日本芸術大賞決定
1988年06月新潮社主催の日本芸術大賞は高橋秀が受賞。贈呈式が24日、ホテルオークラで行なわれた。
新潮社主催の日本芸術大賞は高橋秀が受賞。贈呈式が24日、ホテルオークラで行なわれた。
ポスター・デザインの国際的交流とグラフィックデザインの現況を捉えることを目的に、1985年開設された「世界ポスター・トリエンナーレ・トヤマ」の第2回展受賞作品を決める第2次審査が、23、24日の両日行なわれた。その結果、最高賞の金賞に、A部門ではフランスのデザインスタジオ・グラピューの「APARTHEID/RACISME」、B部門では前回に続きサイトウ・マコトの「1987 ALPHA CUBIC M-I」がそれぞれ受賞。銀賞にA部門、B部門各1件、銅賞にA部門5件、B部門4件が選ばれた。入賞、入選作による展覧会は、28日から8月28日まで富山県立近代美術館で開催された。
元NHK熊本放送局員の故今西菊松の収集になる肉筆浮世絵234点を中心とする美術工芸品394点が、熊本県立美術館に寄贈された。同コレクションは、今西が美術品の海外流出を憂い戦後から収集を始めたもので、8割以上が真作と判明。葛飾北斎「鐘馗図」、勝川春章「太夫とかぶろ図」をはじめ各流派70作家を超える肉筆浮世絵のほか、書画29点、茶陶を含む131点の工芸品が寄贈された。
1966年の発足以来、日本人アートディレクターも活躍してきたワルシャワ・ポスター・ビエンナーレの第12回展で、6月初旬に発表された審査の結果、松永真の平和ポスター「ヒロシマアピールズ」(’86年作)が、金賞、名誉賞をダブル受賞した。金賞受賞は、イデオロギー、文化、広告と三部門あるうちのイデオロギーポスター部門で受賞したもので、名誉賞は金賞作品の中から秀作に贈られるもの。
ロマン主義風景画の影響下、19世紀中頃にアメリカでハドソン川流域やロッキー山脈の壮大な景観を題材に描いたことから命名されたハドソンリヴァー派の作品を展観する展覧会が、3日から7月24日まで静岡県立美術館で開催された。同美術館は東西の風景画の収集にも力を入れているが、昨秋ニューヨークのメトロポリタン美術館で「アメリカの楽園・ハドソンリヴァー派風景画展」が行なわれたのを受けて、同展の日本版として、メトロポリタン美術館の所蔵品で構成したもの。
宮城県中新田町に、縄文土器を専門に展示する縄文芸術館(宮城県加美郡中新田町字南町186-1)が、開館した。展示品は、詩人宗左近が15年をかけて収集した縄文土器や土偶約200点。昭和初年のしょう油蔵を改装し、展示施設として利用することになった。
群馬県榛名山麓中ほどの伊香保グリーン牧場に、現代美術専用の展示空間となるハラ・ミュージアムARC(群馬県渋川市金井大野2844)が、29日開館した。設計は磯崎新。
明治期の酸性紙(洋紙)を使った文献の腐蝕が問題化している中、早稲田大学は明治期の文献約20万点をマイクロフィルム化することを計画、27日その内容を発表した。計画では、早稲田大学の蔵書、全国各大学・図書館の蔵書、海外に流出した文献、の順で、約20年をかけてマイクロ化が進められる。
第13回吉田五十八賞(吉田五十八記念芸術振興財団)の受賞者3名が、25日発表された。建築の部で安田忠雄「K邸」、建築関連美術の部で澄川喜一「鷺舞の譜」(山口県庁舎内モニュメント彫刻)、特別賞に岡村辰雄(額装研究と製作による建築、美術界に対する功績)が、それぞれ受賞。授賞式は6月15日東京丸の内の東京会館で行なわれた。
日本芸術院は24日、任期満了に伴う院長選挙を行ない、有光次郎を再選した。6月26日付で正式に発令された。
仁和4(888)年に宇多天皇が仁和寺を開創してから1100年にあたるのを記念し、「仁和寺の名宝」展が24日から6月26日まで京都国立博物館で開催された。国宝11点、重文43点を含む彫刻、絵画、書跡、工芸、考古遺品など126件が出陳された。
京都における美術創作活動の奨励と伝統文化の継承発展に寄与することを目的に、昨年4月に設定された京都美術文化賞の第1回受賞者が決定、日本画の秋野不矩、洋画の小牧源太郎、陶芸の坪井明日香が受賞、20日贈呈式が行なわれた。
上野の森美術館の運営などにあたっている財団法人日本美術協会(常陸宮総裁、中曽根康弘会長)は、19日、明治20年の創立以来101年を迎え、2世紀目に入ったのを記念し、「高松宮殿下記念世界文化賞」を創設、来秋第1回授賞を行なうことを発表した。同賞は、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇、映像の5部門からなり、各国5人の国際顧問を委嘱、国際的視野から選出を行なう。
宝暦元年(1751)新潟を襲い死者、行方不明1130人の大きな被害をもたらした宝暦大地震の被害状況を、克明に記録した極彩色の絵巻が、兵庫県の旧家で発見された。半紙に描かれた長さ3.6mの絵巻で、歴史学者や地震学者からも貴重な資料として注目を集めた。
今春、東京駅にステーションギャラリーがオープンしたのに続き、台東区は来春着工、4年後完成予定のJR上野駅の駅ビル内に台東区立美術館を設置する計画を発表した。また駅周辺の再開発で橋上駅となる計画のJR奈良駅でも、奈良市が現駅舎を市民美術館にするようJR西日本に働きかけており、駅舎の美術館利用計画が相次いでいる。
実業家万野裕昭のコレクションによる萬野美術館(大阪市南区八幡町28)が、5月14日心斎橋近くのオフィス街のビルの13階に開館した。日本、東洋の古美術品791点を収蔵し、重要文化財23点、重要美術品24点を含む、絵画、墨跡、漆工、金工、武具、刀剣、染織、陶磁など多岐にわたる高い質的水準の作品が集められている。開館記念展としてコレクションの中核をなす「中国陶磁展」が開催された。 また、秋田県角館町の町立角館美術館は昨年10月閉館したが、その収蔵品を引継ぐ形で新たに平福記念館がオープンした。4月28日に竣工式が行なわれ、翌月より一般公開、開館記念展として6月1日まで「角館の江戸展」、次いで7月1日まで「平福穂庵・百穂展」が開催された。
中島文相は12日、大崎仁文化庁長官の退任を認め、後任の第9代長官に、植木浩国際学術局長をあてることを内定。6月10日正式に発令された。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が1988年より5年がかりで計画しているシルクロード総合学術調査事業に、朝日新聞社が協賛することになり、同行取材チームを派遣することで合意、8日パリのユネスコ本部で調印された。この踏査計画では、89年にサマルカンド~北京の草原ルート、90年ベネチア~広東~日本の海のルート、91年ギリシャ~アフガニスタン~西安の砂漠ルートを、それぞれ3~4ケ月で調査を行ない、92年に総括報告が出される予定となっている。
小倉遊亀の代表作60余点を集めた回顧展が、7日から18日まで渋谷・東急本店で開催された。
フランス政府と朝日新聞社による日仏文化交流の一環として、フランスの若手作家5名が4月から4ケ月間日本に招待された。これは一昨年フランスに日本の作家7名が招聘されたのに答えたもので、招待作家は東京芸術大学で約3ケ月間のワークショップなどを行なったのち、各地に分散し制作活動を行なった。