンの12作家、6月28日から7月18日までベルリン11ケ所の画廊で行なわれたベルリン展では、日本の12作家の作品が展示された。
柳宗悦の生誕100年を迎え、日本民芸館で特別記念展「柳宗悦の眼」が、5日から6月26日まで開催された。館蔵名品展ともいうべき同館所蔵の民芸品が展示され、民芸に美を見出した柳の美学が辿られた。
財団法人石田財団(石田泰一理事長)が、中部地区の芸術振興に寄与することを目的に創設した石田財団芸術奨励賞の第1回が決定。油絵の黒瀬道則、日本画の水谷雄が受賞した。
東海銀行は、ピカソの青の時代の作品「青い肩かけの女」を、パリ在住のピカソの孫娘マリーナから約億14円で購入。22日購入契約を結び、さらに同作を1992年開館予定の愛知県新文化会館に寄贈するため、31日愛知県知事に目録を手渡した。
日本芸術院(有光次郎院長)は28日、昭和62年度(第44回)の日本芸術院賞受賞者10名を内定した。第1部美術関係では、恩賜賞に洋画家大内田茂士(昭和62年日展出品作「卓上」に対して)、芸術院賞に日本画家鈴木竹柏(昭和62年日展出品作「気」に対して)、彫刻家中村晋也(昭和62年日展出品作「朝の祈り」に対して)、工芸家三谷吾一(昭和62年日展出品作「潮風」に対して)、建築家池原義郎(早稲田大学所沢キャンパス(昭和62年3月完工)に対して)が、それぞれ選ばれた。授賞式は6月6日、東京上野の日本芸術院会館で行なわれた。
文化財保護審議会(斎藤正会長)は28日、建造物関係の重要文化財として、沖縄・慶留間(けるま)島の旧家高良家住宅など建造物3件を新たに認定するよう中島文相に答申した。また三重県鈴鹿郡の地蔵院本堂および鐘楼が、大正9年に指定済の同院愛染堂に次いで追加指定。これで建造物関係の重要文化財は、2010件3252棟となった。
文化財保護審議会(斎藤正会長)は26日、国の重要文化財として美術工芸品53件を新たに指定するよう中島文相に答申した。今回国宝指定はなく、重要文化財として絵画9件、彫刻8件、工芸品7件、書跡・典籍7件、古文書5件、考古資料12件、歴史資料5件が答申された。藤ノ木古墳出土品、紙本著色泰西王侯図、浦上玉堂筆秋色半分図、織田信長自筆書状などが含まれ、これで重要文化財は9456件(うち国宝827件)となった。 また同審議会は、同じく26日、文化財の「選定保存技術」として、刀装・甲冑金具(宮島市郎)、刀剣金具?製作(赤野栄一)、屋根瓦製作(小林章男)、漆掻き用具製作(中畑長次郎)の4件を選定し、それぞれ1人を技術保持者に認定するよう、中島文相に答申した。
文化財保護委員会(斎藤正会長)は25日、重要無形文化財保持者(人間国宝)として2名を新たに認定するよう、中島文相に答申した。美術関係では、友禅染めの羽田登喜男が選ばれた。これで人間国宝は延べ179名、うち現存70名となった。
貿易黒字削減のため、昨年7月文化庁から補正予算30億円が計上され、国立西洋美術館、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館に分配されたが、このほどその購入内訳が明らかとなった。国立西洋美術館はシニャック「サン・トロペの港」など計5件、東京国立近代美術館はカンディンスキー「全体」ほか、京都国立近代美術館はモンドリアン「コンポジション」等4件、国立国際美術館はピカソ「ポスターのある風景」ほか、4館で計40余点が購入されたことが明らかとなった。
京都市下京区中堂寺南町の平安京跡から、18日までに高位の貴族邸跡と見られる19棟の平安初期寝殿造りの遺構が出土した。昨年9月から京都市埋蔵文化財研究所が発掘調査していたもので、これまでも部分的出土はあった寝殿造りの全容が出土したのは初めてで、画期的な発見となった。
3月18日岡山県立美術館(岡山市天神町8-120)がオープン、開館記念展として18日から4月17日まで「岡山の絵画500年-雪舟から国吉まで」を開催した。同館は6212㎡の敷地内に総工費約50億円をかけて建設され、岡山県総合文化センターから移管された作品400点と新たに購入した作品100点の計500点を現在収蔵している。