森美術館開館

2003年10月

東京都港区の複合総合施設六本木ヒルズ内に、同美術館が、10月18日に開館した。美術館は、53階建ての高層ビルの52、53階に設けられ、総床面積7,284平方メートル、ギャラリー総面積2,875平方メートル。開館記念展として、「ハピネス:アートにみる幸福への鍵」展を開催した。(会期、平成16年1月18日まで。)

建造物の重要文化財指定

2003年10月

文化審議会(高階秀爾会長)は、10月17日、旧日光田母沢御用邸(栃木県日光市)をはじめ14件を重要文化財に指定するよう河村建夫文部科学大臣に答申した。これにより、国宝を含む建造物の重要文化財は2,250件(3,844棟)となった。

「浮世絵 大武者絵展」開催

2003年10月

浮世絵版画における近世初期から明治期までの武者絵に焦点をあて、その展開をたどろうとする展覧会が、10月11日から町田市立国際版画美術館にて開催された。内容は、「第一部 浮世絵武者絵の流れ」、「第二部 太閤記の世界」の2部構成で、特に第一部では、元禄時代の墨摺り浮世絵から明治期までの武者絵360余点によって回顧しており、初めての試みとして注目された。また第二部でも江戸時代には禁制であった「太閤記」を主題にしながら、その表現の変容を80余点の作品によってたどろうとする意欲的な試みであった。(会期、11月24日まで。)なお、同年4月8日から、「武者絵 江戸の英雄大図鑑」展が渋谷区立松濤美術館で開催され、同展は、義経、弁慶、曽我兄弟等を題材にした武者絵、錦絵、絵馬、凧絵などによって構成され、同じテーマながら前記展覧会とは異なった試みをしていた。(会期、5月18日まで。)

神奈川県立近代美術館葉山館開館

2003年10月

10月11日、神奈川県立近代美術館の本館となる葉山館が開館した。施設は、地上2階、地下2階、延床面積は7,111平方メートル、4室ある展示室の総面積は1,297平方メートル。鎌倉館にはなかった図書室、講堂、ミュージアムショップ、レストラン等が設けられた。民間の資金、経営ノウハウを活用することを目的に、国内の美術館としては初めてPFI(プライヴェート・ファイナンス・イニシアチブ)方式がとられ、施設の建設、維持管理、運営など事業に民間会社があたった。開館記念展は、収蔵品170点で構成された「もうひとつの現代」展が開催された。(会期、平成16年1月25日まで。)

「肉体のシュルレアリスム 舞踏家土方巽抄」展開催

2003年10月

現代舞踏のなかでユニークな位置を占め、舞踏界のみならず同時代の美術家、写真家、文学者等に刺激を与えつづけた土方巽(1928~1986)の残したドキュメントを展示した展覧会が、10月11日より川崎市岡本太郎美術館で開催された。会場では、土方と関連した美術作品とともに、写真、自筆原稿、舞踏譜、舞台美術、ポスター、資料等が展示され、あわせて当時の映像とともに、舞踏の公開レッスンやパフォーマンスが上演され、「舞踏」創造の跡を検証しようと試みられた。(会期、平成16年1月12日まで。)

第21回平櫛田中賞受賞者決定

2003年09月

彫刻家平櫛田中の百寿を記念して、国内の彫刻界の振興を目的に設立された同賞(岡山県井原市主催)の第21回の受賞者に、籔内佐斗司(50)が決定した。9月25日、東京で授賞式が行なわれ、9月24日から30日まで日本橋高島屋で受賞記念展が開催された。

登録有形文化財の答申

2003年09月

文化審議会(高階秀爾会長)は、9月19日、明治村北里研究所本館(大正4年建築、愛知県犬山市)をはじめとする建造物134件を登録有形文化財にするよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより建造物の登録有形文化財は、累計3,729件となった。

「円山応挙 <写生画>創造への挑戦」展開催

2003年09月

円山応挙の芸術を初期作品から晩年の作品まで網羅した展覧会が、9月13日より大阪市立美術館で開催された。内容は、「実の写生」、「気の写生」、「虚の写生」、「虚実一体空間」、「伝統描法による作品・からくりのある絵・資料」の5部からなり、国宝「雪松図」、重要文化財14件を含む120件が出品され、円山応挙の「写生」の意味と表現を今日的な視点から再検討する展覧となった。(会期、10月26日まで、以後福島県立美術館、江戸東京博物館を巡回。)

第11回本郷新賞受賞者決定

2003年08月

過去2年間に公共空間・建築に設置された彫刻から選ぶ第11回の同賞(財団法人札幌彫刻美術館主催)が、土屋公雄(48)「時の知層」(大阪府和泉市・和泉シティプラザのエントランス広場に設置)に決定した。8月29日に同美術館で贈呈式が行なわれ、30日より受賞記念「土屋公雄彫刻展」が、10月13日まで同美術館で開催された。

