建造物の重要文化財指定の答申
2003年04月文化審議会(高階秀爾会長)は、3月18日、「東京駅丸ノ内本屋」(東京都千代田区)など8件の建造物を重要文化財に指定するように遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより、建造物の重要文化財は、2,238件・3,806棟(国宝を含む)となった。
文化審議会(高階秀爾会長)は、3月18日、「東京駅丸ノ内本屋」(東京都千代田区)など8件の建造物を重要文化財に指定するように遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより、建造物の重要文化財は、2,238件・3,806棟(国宝を含む)となった。
故木村伊兵衛の業績を記念して朝日新聞社が、昭和50年に創設した同賞は、オノデラユキ写真集『カメラキメラ』(水声社)、佐内正史写真集『MAP』(佐内正史事務所)の2氏に決定した。授賞式は、4月17日に行い、受賞作品展を4月15日よりミノルタフォトスペース新宿で開催した。
弘法大師空海が、入唐留学して1,200年を記念して、金剛峯寺をはじめ高野山内の諸寺の文化財を展示する展覧会が、京都国立博物館で4月15日より開催された。内容は、「第一章 空海と高野山の歴史」、「第二章 空海の思想と密教のかたち」、「第三章 信仰の重なりとその美術」、「第四章 山の正倉院」、「第五章 近世の高野山」の5部から構成されていた。出品されたのは国宝21件、重要文化財103件を中心とする160件であり、真言密教の霊場高野山の古代から近世美術までの全容を紹介する機会となった。(会期は、5月25日まで、以後愛知県美術館、東京国立博物館、和歌山県立博物館を巡回。)
日本芸術院(犬丸直院長)は、3月28日、芸術の分野で顕著な功績のあった人に贈る平成14年度の日本芸術院賞受賞者を決定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には、日本画家岩倉寿(66)(日展出品作「南の窓」に対して)、洋画家塗師祥一郎(70)(日展出品作「春を待つ山間」に対して)、彫刻家澄川喜一(71)(新制作展出品作「そりのあるかたち2002」に対して)、工芸家大角勲(62)(日展出品作「天地守道(生)」に対して)、書家井茂圭洞(66)(日展出品作「清流」に対して)、建築家栗生明(55)(平等院宝物館の建築設計に対して)が選ばれた。授賞式は、6月2日に東京・上野の日本芸術院会館で行なわれた。
青木繁の芸術を今日的な視点から回顧しようとした展覧会が、3月25日より東京国立近代美術館で開催された。内容は、「Ⅰ.神話的渾沌から」、「Ⅱ.海のフォークロア」、「Ⅲ.生命礼賛」、「Ⅳ.恋愛あるいは永遠の女性」、「Ⅴ.古代の発見」、「Ⅵ.望郷あるいは晩帰」の6章からなり、青木繁の芸術が投げかけた問題を共有するかとおもわれる、万鉄五郎、村上華岳など近代日本の作家19人の作品もあわせて展示され、近代日本の底流を問い直そうとする意欲的な試みとなった。(会期、5月11日まで。以後、石橋財団石橋美術館に巡回。)
浄土真宗の宗祖親鸞の木造を安置した西本願寺御影堂の修復工事事業を記念した展覧会が、3月25日より東京国立博物館で開催された。内容は、「一 飛雲閣と諸殿の障壁画」、「二 親鸞聖人の肖像と筆跡」、「三 親鸞聖人の生涯と信仰」、「四 本願寺の草創と歴史」、「五 東国の真宗文化」、「六 名筆と唐物」、「七 本願寺本三十六人家集」、「八 慕帰絵」、「九 御影堂の修復」の9部からなり、国宝「親鸞聖人影像(鏡御影)」、「本願寺本三十六人家集」を含む、同寺所蔵の文化財120件余を、一同に東京において紹介する初めての機会となった。(会期、5月5日まで。)
日本の伝統文化や現代芸術の分野での優秀な人材の顕彰と育成を目的にした同賞(財団法人日本文化芸術財団主催)の第10回の受賞者が決定した。同賞の日本現代芸術振興賞には、荒川修作(67)とマドリン・ギンズ(62)、奨励賞には和紙デザイナー堀木エリ子(41)が選ばれた。3月24日、授賞式が元赤坂の明治記念館で行なわれた。
大阪市中央区にある出光美術館が、運営の母体である出光興産のリストラ策の一環から、3月23日をもって閉館した。同美術館は、大阪心斎橋の出光興産ビルの13階に設けられた施設で、平成元年11月に開館、これまでに72回の展覧会を開催してきた。
宮崎駿監督のアニメーション映画「千と千尋の神隠し」が、長編アニメ部門賞を受賞したことが、3月23日に発表された。
