第19回現代日本美術展
1989年04月第19回現代日本美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。応募数820人1620点の中から、大賞に島剛(立体)「Firework-63」、美術文化振興協会賞に石塚一男(平面)「Closs ⅩⅩⅦ」が選ばれ、また佳作賞には、平面の出店久夫、モリ・ナオ、山口啓介、二子石義之、立体の神山明が選ばれた。
第19回現代日本美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。応募数820人1620点の中から、大賞に島剛(立体)「Firework-63」、美術文化振興協会賞に石塚一男(平面)「Closs ⅩⅩⅦ」が選ばれ、また佳作賞には、平面の出店久夫、モリ・ナオ、山口啓介、二子石義之、立体の神山明が選ばれた。
初期狩野派から明治期の狩野派まで、国宝、重文を含む70余件の作品を集めた展覧会が、22日から5月21日まで、開館3周年記念展として静岡県立美術館で開催された。海外から初の里帰りとなる作品も紹介され、充実した展観となった。
政府と三菱銀行は、東洋美術展示室の開設準備を進めているアメリカ・シカゴ美術館に、11日それぞれ100万ドルを寄附した。同展示室は1991年5月完成予定で、「The Mitsubishi Bank Galleries」の名称がつけられる予定。
アメリカ・シカゴ総領事館は、東洋美術展示室の改修拡張工事を進めるボストン美術館に、11日、日本政府が100万ドルを寄付したことを発表した。ボストン美術館では昨年(’88年)10月から、400万ドルをかけて同工事を進めていた。
昭和62年、ゴッホの「ひまわり」が58億円で落札され話題となったが、絵画の価格の高騰が一般化し、美術館の活動を圧迫している。海外のオークションで名画を高値で次々に落札するジャパンマネーの脅威は、海外でも関係者を刺激しているが、その多くは税金対策を抱える企業。昨年の日本の美術品輸入額は、2年前の4倍近い2千億円とも言われる。そうした中で、美術館建設ラッシュは依然続いており、美術館の作品購入の困難化や、企画展の保険料の巨額化など、様々な問題が表面化している。
岐阜県美術館に4日、所蔵品を最新の映像技術ハイビジョンで紹介するハイビジョン・ギャラリーがスタートした。同館が昨年より準備を進めてきたもので、所蔵品1900点のうち約700点をデータベース化、110インチプロジェクターを中心に、60インチ2式、29インチ1式が設置されている。
昨年設立された日本紙アカデミー(町田誠之会長)は、現代美術における素材としての紙の可能性を追求する企画として、国際紙造形展を開催。1日から10日までの京都文化博物館を皮切りに、2ケ所を巡回した。
東京国立博物館の新館長に、1日付で元国立教育会館館長井内慶次郎が就任した。
日本画の育成を目的に、1971年の発足以来隔年で開催され、本年で第10回を迎えた山種美術館賞が決定。推薦者43名(うち4名辞退)の中から、大賞に平松礼二「路-“この道”を唱いながら」、優秀賞に斎藤典彦「Shaman Moon」、中村文子「刻」が選ばれた。同賞展は1日から5月7日までの山種美術館を皮切りに、全国を巡回した。
多摩美術大学に4月から二部コース(夜間)が、全国で初めて開設された。新しいタイプの芸術教育を目指したもので、修業年限4年、授業時間午後6~9時。学科は昼間大学に呼応した絵画(油絵、日本画)、デザイン(グラフィック、プロダクト、インテリア)、芸術(映像、身体造形、舞台美術)の3科が設置されている。
明治31年(1898)の設立以来、平成10年(1998)に百周年を迎える日本美術院では、記念事業として『日本美術院百年史』全15巻の刊行を計画、このほど第1巻が刊行された。以後、平成10年までに、全巻刊行に向け遂次刊行されていく予定といい、第1巻刊行を記念し、刊行記念展「近代日本画の夜明け」が、4月27日から5月9日まで、日本橋高島屋で行われた。
明治22年岡倉天心らによって創刊された美術雑誌『国華』が、今年創刊100年を迎えるのを記念し、28日から5月7日まで、東京国立博物館で「室町時代の屏風絵」展が開催された。『国華』誌上に紹介された作品や未発表作を含む大和絵屏風40余点のほか、漢画の屏風絵など計97点が出陳され、屏風を中心に見る室町から桃山期への絵画の展開と、ことに従来不明瞭だった室町期の大和絵障屏画の実像を展望する好機となった。
