日本イラストレーター会議(NIC)発足

1969年06月

イラストレイター会議は挿絵画家、デザイナー、漫画家たちの集団で、イラストレーションの社会的役割を認識し、現代の重要な芸術活動としての自覚と責任を明確にしようというのが目的で、デザイナーの早川良雄が会長となった。会員95名で、雑誌「イラストレーション」を発行する。なお、このほか、著作権確立など利益擁護などの活動もし、おもな会員に朝倉摂、桂ユキ子、河野鷹思、杉全直中原佑介、などがいる。連絡先新宿区市ケ谷砂土原町1―2保健会館221号電268―4455

第9回現代日本美術展の受賞

1969年05月

第9回現代日本美術展の受賞が、17日次のとおり決定した。フロンティア大賞―池永慶一、フロンティア賞―大西清自、聴濤襄治、三木富雄、岡本信次郎、東京国立近代美術館賞―若林奮、京都国立近代美館術賞―靉嘔、神奈川県立近代美術館賞―多田美波、大原美術館賞―高松次郎、ブリヂストン美術館賞―吉原英雄、長岡現代美術館賞―河原温、コンクール優賞―樋口正一郎、コンクール賞―西尾一三、菅隆子、下田義寛、大塚亮治、コンクール賞候補―三尾公三、石黒直子、小林はくどう、島本昭三

重文、万福寺舎利殿の破損

1969年05月

宇治市、万福寺の重文、舎利殿の扉2枚がひきちぎられ破損しているのが、9日発見された。原因は子供のいたずららしい。

国宝智積院障壁画の破損

1969年05月

京都東山、智積院の国宝「紙本金地着色桜楓図」9面のうち2ケ所が異常乾燥のためヒビ割れを生じているのが9日発見された。桜楓図の破損は、乾燥によるヒビ割れ、猫の悪戯、台風による被害を含めてこれで4度目である。

昭和43年度(第25回)恩賜賞日本芸術院賞決定

1969年04月

日本芸術院は、16日昭和43年度日本芸術院恩賜賞、院賞の受賞者をつぎの通り決定した。恩賜賞―黒田重太郎(永年洋画界につくした業績に対し)日本芸術院賞―三谷十糸子(第11回日展の「高原の朝」と多年の業績に対し)、中村善策(第11回日展の「張碓(はりうす)のカムイコタン」などの諸作品に対し)、般若侑弘(第11回日展の「青い朝」に対し)、田中塊堂(第11回日展の「平和」に対し)。

国立近代美術館竣工

1969年04月

千代田区北の丸三に新築中の国立近代美術館は、この程完成し、11日午前11時から同館で開館式が行われた。この美術館は、ブリヂストンタイヤ石橋正二郎会長の寄附金12億円をもとにつくられたもので、谷口吉郎設計により地上4階、地下1階、延べ1万2千平方メートルの鉄筋コンクリート造りで建てられた。温湿度、観覧経路などに最新式考慮がはらわれている。尚、開館記念展として「世界の現代美術―東西の対話」展を開き、欧米からも代表的現代美術が寄せられた。

重文硯筥等四点の盗難

1969年04月

8日白昼、大阪市立美術館に陳列中の重文硯筥など4点の古美術品が盗まれた。盗まれた4点は江戸時代の蒔絵硯筥であったが、幸いにも盗品は後日発見された。

京都市立芸術大学発足

1969年04月

京都市立美術大学、同市立音楽短期大学の両大学を統合した京都市立芸術大学が、三日正式に発足した。同大学は現在の市立美術大学と音楽短大を統合し美術学部、音楽学部に改め、総合大学にしたものである。本部と美術学部はもとの美大に、音楽学部は左京区岡崎の音楽短大に各置かれ、将来は北区大将軍の京都工芸繊維大学繊維学部跡に統合整備する計画がすすめられている。

郷倉千靱の四天王寺壁画完成

1969年03月

大阪四天王寺大講堂に郷倉千靱が三年前から着手していた「仏教東漸」壁画が27日から4月9日まで日本橋東急で公開された。玄奘法師の事跡を4メートル四方18面に描いたもので、読売新聞、日本テレビ、読売テレビから四天王寺に寄進された。

