文化庁予算決まる

2004年02月

平成16年度の文化庁予算は、前年比1.3%増の10,159,300万円にすることが決まった。新規事業では「文化財の次世代への継承と国際協力の推進」として、「文化財保護国際貢献事業」、「西アジア文化遺産保護緊急協力」などが盛り込まれた。

「歌を描く 絵を詠む―和歌と日本美術」展開催

2004年02月

和歌と美術の関りを、ことばと視覚的なイメージとの協同としてとらえ、その文化的な豊かさを見直そうとする展覧会が、2月3日よりサントリー美術館で開催された。内容は、「1 歌びと、神になる―歌仙と歌合」、「2 歌が自然と人生と社会の規範に―名所と月次」、「3 歌が物語を動かす―物語の中の和歌」、「4 歌で遊ぶ 絵で遊ぶ―歌ことばと絵と文様」、「5 歌の載るメディア―色紙から屏風まで」の5章から構成され、「響き合うことばとイメージの世界」を示すために、絵画、工芸等の多彩な作品88件が出品された。(会期、3月21日まで。)

2003年度朝日賞受賞者決定

2004年01月

学術と芸術の分野で傑出した業績をあげた個人や団体に贈られる朝日賞が、朝日新聞文化財団と朝日新聞社による選考委員会によって決定した。美術の分野では、「画家として長年の業績と文化遺産保存への国際的貢献」が評価され、平山郁夫(73)に贈られた。贈呈式が、1月28日に帝国ホテルで行われた。

第45回毎日芸術賞受賞者決定

2004年01月

優れた芸術活動をした個人、団体に贈られる同賞の今年度の受賞者が決定した。美術関係では、美術家中西夏之(78)(愛知県美術館、愛媛県美術館「中西夏之展」及び東京芸術大学大学美術館「二箇所―絵画場から絵画衝動へ―中西夏之展」に対して)が選ばれた。1月26日、東京会館で贈呈式が行われた。

国特別史跡キトラ古墳調査

2004年01月

文化庁は、国特別史跡であるキトラ古墳(奈良県明日香村)を保存処理するため1月26日に初めての発掘調査を開始した。調査の委託を受けた東京、奈良文化財研究所では、盗掘穴から室内の空気採取、またデジタルカメラ設置などの作業をし、保存修復のための対策を検討することになった。同時に古墳内の現状を公開した。

「具体」回顧展

2004年01月

戦後、独創的な日本の前衛芸術グループとして国際的な注目を集めた具体美術協会(具体)の結成50周年を記念する回顧展が、1月24日より兵庫県立美術館で開催された。制作風景や展示風景等の映像資料を交えながら、同協会の誕生から終焉に至る経緯、およびその歴史的意義を再認識させる展覧会となった。なお同展を機に、具体の歴史をまとめた単行書『「具体」ってなんだ?』が、美術出版社より刊行された。(会期、3月14日まで。)

「南禅寺」展開催

2004年01月

南禅寺を開山した亀山法皇700年御忌を記念して同寺に伝わる文化財を一堂に紹介する展覧会が、1月20日から東京国立博物館で開催された。「Ⅰ巨刹のはじまり」、「Ⅱ繁栄の軌跡―名僧たちの営為」、「Ⅲ信仰と風雅―伝世する至宝」、「Ⅳ蘇る南禅寺」、「Ⅴ新たな装い―寺を彩る」の5章から構成され、国宝「亀山法皇起願文」、「南禅寺領諸国所々紛失御判物帖」、伝徽宗筆「秋景冬景山水図」等、国宝、重要文化財を含む130件が出品され、皇室が最初に創建した禅宗寺院において伝承された歴史と文化が紹介された。(会期、2月29日まで。京都国立博物館に巡回。)

第15回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2003年12月

新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第15回目の受章者が決定した。「美術評論部門」では、小沢節子『「原爆の図」描かれた<記憶>、語られた<絵>』(岩波書店)、「美術史研究部門」では木村理恵子(栃木県立美術館)「ダンス!20世紀初頭の美術と舞踏」展の企画及びカタログ内の論文が対象となった。授賞式は、12月1日、東京・赤坂プリンスホテルで行なわれた。 

日本学士院新会員決定

2003年12月

日本学士院(長倉三郎院長)は、12月12日、会員の補充選挙を行ない新会員6人を選定したことを発表した。会員は学術上優れた業績を上げた研究者が選ばれ、第一部人文科学では、狩野派障屏画の独創的研究による成果を上げた美術史家武田恒夫(78)が選出された。今回の補充で、会員は139人(定員150人)となった。