文化財保護審議会(斎藤正会長)は28日、国の重要文化財として、新たに美術工芸品68件、建造物9件19棟、また建造物1件6棟を追加指定するよう、西岡文相に答申した。 美術工芸品は、絵画6件(「大阪夏の陣図」ほか)、彫刻9件(仁和寺薬師如来像ほか)、工芸11件、書籍典籍13件、古文書9件、考古資料12件、歴史資料6件が指定され、昨年4月火災で焼失した高野山地蔵院地蔵菩薩立像の指定解除も合わせて答申された。 建造物は、旧神戸居留地十五番館などの明治期洋風建築を含む9件19棟が、新たに指定され、また既に17棟が重文に指定されている京都宇治の万福寺については、祠堂など6棟が追加指定されることとなった。 また、重要伝統的建造物群保存地区として函館市元町末広町の指定が答申された。 今回国宝の指定はなく、これで重要文化財は、美術工芸品9523件(うち国宝827件)、建造物2030件3297棟、保存地区(町並み指定)は29ケ所となった。
日本芸術院(有光次郎院長)は27日、昭和63年度(第45回)の日本芸術院賞受賞者8名を内定した。第1部美術関係では、恩賜賞にガラス工芸家藤田喬平(ガラス飾筥「春に舞う」に対して)、芸術院賞に日本画家佐藤圀夫(昭和63年日展出品作「月明」に対して)、建築家内井昭蔵(昭和61年開館の世田谷美術館に対して)がそれぞれ選ばれた。授賞式は、6月5日東京上野の日本芸術院会館で行われた。
横浜市が開催する横浜博覧会の開会にあわせ、会場の中央に、横浜美術館(横浜市西区緑町1-4)が25日開館した。横浜市が都市開発推進地域として開発を続けている「みなとみらい21」地区の中心的存在として建設されたもので、総工費127億円、延床面積26,829㎡の、国内屈指の大型館となった。館長には河北倫明が就任、開館記念展として25日から6月4日まで、「メトロポリタン美術館名品展」が開催された。
文化財保護審議会(斎藤正会長)は24日、重要無形文化財保持者(人間国宝)として新たに7名を指定するよう西岡文相に答申した。美術関係では、工芸技術の部で桐塑人形の市橋とし子(本名市橋登志)、色絵磁器の13代今右衛門(本名今泉今右衛門)、蒔絵の田口善国(田口善次郎)、彫金の金森映井智(本名金森栄一)が選ばれた。これで、人間国宝認定者は186人、うち現存者は70人となった。
都内二ケ所に新しく美術館を建設する計画を検討している都新美術館建設計画委員会(委員長、嘉門安雄ブリヂストン美術館長)は、22日、鈴木都知事に最終答申を提出した。それによれば、現代美術を収集する区部の美術館は、常設展示や企画展、国際展を開催し、延床面積3万㎡、開館予定は’93年度。美術作品を保管し、野外展示物も持つ多摩地域の美術館は、延床面積2万㎡、’95年度開館予定。建設費は両館合わせて300億円が想定されている。注目されるのは、区部の美術館に設置される美術情報センターで、国内外150館の美術館情報、2万点を超える作品情報、7千人の作家情報を収集。センターは、映像ホール、AVギャラリー、コンピューター・グラフィックスのアートホールなどで構成され、図書館には5万冊の図書、10万冊の展覧会カタログを収集する。将来的には、美術情報システムを国内外の美術館とネットワークで結ぶ予定という。
当研究所情報資料部は、昭和62、63年度の科学研究費により「美術史学研究支援画像処理モデル」の研究を進めてきたが、11日、当研究所においてその報告会を行った。美術史研究に有効なソフトを作成、付加し、色彩や形態の比較、再現を可能としたもので、関係者の注目を集めた。報告会には、美術史学、美術館、図書館等の関係者約50人が出席。同報告会では、千葉工業大学電子工学科のパソコンによる画像のデータベース化、MOA美術館の画像検索システムの発表も行われた。
終戦直後から洋画家中川一政がアトリエを構えた神奈川県真鶴町に、2日、真鶴町立中川一政美術館(真鶴町真鶴1178-1)が開館した。 次いで4月22日には、創画会創立会員の日本画家山本丘人の美術館夢呂土・山本丘人記念館(静岡県駿東郡小山町用沢1373-1)、5月14日に洋画家中村研一の中村研一記念館(東京都小金井市中町)と、作家の個人美術館が相次いで開館した。
建築家安藤忠雄に、フランス建築アカデミーから金賞が授与されることがこのほど決定した。日本人の金賞受賞は、丹下健三、黒川紀章に次いで3人目。授賞式は、6月27日、パリ・ブローニュの森の民芸博物館で行われた。