「日展」改組

1969年03月

社団法人「日展」は25日上野の日本美術協会で総会を開き機構と人事の改革を行った。これまで「日展」は民間団体であるにも拘らず常任理事会委員の資格は官展当時のまま文部省の芸術院会員であることとしていたことをはじめとして、審査員の任命、受賞の選定などにしばしば情実によるもののあることの疑惑がもたれ、批判があったが、今回の改革の一つは常任理事会(15人)とそれに準ずる理事会(40人)から75才以上の会員を顧問として棚上げし、いままでの理事会定員を54人としたことによって人事を若返らせたこと。第二には、常任理事会のもっていた審査員任命権、各賞授賞選考権を理事会に移したことが主な改革点である。辻永に代る新理事長には山崎覚太郎が選ばれた。

建造物重要文化財指定

1969年03月

文化財保護審議会は22日建築物関係の重文指定を発表した。民家23件、社寺2件で、このうち民家で最も古い大阪府佐野市の奥家は江戸初期の様式を残している。

史跡指定

1969年03月

文化財保護審議会は20日昭和43年度の史跡、天然記念物、重要民俗資料の文化財指定を発表した。史跡には古代の官衛を残した「那須官衛遺跡」や大阪の旧造幣寮(明治4年創業)など7件が含まれる。

国宝、西本願寺唐門の破損

1969年03月

桃山建築を代表する京都西本願寺の唐門(国宝)の装飾彫刻の一部が子供のいたずらによって破損されているのが、19日、発見された。

国宝、重要文化財指定

1969年03月

43年度美術工芸関係文化財として文化財保護審議会は国宝1件、重要文化財51件を指定した。国宝は鎌倉時代の玄奘三蔵絵(法相宗秘事絵詞)12巻(藤田美術館)、絵画の重文には長谷川等伯筆「烏鷺図」(大日本インキ化学工業)、作者不詳毛利元就像(永禄5年、山口市豊栄神社)、密教図像17点田能村竹田筆「暗香疎影図」(大分市帆足市太)等の他、藤島武二筆「黒扇」(ブリヂストン美術館)、青木繁筆「わだつみのいろこの宮」(同美術館)、富岡鉄斎筆「安倍仲麻呂・円通大師図一双」(西宮市辰馬悦蔵)など。彫刻は今回初めて近代に来日した外国人の作品、つまりイタリア人ヴィンツェンツォ・ラグーザ作「日本の婦人像」石膏原型(東京芸大)が指定された他、伎楽面(東京国立博物館)31面など、工芸品には鎌倉時代の雲版(うんばん)、中国元代や明代の金襴袈裟など、他に書跡、考古品等を含んでいる。

国際青年美術家展

1969年03月

日本文化フォーラム主催読売新聞社後援の第5回国際青年美術家展は21日から26日まで池袋西武で開催され、大賞(パリ留学費2000ドル)は「IN THE SKY OUT THE SKY」を出品した寺門晃に決定した。ストラレム優秀賞1席に渡辺恂三、2席に楢葉雍、文部大臣賞に山本俶生、日本文化フォーラム賞に鈴鹿芳康、美術出版社賞に藤野登、佳作に河野穣而、安達東彦、高岸昇、宮島靖英に決定。

安井賞

1969年03月

第12回安井賞に鴨居玲「静止した刻」が決った。候補作は藤田吉香「村」。受賞作を含む72作家78点の作品は7日から19日まで池袋西武で開催の安井賞展に展示された。安井曽太郎記念会と毎日新聞社主催の同展はこれまでの50才未満という年令制限を廃したために幅広い出品者層が加わった。

芸術選奨

1969年03月

第19回(43年度)芸術選奨と第2回新人賞の受賞者が4日文化庁から発表された。美術関係では昨12月回顧展を開いた洋画家牛島憲之、写真集「宮廷の庭」の岩宮武二が選奨に、建築家で「福岡相互銀行大分支店」を設計した磯崎新が新人賞に選ばれた。

縄文土器に画かれた原始絵画発見

1969年01月

長野県八ケ岳山麓から出土した縄文土器を復元したところ「婦人の出産図」とみられる原始絵画が画かれていることが分り、あるいは日本最古の絵画遺品ではないかとみられている(23日)。

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