法隆寺の「百済観音像」パリのルーブル美術館に展示

1997年09月

9日から10月13日まで、フランスのルーブル美術館で法隆寺の百済観音像が展示された。前年、橋本竜太郎内閣総理大臣とフランスのシラク大統領の日仏首脳会談で日仏国宝級美術品交換展開催が決定されたのを受けて、両国文化交流の一環である「フランスにおける日本年」の企画のひとつとして行われるもので、国宝百済観音が国外に展示されるのはこれが初めて。帰国展は11月26日から12月21日まで、東京国立博物館で特別展観「百済観音」として行われた。

第28回中原悌二郎賞受賞者決定

1997年09月

国内の優れた彫刻作品に贈られる中原悌二郎賞(北海道旭川市主催)の第28回目の選考が行われ、今年8月下旬までの1年間に展覧会を開催した日本人作家110人のなかから、下田治「かみつくめす犬」が受賞者に選ばれた。鉄板溶接による構成的な作品で、重量感のある素材で軽快な作風を示したことが評価された。また、優秀賞は植松奎二「3つのかたち―垂・傾」に決定した。

第7回登録有形文化財、重要伝統的建造物群保存地区(町並み保存地区)選定

1997年09月

文相の諮問機関文化財保護審議会(会長・西川杏太郎)は19日、日本では最初期の西洋的リゾートホテルである神奈川県箱根町の富士屋ホテル本館など50件を文化財登録し、大津市坂本地区の里坊(サトボウ)群、大阪府富田林市の富田林地区、高知県室戸市の吉良川町地区の3件を重要伝統的建造物群保存地区に指定するよう町村信孝文相に答申した。

第14回渋沢クローデル賞受賞者決定

1997年09月

1924年に渋沢栄一と仏人ポール・クローデルにより東京に設立された日仏会館の創立60年を記念して1984年に同会館と毎日新聞との共催で設立された渋沢・クローデル賞の第14回目の受賞者が25日、毎日新聞紙上で発表された。同賞は、毎年、日仏両国の文化の架け橋となる若手研究者の研究に対して贈られ、美術関係では、フランス側本賞にニコラ・フィエーベ(仏国立科学研究センター研究員)『近代以前の日本の建築と都市―京の町の建築空間と14、15世紀の将軍の住まい』(メゾンヌーヴ・エ・ラローズ社刊)、日本側ルイ・ヴィトン・ジャパン特別賞に稲賀繁美(国際日本文化研究センター助教授)『絵画の黄昏―エドゥアール・マネ没後の闘争』(名古屋大学出版会刊)が選ばれた。

第8回本郷新賞受賞者決定

1997年08月

パブリック・スペースのための彫刻を対象にした本郷新賞(主催・札幌彫刻美術館など)の第8回目の受賞作に、豊福知徳「那の津往還」が選ばれた。同作は、1996年3月に福岡市の博多港中央埠頭緑地モニュメント広場に設置された引き揚げ記念碑で高さ15メートルのコールテン鋼による作品。同賞は隔年先行で、今回は91年1月から96年12月までに制作・設置されたパブリック・アートを対象に、全国から推薦された27作品のなかから選考された。贈呈式は11月7日に札幌彫刻美術館で行われた。

日本民家再生リサイクル協会発足

1997年09月

日本の伝統的な建築を伝える民家を「日本の貴重な文化財」とし、「破棄するのではなく、見直し、あらためて住まいの文化を考えていこう」という趣旨で、日本民家再生リサイクル協会が6日、東京都新宿区の日本青年館で発足した。全国に残される民家の保存と活用を目的に、啓発、技術交流、ネットワークづくりを行う。

「土田麦僊展」開催

1997年09月

明治末に日本画壇に登場し、東洋の古典絵画のみならず西洋絵画をも幅広く研究して新しい日本画の創出を求める推進力となった土田麦僊の作品を初期から晩年まで展観する大規模な展覧会が13日から東京国立近代美術館で開催された(~10月19日)。「舞妓林泉図」ほかの代表作をはじめ、素描、小下絵、大下絵を含む約150点が出品され、作家個人の画業の展開が跡づけられるとともに、大正・昭和初期の絵画の動きに再考を促す企画となった。同展は東京で終了後、京都国立近代美術館に巡回した(10月28日~11月30日)。

ルヴァン美術館オープン

1997年07月

東京神田駿河台に大正10年(1921)に開校した文化学院の開校当時の校舎を再現し、美術館とした「ル・ヴァン美術館」(西村八知館長)が20日、軽井沢にオープンした(軽井沢町長倉夫婦石957-10)。文化学院は南紀の資産家で建築・絵画・陶芸などを手がけた西村伊作が自由を重んじる理想的な学校として設立し、英国コテージ風の瀟洒な校舎とともに、斬新な雰囲気で知られた。ル・ヴァン美術館は西村の自由と美の思想を記念して、同校の建物の概観を再現し、また、西村の絵画・陶芸作品、資料、学院に関わった芸術家たちの作品を常設展示する。企画展示も行い、開館記念展は長く文化学院で教鞭を取った画家村井正誠の絵画約10点と彫刻で構成する「村井正誠展」。

現代美術資料センター所蔵資料、東京国立文化財研究所に寄贈

1997年07月

東京都中野区の現代美術資料センター(主宰・笹木繁男)が所蔵資料すべてを東京国立文化財研究所に寄贈することとなった。同センターは主宰者の自宅の一部に資料を所蔵・保管し研究者に公開してきたが、資料の増加等にともない、利用者の便宜などにかんがみて、公立機関に寄贈することとしたもの。受贈する東京国立文化財研究所では、寄贈品の目録作成、公開システムの確立に向けて作業を進めている。

