秋の褒章受章者

2002年11月

政府は、11月1日に秋の褒章受章者を発表した。美術関係では、紫綬褒章に、立体造形作家の小田襄(66)、染織作家の佐々木苑子(63)、造形作家の李禹煥(66)が選ばれた。

文化勲章、文化功労者決定

2002年10月

政府は、10月30日、平成14年度の文化勲章受章者6人と文化功労者11人を公表した。美術関係では、ガラス工芸家の藤田喬平(81)が文化勲章を受章。また、インダストリアル・デザインの柳宗理(87)と日本画家の郷倉和子(87)が文化功労者に選ばれた。

「近代歴史画と羽石光志」展開催

2002年10月

近代から現代にいたるまでの日本画を「歴史画」という主題をもとに、その展開をたどった展覧会が、10月26日より栃木県立美術館で開催された。内容は、「第1部 歴史画の成立と隆盛-明治30年代まで」、「第2部 歴史画の再興-終戦まで」、「第3部 新しい歴史画の展開-現代まで」の3部で構成され、173点が出品され、明治から現代まで歴史画がどのように描かれてきたのか、美術、とりわけ日本画と社会、イデオロギーとの関係を見るうえで重要な視点を示した展覧となった。(会期、03年1月13日まで。)

第14回国華賞受賞者決定

2002年10月

日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。奨励賞受賞作は、門脇むつみ(日本学術振興会特別研究員)著『寛永文化の肖像画』(勉誠出版、02年2月)。贈呈式、10月24日、東京築地の朝日新聞社浜離宮朝日小ホールで行われた。

第14回世界文化賞

2002年10月

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、日本美術協会主催)の第14回授賞式が、10月23日、東京、元赤坂の明治記念館で行われた。美術関係の受賞者は、絵画部門ではジグマー・ポルケ(61、ドイツ)、彫刻部門ではジュリアーノ・ヴァンジ(71、イタリア)、建築部門ではノーマン・フォスター(67、イギリス)が選ばれた。

「狩野探幽展」開催

2002年10月

狩野探幽の生誕400年を記念する展覧会が、10月19日より東京都美術館で開催された。内容は、「これが探幽だ!!」、「探幽様式の完成」、「画壇制圧」、「新たなる挑戦」の4セクションによって構成され、104点が出品された。昭和50年代以降、「探幽縮図」をはじめとする資料が注目されたのを契機に、近年までの再評価の研究の動向を反映し、この画家の真価を問い直す機会となった。(会期、12月8日まで。)

岐阜県現代陶芸美術館開館

2002年10月

岐阜県多治見市に、同美術館が10月12日に開館した。同美術館は、陶磁器をテーマに、産業と文化の複合施設として建設されたもので、施設は、地上3階、地下2階、延べ床面積は4,572平方メートル。開館記念展として「現代陶芸の100年 第一部 日本陶芸の展開」展を開催した。(会期、03年1月19日まで。)

熊本市現代美術館開館

2002年10月

熊本県熊本市の中心部に建設された複合施設「びぷれす熊日会館」内の3階と5階部分に、同美術館が10月21日に開館した。施設は、3階に1,500平方メートルの企画展示室を設け、ジェイムズ・タレル、マリーナ・アブラモヴィッチ、草間弥生、宮島達男等による建築物と一体化したアートワークが設置されている。開館記念展として「アティテュード2002」展を開催した。(会期、12月8日まで。)

重要文化財指定

2002年10月

文化審議会(高階秀爾会長)は、神奈川県箱根の「福住旅館」、大阪市中之島の「大阪市中央公会堂」など、11件の建造物を重要文化財に指定するよう遠山敦子文部科学大臣に答申した。また、166件の建造物を登録有形文化財に登録するよう併せて答申した。これにより、重要文化財への指定は、2,230件、登録有形文化財への登録は3,146件となった。

「茶の湯 名碗―茶碗に花開く桃山時代の美」展開催 

2002年10月

「茶碗」を通して茶の湯の歴史と茶の湯の美意識の形成と変遷をたどる展覧会が、10月5日より徳川美術館で開催された。内容は、室町時代後期から桃山時代を中心に、「序章 東山御物の世界」、「第一章 紹鴎の時代」、「第二章 利休の時代」、「第三章 織部の時代」、「終章 侘び数寄の展開」の5つのテーマによって構成され、103点の「和物茶碗」が出品された。茶道史、陶磁史の両面からの視点により、現代までつづくその美意識の一端を示す機会となった。(会期、11月4日まで。以後、五島美術館を巡回。)

