ガンダーラ石仏像真贋論争、法廷へ

1988年03月

昨年春奈良国立博物館で開催された特別展「菩薩」展に出品されて以来、所有者の医療法人亀広記念医学会と同博物館の間で起こったガンダーラ石仏をめぐる真贋論争は、14日亀広記念医学会が国を相手に約5千万円の国家賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。これにより、真贋論争は法廷に持ち込まれることとなった。また同論争については、23日の衆議院法務委員会でも取り上げられ、研究者と文化庁の間で議論がなされた。

東大寺中性院全焼

1988年03月

東大寺二月堂のお水取が行なわれた12日午後10時50分頃、東大寺境内の塔頭中性院の庫裏から出火、全焼した。同院本堂の重要文化財・弥勒菩薩立像は、京都の財団法人美術院に修理に出されており、無事だった。

川端竜子賞決定

1988年02月

日本画の振興を目的に和歌山市が創設した川端竜子賞の第2回受賞者が決定。大賞に若山千麻子「環」、優秀賞に谷村能子「蓮池」、渋谷郁子「冬の午後に」がそれぞれ選ばれた。

昭和62年度芸術選奨

1988年02月

昭和62年度芸術選奨(第38回)が、25日文化庁の選考委員会で決定。美術関係では、文部大臣賞に日本画家工藤甲人(本名儀助)(工藤甲人展の諸作品は、透徹した自然観照と豊かな詩的幻想を結合させた独自の境地を築いた)、グラフィックデザイナー永井一正(富山県立近代美術館の一連のポスターは、鋭い感覚による特異な形態と表現で独自の世界を創造)が、また新人賞に小清水漸(小清水漸近作展の自然と人間のかかわりあいを具体化した出品作)が、それぞれ受賞した。授賞式は、3月23日東京上野の日本芸術院会館で行なわれた。

没後10周年「三木富雄をしのぶ」展開催

1988年02月

’60年代から’70年代にかけての反芸術の時代に、耳の彫刻を作り続けた三木富雄の没後10年を記念し、「三木富雄をしのぶ」企画が、15日から3月19日まで、ギャルリー・ところで開催された。篠原有司男、高松次郎田中信太郎ほかの賛助出品、東野芳明の参考出品を含め、77点が出品された。

銀行倶楽部保存の要望書提出

1988年02月

歴史的建造物の保存が各地で問題となる中、再開発の危機に直面している東京都千代田区丸の内の銀行倶楽部の建物を保存するよう、美術家連盟が東京都生活文化局に要望書を提出した。同建物については、文化庁文化財保護部や日本建築学会も保存運動を働きかけている。

世界ポスター公募、最優秀賞に福田繁雄

1988年02月

「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)に関する国際学者会議」が世界中から公募したポスターコンテストで、福田繁雄の作品が最優秀賞を受賞した。同コンテストは、「1938年11月10日夜のドイツにおけるユダヤ人迫害」から50年を迎えるのに際し、英国オックスフォードなどで会議や公開ミーティングが行なわれるのにあわせて、視覚に訴える企画として行なわれたもの。

パリでドガ、ゴッホの大規模展開催

1988年02月

パリでドガ、ゴッホの大展覧会が相次いで行なわれた。ドガの歴史画、肖像画、風景画、モノタイプ、踊子、競馬など300余点を集めた回顧展は、9日から5月16日までグラン・パレで、また「パリのヴァン・ゴッホ」展が、2日から5月15日までオルセー美術館で開催され、入場制限も行なわれる好評となった。

東京都、美術品購入に75億円の基金創設

1988年02月

東京都教育庁は、平成5年度以降に開設される予定の新美術館2館の収蔵美術品購入のため、資金として「美術資料購入基金」を設置することを決定した。基金の総額は75億円で全国一となる。現代日本美術を中心に幅広い視点から約1千点を収集する予定。

昭和会賞決定

1988年01月

昭和生まれの作家を対象に具象絵画・彫刻の新人登竜門として昭和41年に発足した昭和会賞の第23回受賞者が、29日の選考委員会で決定。昭和会賞に安達時彦(絵画)「如月」、林武賞に長江真弥(彫刻)「RELATIONS」、優秀賞に堀晃(絵画)「海の話し」、増田浩一(絵画)「白い翼」が、それぞれ選ばれた。

