河合誓徳
陶芸家で日本芸術院会員の河合誓徳は3月7日、肺炎のため死去した。享年82。1927(昭和2)年4月3日、大分県東国東郡国見町竹田津の円浄寺住職父坂井誓順、母シゲの二男として生まれる。少年期、考古学の本に掲載された土器に魅せられ陶芸への憧れを抱く。40年、旧制宇佐中学校に入学。43年鹿児島海軍航空隊甲飛13期飛行練習生として入隊、上海海軍航空隊を経て、45年終戦により復員。47年京都にて日本画家山本紅雲に師事。49年国東へ戻されるが、陶磁の道を諦められず単身で佐賀県有田町諸隈貞山陶房に弟子入り。色絵付を学ぶ。51年京都の加藤利昌陶房にて下絵付に従事。52年京都陶芸家クラブに加入、6代清水六兵衛に師事。同年、第8回日展に「花器」を初出品、初入選。以降、入選が続く。53年12月6日、河合栄之助の長女登志子と結婚。河合家の後継者となる。その後、61年設立の日本現代工芸美術家協会にも活躍の幅を広げる。この時期の作品は白磁を中心とした造形性追求の時代と評される。62年日展で「蒼」が特選・北斗賞を受賞。64年第3回日本現代工芸美術展入選の「白磁瓶」が台湾、中南米各国に巡回。以降、日本現代工芸美術展の海外巡回に精力的に参加。66年現代工芸美術家協会会員になる。68年日展で「宴」が菊華賞を受賞。同年、京都工芸美術展審査員を務める。69年第1回改組日展の審査員を務める。71年日本現代工芸美術10回記念展では審査員を務める。同展に「円像」を出品し現代工芸会員賞・文部大臣賞を受賞。72年日展会員となる。75年紺綬褒章を受章。朝日会館において個展を開催。76年現代工芸美術家協会理事に就任。77年、スイス・スピッ芸術協会より文化交流のため招聘され作品展を開催。約1ヶ年に亘り、スイス国内主要都市に於いて作品巡回。「白象」がベルン美術館に保存される。79年日展で「翠影」が会員賞受賞。同年、用の重要性を主張する新日本工芸家連盟を結成し総務委員に就任。第1回日本新工芸展では審査員を務める。同展に「卓上の宴」を出品。この頃より、作品が壺や鉢などの大器から筥などの小さなものへと変化していく。その後、日展と日本新工芸展を中心に活動を行う。80年日展評議員になる。81年個展を高松国立公園屋島山上美術画廊遊仙亭(10月)、大分トキハ(11月)で開催。83年第5回日本新工芸展「木立の道」で内閣総理大臣賞を受賞。7月1日~7日東京銀座和光ホールにおいて個展を開催。85年11月7~12日には「大分トキハ創立50周年記念トキハ会館落成記念河合誓徳陶芸展」を開催。87年「高島屋美術部80周年記念陶筥展」を東京、横浜、大阪、京都で開催。88年、オーストラリア建国200年新工芸10回記念展では実行委員を務め、「釉裏紅富貴」(八角陶筥)を出品。この頃より染付の青や 裏紅の赤で表現する作品を数多く発表。1989(平成元)年、日展で「行雲」が内閣総理大臣賞受賞。高島屋横浜店創業30周年記念「瑞松」展開催。高知とでん西武において陶筥展開催。90年大阪高島屋において「花・草原・雲」展開催。91年、第13回日本新工芸展「草映」で内閣総理大臣賞受賞。2月東急デパートにおいて陶芸三人展(加藤卓男、北出不二雄、河合誓徳)を開催。92年3月、第10回京都府文化賞功労賞受賞。パリ三越エトワール開館記念NHK主催日本の陶芸「今」に「釉裏紅富貴」「草映」(陶筥)出品。11月西武池袋店において「甦る釉裏紅 河合誓徳四十年の歩み展」開催、続いて大分トキハに巡回。93年京都高島屋において「彩象 河合誓徳展」開催。95年日展監事になる。京都高島屋において「香炉展」開催。97年日本芸術院賞受賞、日展理事に就任。東京、横浜、京都、大阪高島屋にて「古稀記念 河合誓徳展」開催。98年京都市文化功労者として表彰される。2000年日本新工芸家連盟副会長に就任。02年大分県立芸術会館にて「河合誓徳展―磁器の新しい表現を求めて」開催。東京・京都高島屋にて「景象の譜 河合誓徳展」開催。日本新工芸家連盟会長に就任。03年、大阪・名古屋・横浜高島屋にて「景象の譜 河合誓徳展」開催。映像資料「日本の巨匠次世代へ伝えたい芸術家二百人の素顔」(第3巻、細野正信監修、日本芸術映像文化支援センター製作・著同朋舎メディアプラン)が発行される。同年、日本新工芸家連盟会長に就任。05年日本芸術院会員、07年日展常務理事、08年日展顧問を務める。
出 典:『日本美術年鑑』平成23年版(429頁)登録日:2014年10月27日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
例)「河合誓徳」『日本美術年鑑』平成23年版(429頁)
例)「河合誓徳 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/28481.html(閲覧日 2024-10-08)
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- ■美術界年史(彙報)
- 1997年03月 日本芸術院賞受賞者決定
- 2005年11月 日本芸術院新会員決定