日本芸術院新会員決定

2003年12月

日本芸術院(犬丸直院長)は、12月1日、新会員9人を発表した。第一部(美術)では、洋画家塗師祥一郎(71)、陶芸家今井政之(72)。現在の定員120人に対して、今回の補充により会員数は112人となった。

第9回重森弘淹写真評論賞受賞者決定

2003年11月

国内で唯一の写真評論賞で、写真評論家重森弘淹の業績を称えて設立された同賞(重森弘淹顕彰会)の第9回の受賞者に、今橋映子『<パリ写真>の世紀』(白水社)が決定した。授賞式は、11月23日、東京綜合写真専門学校で行なわれた。

第24回ジャポニスム学会賞受賞者決定

2003年11月

ジャポニスム学会(高階秀爾会長)は、第24回の同会賞を美術史家松村恵理『壁紙のジャポニスム』(思文閣出版)に決定した。授賞式は、11月22日、東京・恵比寿の東京都写真美術館で行なわれた。

登録有形文化財の答申

2003年11月

文化審議会(高階秀爾会長)は、11月21日、明治村帝国ホテル中央玄関(愛知県犬山市)をはじめとする170件の建造物を登録有形文化財に新たに登録するよう、河村健夫文部科学大臣に答申した。これにより登録累計は、3,899件となった。

「大見世物」展開催

2003年11月

江戸時代後期から明治初期にかけて、浅草をはじめとする庶民の盛り場において、興行としておこなわれた見世物を見なおそうとするユニークな展覧会が、11月1日からたばこと塩の博物館で開催された。内容は、「浅草と両国-見世物の空間」、「籠細工」、「生人形」、「菊細工」、「細工見世物の世界」、「軽業・曲芸」、「動物見世物」等、刷り物だけではなく、一部その再現をしながら展示し、260余点によって幅広く当時の庶民文化を検証する試みとなった。(会期、12月14日まで。)

第25回サントリー学芸賞受賞者決定

2003年11月

サントリー文化財団主催の同賞の受賞者が、11月6日に発表された。「芸術・文学部門」では、飯島洋一(多摩美術大学助教授)『現代建築・アウシュヴィッツ以後』(青土社)、宮崎法子(実践女子大学教授)『花鳥・山水画を読み解く-中国絵画の意味』(角川書店)が選出された。贈呈式は、12月10日、東京・丸の内の東京会館で行なわれた。

秋の褒章受章者

2003年11月

政府は、11月2日付けで秋の褒章受章者846人と5団体を発表した。美術関係では、紫綬褒章に、版画家中林忠良(66)、劇画家さいとう・たかを(67、本名斎藤隆夫)、写真家富山治夫(68)、木工芸作家中川清司(61)、美術家荒川修作(67)美術史家若桑みどり(67)が選ばれた。

文化勲章、文化功労者決定

2003年10月

政府は、10月28日、平成15年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。美術関係では、日本画家加山又造(76)が文化勲章を受章。また、建築家安藤忠雄(62)、写真家田沼武能(74)が文化功労者に選ばれた。

第15回国華賞受賞者決定

2003年10月

日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。國華賞には、安藤佳香『仏教荘厳の研究-グプタ式唐草の東伝-』(中央公論美術出版)が、同奨励賞には、猪熊兼樹「春日大社蔵『沃懸地螺鈿毛抜形太刀』の意匠に関する考察」(『仏教芸術』266号、平成15年1月)が選ばれた。贈呈式が、10月23日に朝日新聞社東京本社で開催された。

第15回世界文化賞

2003年10月

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、日本美術協会主催)の第15回授賞式が、10月23日、東京、元赤坂の明治記念館で行なわれた。美術関係の受賞者は、絵画部門ではブリジット・ライリー(72、イギリス)、彫刻部門ではマリオ・メルツ(78、イタリア)、建築部門ではレム・コールハーツ(58、オランダ)が選ばれた。

第13回吉田秀和賞受賞者決定

2003年10月

芸術の評論を対象にした第13回の同賞(吉田秀和芸術振興基金主催)の受賞者が、10月21日に岡田温司『モランディとその時代』(人文書院)に決定した。授賞式は、11月22日、水戸市の水戸芸術館で行なわれた。

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