「ピカソ 天才の誕生 バルセロナピカソ美術館展」開催

2002年09月

青年期のピカソの画業を紹介する展覧会が、9月21日より上野の森美術館で開催された。内容は、ピカソ14歳の制作である「初聖体拝領」(1896年)をはじめとして、バルセロナ・ピカソ美術館の所蔵品を中心に国内初公開となる青年期の油彩画、スケッチ等222点から構成され、ピカソの画業の原点を紹介する展覧となった。(会期、12月8日まで。)

ポーラ美術館開館

2002年09月

神奈川県足柄郡箱根町に同美術館が、9月6日に開館した。コレクションは、19世紀から20世紀の西洋絵画約400点、近代日本洋画280点、近代日本画160点、化粧道具6,700点などからなる。施設は、地上2階、地下3階、延べ床面積は8,908平方メートル。開館記念展として、「光の中の女たち」展を開催。(会期、6月3日まで。)

第23回ジャポニスム学会賞受賞者決定

2002年09月

ジャポニスム学会(会長、嘉門安雄、理事長、大島清次)は、9月5日の理事会で、平成14年度の同学会賞を、小山ブリジット(武蔵大学人文学部教授)の『Japon reve-Edmond de Goncourt et Hayashi Tadamasa』(『夢見た日本 エドモン・ド・ゴンクールと林忠正』フランス、ヘルマン社、01年12月)と決定した。授賞式は、12月24日に行われた。

「描かれた明治ニッポン-石版画〔リトグラフ〕の時代」展開催

2002年08月

明治期における石版画の隆盛を検証した展覧会が、8月17日より神戸市立博物館で開催された。内容は、「1 石版画との出逢い」、「2 官製石版画」、「3 民間石版画の黎明」、「4 石版画を描いた人々」、「5 メディアとしての石版画」、「6 商業美術と石版画の展開」の6部によって構成され、506点が出品され、これまであまり省みられなかった石版画の多様な用途と美術的価値の見直しをせまる総合的な展覧となった。(会期、9月16日まで。以後、町田市立国際版画美術館、郡山市立美術館を巡回。)

水野美術館開館

2002年07月

長野県長野市に、7月27日に同美術館が開館した。同美術館は、ホクト産業社長水野正幸が収集した、近代日本画を公開するためのもので、施設は3階建て、菱田春草、横山大観、橋本雅邦等の作品約400点を所蔵している。

第18回京都賞受賞者決定

2002年06月

財団法人稲盛財団(理事長稲盛和夫)は、6月21日に、科学や文明の発展に寄与した人に贈る京都賞受賞者を発表した。思想・芸術部門では、建築家の安藤忠雄(60)が受賞した。授賞式は、11月10日、国立京都国際会館で行われた。

人間国宝認定

2002年06月

文化審議会(高階秀爾会長)は、6月21日に12人を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう遠山敦子文部科学大臣に答申した。工芸技術の部では、袴地などの絹織物である「精好仙台平」の伝統技法の技術者甲田綏郎(73)、砂張加工技術を伝承する「銅鑼」制作の三代魚住為楽(64、本名魚住安彦)、「桐塑人形」の林駒夫(65)、兵庫県西宮市名塩に伝承する「名塩雁皮紙」の技術者谷野剛惟(67)、截金装飾の江里佐代子(56)、?漆の大西勲(57)が選ばれた。これにより、現存の人間国宝は、114人となった。

「スーラと新印象派」展開催

2002年06月

ジョルジュ・スーラの作品から生まれた新印象主義を、歴史的かつ理論的に見直そうとする展覧会が、6月2日より高知県立美術館で開催された。内容は、これまで国内で紹介されることの少なかったスーラの作品をはじめ、スーラ周辺の画家、あるいはその影響をうけた23作家、107点によって構成され、あらためてその歴史的な意味を回顧する展覧となった。(会期、7月14日まで。以後、宇都宮美術館、京都国立近代美術館、安田火災東郷青児美術館を巡回。)

登録有形文化財

2002年05月

文化審議会(高階秀爾会長)は、5月17日、京都市の「平安神宮の大鳥居」など、58ヶ所(145件)の建造物を新たに登録有形文化財とするように、遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより、登録有形文化財は計2991件となった。

春の褒章受章者

2002年04月

政府は平成13年春の褒章受章者を4月29日付で発表した。美術関係の紫綬褒章受章者は、漆芸作家増村紀一郎(60)、漫画家ちばてつや(63)、写真家江成常夫(65)、金工作家玉川宣夫(60)、立体造形作家新宮晋(64)。

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