江戸東京博物館、収蔵品展開催

1989年03月

東京都が平成4年のオープンに向けて準備を進めている江戸東京博物館の収蔵品の一部を公開する展覧会が、1日から28日まで東京都庭園美術館で開催された。同博物館の展示資料は、開館時までに約10万点とすることを目標に、現在寄贈品約3万点を含む約5万点が、既に収集されている。今回の公開は、このうち美術品を中心に構成された。

昭和63年度芸術選奨

1989年02月

第39回の芸術選奨の受賞者が、21日文化庁から発表された。美術関係では、文部大臣賞に洋画家西村竜介(個展「水の抒情詩」でフランスの古城を題材に日本的詩情を豊かに表現した)、建築家篠原一男(「東京工業大学百年記念館」の設計で、工学的な機能と感性的な性能を見事に融合した)、美術評論家田中日佐夫(評伝『竹内栖鳳』は豊富な資料を駆使してこの画家の人と芸術と時代を浮き彫りにした労作)が選ばれ、また文部大臣新人賞に、染織作家草間喆雄(個展「ナイト・ランドスケープ」は、二重織の独自な技法を駆使した作品)が選ばれた。授賞式は、3月22日、東京上野の日本芸術院会館で行われた。

平櫛田中賞

1989年02月

第14回平櫛田中賞(岡山県井原市立田中美術館主催)の選考委員会が開かれ、彫刻家の深井隆が受賞した。対象となったのは、昭和62年の個展(東京)発表作品の木彫「逃れゆく思念」。

ベルリンで東山魁夷展

1989年02月

西ベルリンにある国立東洋美術館で、11日から4月2日まで、東山魁夷展が開催された。同地での開催は、かつて昭和8年より10年にかけて東山がベルリン大学で美術史を学んだ機縁によるものだが、スケッチ38点を含む100点が展示され、話題を呼んだ。

昭和会賞決定

1989年01月

昭和生まれの具象美術の絵画、彫刻の新人登竜門として24回目を迎えた昭和会賞(日動画廊主催)が決定。応募総数351人の中から、昭和会賞に中西良の油彩画「風景」、林武賞に岡本銕二の彫刻「高椅子の女」、優秀賞に藤原護、井草裕明が、それぞれ選ばれた。

関野克、カゾラ賞受賞

1989年01月

元東京国立文化財研究所長関野克は、国際記念物遺跡会議(ICOMOSイコモス)の第3回カゾラ賞を受賞した。同賞はイコモスの初代会長カゾラを記念し1980年に創設されたもので、文化財関係者に贈られる。1月末日、東京神田の学士会館で授賞式と祝賀会が行われた。

第32回安井賞

1989年01月

具象美術の登竜門安井賞(第32回)の選考委員会が19日行われ、安井賞に福田美蘭「水曜日」、佳作賞に瀬川富紀男「鏡考-あやとり」が、それぞれ決定した。今回の受賞は、推薦応募数374点(230人)の中から選ばれたもので、入選作品58点も同時に内定。入賞、入選作品による安井賞展は、3月11日から28日まで東京池袋の西武美術館で開催され、以後各地を巡回した。なお、福田美蘭は、同賞の史上最年少25歳の受賞となった。

第1回中村彝賞

1989年01月

洋画家中村彝の画業を記念して創設された中村彝賞(中村彝会:鈴木良三会長)の第1回受賞者が発表され、日展会員の洋画家佐竹徳が受賞した。同賞は、60歳以上の優れた具象画家を対象に年1回選考される。第1回同賞贈呈式は、2月2日新宿中村屋で行われた。

竹久夢二らの挿絵原画1234点、京都で発見

1989年01月

大正から昭和にかけての婦人雑誌の挿絵原画1234点が、4日東京都文京区の弥生美術館で報道関係者に公開された。これらの原画は、少女画報、婦人画報、コドモノクニなどに掲載されたもので、高畠華宵、加藤まさを、竹久夢二、蕗谷虹児ら77作家が確認された。京都市内の額縁屋の解体の折に見つかり、昨年末、弥生美術館が一括購入した。

第30回毎日芸術賞

1989年01月

第30回毎日芸術賞が、1日発表された。美術関係では、絵画の絹谷幸二(「絹谷幸二自選展」と個展)、写真の杉本博司(写真集『SUGIMOTO』の刊行と二つの写真展)、建築の吉村順三(「八ケ岳高原音楽堂」の設計)がそれぞれ受賞。同賞の贈呈式は、12日、東京一ツ橋の如水会館で行われた。