第2回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003開催

2003年07月

新潟県十日町市を中心とする6市町村で、7月20日より同展が開催された。今回は、152人の作家が選出され、公募の5人を加えた157人が出品した。「人間は自然に内包される」という基本理念のもと、地域と自然と人間の調和を目指した作品が数多く出品された。(会期、9月7日まで。)

「もうひとつの明治美術」展開催

2003年07月

明治期の洋画の再検討を促す試みの展覧会が、7月19日より静岡県立美術館で開催された。副題に「明治美術会から太平洋画会へ」とあるように、これまで黒田清輝が指導する東京美術学校西洋画科とは異なる明治洋画の系譜をたどろうとするもので、内容は「第1章 明治洋画の胎動」、「第2章 明治美術会の創立」、「第3章 太平洋画会の創立と展開」、「第4章 水彩画の時代」、「第5章 日本近代彫刻と太平洋画会」の5部からなり、資料を含め250点余が出品されていた。(会期、8月24日まで。以後、府中市美術館、長野県信濃美術館、岡山県立美術館を巡回。)

新潟県立万代島美術館開館

2003年07月

7月12日、新潟県新潟市に同美術館が開館した。信濃川河口に建設された31階建ての複合ビル「万代島ビル」の5階に、展示室1,400平方メートルの施設として設けられた。新潟県立近代美術館(長岡市)の分館として、収蔵品を共有しながら、おもに1945年以降の作品を企画展示していくことになった。開館記念展は、国内作家11人の作品によって構成された「絵画の現在」が開催された。(会期、8月17日まで。)

第33回中原悌二郎賞受賞者決定

2003年06月

彫刻家中原悌二郎を記念した同賞(北海道旭川市主催)の受賞者に、舟越桂(52)「水の山」が決定した。また優秀賞には、青木野枝(44)「玉鋼-Ⅲ」、多和圭三(51)「沼」が選ばれた。授賞式は、10月4日に同市内で行なわれた。

人間国宝指定

2003年06月

文化審議会(高階秀爾会長)は6月20日、10人を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するように遠山敦子文部科学大臣に答申した。「工芸技術の部」では、無名異焼の五代伊藤赤水(61、本名伊藤窯一)、献上博多織の小川規三郎(66)、木工芸の村山明(59)、竹工芸の五代早川尚古斎(71、本名早川修平)が選ばれた。これにより、現在の人間国宝は、116人となった。

「地平線の夢-昭和10年代の幻想絵画」

2003年06月

地平線をキーワードとして、時代の閉塞感を背景に理想郷への憧憬を表現した作品によって構成された展覧会が、6月3日より東京国立近代美術館で開催された。内容は、「第1章 物語る絵画」、「第2章 古代への憧憬」、「第3章 大陸の蜃気楼」、「第4章 画学生たちの心象風景」の4部からなり、79点が出品され、これまで同時代の「幻想絵画」をシュルレアリスムの影響のみで語ろうとしていたことに対して、異なった切り口をみせ、新鮮な印象をあたえた展示となった。(会期、7月21日まで。)

「鎌倉-禅の源流」展開催

2003年06月

建長寺創建750年を記念して、同寺をはじめ鎌倉を中心とした禅宗文化を紹介する展覧会が、6月3日より東京国立博物館で開催された。内容は、「第一章 鎌倉武士と禅」、「第二章 中国との往来」、「第三章 鎌倉ゆかりの絵画」、「第四章 中国風文化の隆盛」の4部からなり、茶道、能、生花などの芸術に洗練されていった京都の禅文化とは異なり、禅宗の源流の地である鎌倉の寺院内で継承されてきた文化財150件余が展覧された。(会期、7月13日まで。)

史跡名勝の指定と登録有形文化財

2003年05月

文化審議会(高階秀爾会長)は、5月16日、12件の史跡、名勝の指定と、「十和田ホテル本館」(秋田県小坂町)など148件の建造物を登録有形文化財とするよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。

春の褒章受章者

2003年04月

政府は春の褒章の受章者810人を4月28日付けで発表した。美術関係の紫綬褒章受章者は、絵本作家佐野洋子(64)、版画家野田哲也(63)、漆芸作家山口松太(63)。

第22回土門拳賞受賞者決定

2003年04月

昨年一年間に作品を発表したプロ、アマを問わない写真家を対象とする同賞(毎日新聞社主催)の第22回の受賞者に、『写真記録パレスチナ』(日本図書センター)を出版した広河隆一(60)が決定した。同賞受賞作品展が、銀座ニコンサロンで4月28日から5月17日まで開催された。

第40回記念朝日陶芸展開催

2003年04月

陶芸の公募展である同展覧会が、4月19日より目黒区美術館で開催された。659点の応募から入賞10点と入選99点が選ばれ、グランプリには泉田之也(36)「溝」、40回記念賞には金正逸(37)「かなたへと向かっていくかたち-Ⅱ」が選ばれた。(会期、6月15日まで。以後、陶芸メッセ・益子を巡回。)

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