荒川豊蔵回顧展開催

1988年01月

志野と瀬戸黒の人間国宝で文化勲章受章者の故荒川豊蔵の歿後3年を機に、「荒川豊蔵回顧展-その人と芸術」展が開催された。初期から晩年までの代表作150点と、写生帖・桃山志野発掘の資料、晩年傾倒した漆芸、金工などが出陳され、26日から31日までの日本橋三越を皮切りに、全国各地を巡回した。

毎日デザイン賞決定

1988年01月

グラフィック、クラフト、パッケージ、ディスプレー、インテリア、ファッション、工業・環境デザインなどのすぐれた業績を対象とする、’87毎日デザイン賞が決定、26日発表された。特別賞候補1件を含む19件のノミネートの中から、内田繁(ネオジャポニカ様式とも称される卓越したデザイン活動)、サイトウ・マコト(大型ポスターにおける新感覚のグラフィック表現)がそれぞれ受賞。同賞の贈呈式は、3月29日帝国ホテルで行なわれた。

安井賞決定

1988年01月

第31回安井賞の選考委員会が21日行なわれ、推薦応募数374点の中から、安井賞、佳作賞と入選作68点が決定した。安井賞は、桜井孝美「1986年/1987年夏」、佳作賞は筧本生「パリのキャフェ」がそれぞれ受賞。表彰式は、2月19日東京・池袋西武美術館で行なわれ、また入賞、入選作による安井賞展が、翌20日から3月8日まで同美術館で開催された。

敦煌石窟保護へ財団設立

1988年01月

国内外の文化財保護を民間の力で進めることを目的に、日本画家平山郁夫の呼びかけに財界人らが応じて設立される「文化財保護振興財団」の発起人会が、19日開催された。同財団は、基本金10億円を集め6月1日正式に発足。5~7年計画で25億円を募り、敦煌壁画の補修や模写、文物の陳列館や研究・資料センターなどの施設建設、ハイテク機器の整備などに協力していく予定。

国立国際美術館、京都国立近代美術館の開館時間延長へ

1988年01月

昭和63年度予算の大蔵省原案が内示され、文化庁関係の事業で、国立国際美術館と京都国立近代美術館の一部夜間開館が決定した。利用者の便宜をはかり、閉館時間を3時間延長して午後8時とし、京都国立近代美術館で4月から10月までの毎週金曜日、国立国際美術館では7月19日から8月31日までの月火木金曜日に、それぞれ実施される。

第29回毎日芸術賞

1988年01月

昭和62年度の第29回毎日芸術賞贈呈式が、12日如水会館で行なわれた。美術関係の受賞者は、陶芸家今泉今右衛門「第13代今泉今右衛門展」「第34回日本伝統工芸展」、グラフィックデザイナー田中一光田中一光展-デザインのクロスロード」、画家難波田竜起「難波田竜起展」が、受賞した。

文化庁、スミソニアン研究所、保存修復技術交流

1988年01月

文化庁は本年より、美術品や遺跡の保存修復技術の国際協力体制に乗り出すことを決定、第一弾としてアメリカの国立スミソニアン研究所との技術交流を提携することとなった。5月に同研究所アダムス長官が来日し、大崎文化庁長官との会談で概要が決定した。日本側では東京・奈良の両国立文化財研究所、国立歴史民俗博物館、国立科学博物館などがこれにあたる。

朝日賞決定

1988年01月

昭和62年度の朝日賞が1日発表された。美術関係では、建築家磯崎新、漫画家手塚治虫、ファッションデザイナー森英恵、国立民族学博物館長梅棹忠夫が受賞。29日朝日新聞東京本社で贈呈式が行なわれた。

大阪で5世紀の建物群跡発掘

1987年12月

大阪市教育委員会、大阪市文化財協会は14日、同市東区法円坂町の難波宮跡の下層から5世紀の大建物群が発掘されたと発表した。柱穴跡などから推定して倉庫であった可能性が強く、東西各6棟、計12棟が確認された。同地は仁徳天皇の難波高津宮であったと推定されており、仁徳朝の正倉であった可能性もある。 

古都税問題で市と対象寺院会議が合意

1987年11月

京都市の古都保存協力税の制度化をめぐって対立してきた市側と金閣寺、銀閣寺などを含む対象寺院会議は25日、懸案となっていた税未納分を寺院側が「あくまで寄付金として支払うが市が税と解釈しても関知しない」ということで合意に達した。

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