第9回世界文化賞受賞者決定

1997年07月

財団法人日本美術協会(総裁・常陸宮正仁殿下)が世界の芸術家の業績を讃えて毎年行っている「高松宮殿下記念世界文化賞」(プレミウム・インペリアーレ」の第9回目の受賞者が、ローマのコロンナ宮殿で9日午前11時(日本時間同日午後6時」に発表された。美術関係では、「絵画部門」にドイツのゲルハルト・リヒター(65)(多様なスタイルを駆使して絵画の本質を追究した)、「彫刻部門」に米国のジョージ・シーガル(72)(人体から直接型取りする技法によって現代彫刻の中でユニークな地位を占める)、「建築部門」で米国のリチャード・マイヤー(62)(開放的で詩的な「白い建築」で知られる)が選ばれた。受賞式は10月22日東京元赤坂の明治記念館で行われた。

第6回登録有形文化財

1997年07月

文化財保護審議会(会長・西川杏太郎会長)は18日、掬粋巧芸館本館・日本館(山形県東置賜郡川西町)、隆泉苑(静岡県三島市)など24件を登録有形文化財として登録するよう答申した。

「東南アジア―近代美術の誕生」展開催

1997年05月

19世紀末から1960年前後までの東南アジアにおける美術作品を紹介する「東南アジア―近代美術の誕生」展が、9日から福岡市美術館で開催された(~6月8日、その後広島県立美術館、静岡県立美術館、東京都庭園美術館を巡回)。これは数年来のアジア社会の発展の中で、西欧中心主義を見直し、非西欧世界の文化や芸術を公平な視線で評価しようとする試みであり、他にも東京都現代美術館で「東南アジア1997 来るべき美術のために」展(4月12日~6月1日)が開かれるなど、ともにアジアへの関心をうかがわせる展観となった。

人間国宝、選定保存技術認定

1997年05月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は23日、重要無形文化財保持者(人間国宝)にあらたに11人を認定するよう小杉隆文相に答申した。美術関係では青磁の三浦小平二(64)、彩釉磁器の三代徳田八十吉(63)、綴織の細見華岳(74)、刺繍の福田喜重(64)、日本刀の天田昭次(69)および大隈俊平(65)、木工芸の大坂弘道(60)が認定された。これで現存の人間国宝は94人となる。また、選定保存技術保持者に木工品修理の桜井洋(47)、建造物彩色の川面稜一(83)、屋根瓦製作(鬼師)の小林平一(74)を認定した。

若林奮作品をめぐる審理開始

1997年05月

8日、東京・日の出町のゴミ処分場予定地内にある若林奮の作品「緑の森の一角獣座」をめぐる審理が、東京千代田区の日比谷公会堂ではじまった。これは処分場建設に反対し、トラスト運動を展開する住民らに賛同した作家がトラスト地に庭の形をとった作品を制作、その後東京都収用委員会が住民らと処分建設を急ぐ事業者の双方から意見を聞くべく開いたものである。審理の結果、住民側が敗れた場合は作品は破壊される可能性があり、産業社会に抵抗する作品のあり方が問われることとなった。

戦没画学生慰霊美術館“無言館”開館

1997年05月

2日、太平洋戦争で学徒出陣し、戦死した画学生の遺作を集めた“無言館”が開館(長野県上田市東前山300)。同館は信濃デッサン館館長の窪島誠一郎氏が、当時の東京美術学校の学籍簿を頼りに全国を回って作品を集めるという、多大な労のもとに開館の運びとなった。

NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)開館

1997年04月

19日、デジタル技術の進歩とともに、形態を変えつつあるコミュニケーションを主眼に、科学技術と芸術文化の対話を試みるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)が開館(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4~6階)。同センターは、新しい表現に挑むアーティストを支援するためのプログラムを展開するほか、電子図書館等の施設を備える、次世代型ミュージアムである。

神戸ファッション美術館開館

1997年04月

25日、ファッションをテーマとした日本初の美術館である神戸ファッション美術館が開館(兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1)。同館は展示スペースのミュージアムと20世紀初めからの主要ファッション書籍集を収集する図書館、人材交流のセミナー室等のリソースセンター、多目的ホール等からなる。また“神戸ファッション産業復興支援センター”として、阪神大震災で被害を受けた中小ファッション企業への支援も行う。

日本芸術院賞受賞者決定

1997年03月

日本芸術院(犬丸直院長)は24日、芸術の各分野で顕著な功績があった人に贈る平成8年度(第53回)の日本芸術院賞受賞者を内定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には寺島竜一(78)(日展出品作「アンダルシア讃」に対し)、日本芸術院賞には日本画の中路融人(78)(日展出品作「映像」に対し)、彫塑の雨宮淳(59)(日展出品作「韻」に対して)、工芸の河合誓徳(69)(日展出品作「行雲」に対して)、書の甫田鵄川(73)(日展出品作「菜根譚」に対して)が選ばれた。授賞式は7月14日に東京・上野の日本芸術院会館で行われた。

“世界のタイル美術館”開館

1997年04月

12日、タイルに関する歴史や技法等を展示・公開する“世界のタイル美術館”が開館(愛知県常滑市奥栄町1-130)。世界有数のタイル収集家の一人、山本正之氏のコレクションでオリエント、イスラム、イギリス等世界25ヶ国のタイル約6,000点を収蔵し、そのうち800~1,000点を常設展示する。

国宝重要文化財指定

1997年04月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は18日、正倉院正倉など2件を国宝に、重要文化財に司馬江漢筆「相州鎌倉七里浜図」等51件を、史跡5件、名勝1件を新たに指定するよう小杉隆文相に答申した。正倉院の国宝指定は、「古都奈良の文化財」の世界遺産への推薦に伴う措置で、宮内庁が所轄する皇室用財産の国宝指定は初めて。