朝日賞決定

1989年01月

昭和63年度の朝日賞7件が1日発表された。美術関係では、彫刻家佐藤忠良(日本人の体質感を表現した具象彫刻の実現に対して)、舞台美術家朝倉摂(すぐれた舞台空間の創造を通して現代演劇に貢献)が受賞。贈呈式は31日、朝日新聞東京本社で行われた。

東京セントラル美術館日本画大賞決定

1988年12月

現代日本画の革新と新鋭作家の登竜門として第6回を迎えた「’88東京セントラル美術館大賞展」が、6日から18日まで同館で開催された。大賞に青山梁の「歩く人」、優秀賞に宮廻正明「似合う」、小池一範「街」、ほか佳作賞5名がそれぞれ選ばれた。 

「ニュージャパニーズスタイルペインティング」展開催

1988年12月

伝統的な日本画の顔料を現代的センスで制作に生かした作品を集め、日本画顔料の素材としての可能性を考えようとする意欲的な展覧会が、2日から25日まで山口県立美術館で開催された。若手作家9名、そのうち4名は日本画専攻出身ではないのも注目され、豊かなイメージと自由な表現の中で、日本画顔料が新たな可能性を獲得していく新傾向が提示された。

「走図展」開催

1988年12月

伝統的な絵画形式の絵巻を「走図」と名づけ、池田竜雄、梅田英樹、中村宏の3人による絵巻の新たな表現への挑戦を企画した「走図展」が、1日から27日まで京橋のINAXギャラリーで開催された。池田はBRAHMANをテーマに時間の流れを、梅田は現世から地獄までのストーリーを、中村は列車と飛行機の窓外の流れ飛ぶ風景のスピードを、それぞれ絵巻に表現した。

国際シンポジウム「日本近代美術と西洋」開催

1988年11月

内外の日本近代美術の専門家43人を招き、一般参加者も含めて、国際的、文化的視野から日本近代美術を見直す国際シンポジウム「日本近代美術と西洋」(明治美術学会・朝日新聞社主催、高島屋協賛)が、11月28日から3日間、有楽町朝日ホール(28、29日)、内幸町プレスセンター(30日)などで行なわれた。第1日はパネラーによる文化全体から見た近代化の問題を討議、第2、3日は研究者の発表を中心に専門分野による討議が、それぞれ行なわれた。なお、昭和59年9月に設立された明治美術研究学会は、これを期に明治美術学会と改称された。

琉球王朝尚家の遺品、台東区へ寄贈

1988年11月

明治維新までの400年間、沖縄を統治した琉球王朝尚家の遺品が、尚家22代当主尚裕より台東区に寄贈されることが、24日までに決まった。古文書、衣装、刀剣など約1400点が一括寄贈され、台東区では、来春にも保存・研究財団を設立する予定。

下保昭展開催

1988年11月

近年モノクロームを基本に幽趣漂う風景画を追求している下保昭の展覧会が、23日から12月6日まで新宿・伊勢丹美術館で開催された。初期から最近までの代表作に新作を加えた80余点が展観された。

「海のシルクロード古代シリア文明展」開催

1988年11月

海のシルクロード、東西文化交流の要衝だったシリア各地の文物を展観する展覧会が、23日から平成元年2月5日まで池袋・西武美術館で開催された。世界初公開となった「パルミラのヴィーナス」など、約280点の考古遺物、美術品を展示。同展は引続き各地を巡回した。

日仏文化サミット’88、“文化と企業”をテーマに開催

1988年11月

昭和59年の第1回以来、3回目を迎える日仏文化サミット’88(朝日新聞社、フランス政府文化コミュニケーション省主催)が、11月23日から3日間、京都市の国立京都国際会館で行なわれた。今回は「文化と企業」をテーマとして、日仏両国の文化人、経済人、政治・自治体関係者42名による討論が行なわれ、美術関係者も多くこれに参加した。

「法隆寺献納110年特別展百済観音」開催

1988年11月

法隆寺が宝物332件を皇室に献上してから本年で110年になるのを記念し、22日から12月28日まで東京国立博物館で「特別展・百済観音」が開催された。東京で初めての展観となった百済観音のほか夢違観音像、東京国立博物館法隆寺宝物館の48体仏のうち4件、などが展観された。

to page top