文化審議会(高階秀爾会長)は、3月20日、藤原定家自選歌集「拾遺愚草」上中下、自筆本(冷泉家時雨亭文庫)を国宝にするよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。また、葛飾北斎筆「紙本墨画日新除魔図」(坂本安子)、鏑木清方筆「三遊亭円朝像」(東京国立近代美術館)、藤島武二筆「天平の面影」(石橋財団石橋美術館)、関根正二筆「信仰の悲しみ」(大原美術館)、小出楢重筆「Nの家族」(大原美術館)など、45件を重要文化財に指定するように答申した。あわせて近代建造物の保護を目的とした登録有形文化財(建造物)として、157件を登録するように求めた。
芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、3月7日文化庁より発表された。美術関係では、彫刻家若林奮(67)(展覧会「若林奮展」)、美術史家榊原悟(54)(著作「美の架け橋-異国に遣わされた屏風たち」)が文部科学大臣賞、また建築家遠藤秀平(43)(建築「筑紫の丘斎場」)が文部科学大臣新人賞を受賞した。贈呈式は、3月13日に東京都内のホテルで行われた。
平成15年度の文化庁予算は、前年度比1.9%増の133,300万円にすることが決まった。新規事業では、「文化交流使の派遣」、「ITによる国内外への発信」、「文化ボランティア活動推進事業」などが盛り込まれた。
具象、抽象の区別なく、絵画、平面表現に取り組む40歳以下の作家を対象とした「VOCA展2003」(同展実行委員会、財団法人日本美術協会、上野の森美術館主催)の最高賞であるVOCA賞は、津上みゆきの「View,Sep―Nov,02」に決定した。奨励賞には、岩城直美、大谷有花、小野博、中ザワヒデキが選ばれた。なお展覧会は、3月14日から30日まで上野の森美術館で開催された。
バレエ・リュス、ノイエ・タンツなど、海外から紹介された新しい舞踏は、同時に新しい視覚的な身体イメージとして美術の分野にも少なからず影響を与えた。これを検証しようとする展覧会が、2月9日より栃木県立美術館で開催された。舞踏と美術の関係を顧みた企画としてユニークなものであり、内容は、「① 1910-20年代の美術家と舞踏」、「② 村山知義とニディー・インペコーフェン」、「③ 『シトゥルム木版画展覧会』と斉藤佳三の舞台美術」、「④ 久米民十郎と伊藤道郎の『鷹の井戸』」、「⑤石井漠と写真家たち」、「⑥ 1930年代-高田せい子と崔承喜」の6部によって構成され、油彩、水彩、素描、版画、写真等253点が出品されていた。(会期、3月23日まで。)
立教開宗750年を記念して、日蓮諸宗の寺院に伝わる美術品等によって構成された展覧会が、1月15日より東京国立博物館で開催された。内容は、「第一章 日蓮聖人とその門弟」、「第二章 法華経の美術」、「第三章 外護者と信者」、「第四章 法華文化の精粋」の4部によって構成され、160件余の美術品等が出品され、これまであまり顧みられなかったこの宗門にまつわる中世から近世にわたる美術、文化を総合的に検証する展覧となった。(会期、2月23日まで。)
新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第14回目の受賞者が決定した。「美術史研究部門」では、天野知香(お茶の水女子大学大学院助教授)の『装飾/芸術―19~20世紀フランスにおける「芸術」』(ブリュッケ)、同部門において滝沢恭司(町田市立国際版画美術館)の「極東ロシアのモダニズム1918-1928 ロシア・アヴァンギャルドと出会った日本」展の企画及びカタログ内の論文が対象となった。12月9日、東京、赤坂プリンスホテルにて授賞式が行われた。
文化審議会(高階秀爾会長)は、12月6日、長野県立松本深志高校の管理普通教室棟をはじめとする152件を登録有形文化財に登録するよう遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより登録有形文化財の建造物は3,298件となった。
文化審議会(高階秀爾会長)は、12月5日、文化振興施策の総合的推進基本方針をまとめ、遠山敦子文部科学大臣に答申した。答申によると、基本計画は5年計画で見直す。今後重視すべき方向性としては、豊かな感性や創造性を育む教育環境の整備、伝統文化を理解するうえで重要な国語教育の充実、文化遺産の保存伝承、新たな文化発信、並びに財政措置や税制措置の充実を打ち出した。フランス型の国の支援、米国型の民間支援の折衷型を目指すことを提示した。
日本芸術院(犬丸直院長)は、12月2日、新会員8人を発表した。第一部(美術)では、日本画家の上村淳之(69)、同じく那波多目功一(69)、洋画家の清原啓一(75)、工芸作家の三谷吾一(83)。これにより、現在の定員120人に対して、今回の補充により会員数は110人となった。
21世紀を担う日本画家を表彰するために新設された同賞(日本経済新聞社主催)の受賞者が、内田あぐり(53)「吊るされた男-’00M」、浅野均(47)「雲涌深処」に決定した。「東山魁夷記念日経日本画大賞展」は、11月2日より、ニューオータニ美術館で開催された。(会期、12月1日まで。)