芸術選奨受賞者決まる
1968年03月昨年を通じて文学評論、映画、演劇などの分野で新しい境地を開いた者に贈られる芸術選奨42年度第18回の受賞者が、文部省の選考委員会で2日決定した。授賞式は4月12日。 美術関係受賞者 大臣賞 芦原義信 モントリオール万博の日本館の建築に対し 〃 土方定一 「ドイツルネッサンスの画家たち」の著述に対し 新人賞 高松次郎 「遠近法」の連作にみる独創的な成果に対し
昨年を通じて文学評論、映画、演劇などの分野で新しい境地を開いた者に贈られる芸術選奨42年度第18回の受賞者が、文部省の選考委員会で2日決定した。授賞式は4月12日。 美術関係受賞者 大臣賞 芦原義信 モントリオール万博の日本館の建築に対し 〃 土方定一 「ドイツルネッサンスの画家たち」の著述に対し 新人賞 高松次郎 「遠近法」の連作にみる独創的な成果に対し
ニューディリイ市国立芸術アカデミーで8日から開催中の第1回インド・トリエンナーレ国際美術展で、彫刻家の木村賢太郎がグラン・プリを受けた。同展には20数カ国が参加、日本からは画家、彫刻家8人が出品、菅井汲もグラン・プリの候補にのぼった。
明治100年記念事業の一つとして企画された特別展で、東京では2月10日より3月24日迄東京国立博物館に於て開かれた。同館で昨年開かれた江戸美術展と密接な結びつきをもち、明治期の絵画、彫刻、工芸、書の各部分にわたる代表作の410点を綜合的に陳列した。 また京都市立美術館でも記念事業として明治期の日本画、洋画約150点を展示した。
文化財保護委員会は3日、昨11月より続けてきた第44次調査によってこれまで1キロメートル四方と考えられていた宮城跡が東側に250メートルほど張り出しており、ここには東宮御所があったという調査結果を発表した。これは国道24号バイパス予定地を越えた地域であるために、再び路線変更問題がぶり返されることになった。
昭和42年度文部省買上作品は3日の選考委員会で次の8点と決定した。 「女優」橋本明治 「北辺」小野具定 「水辺暁」小林巣居人 「オリーヴと海」佐竹徳 「連帯」坂本善三 「噴水とマヌカン」織田広喜 「緑と赤」高井貞二 「風神」大内青圃
昭和42年度第38回朝日文化賞は「仏像の起源にいたる仏教美術史の研究」により高田修(東京国立文化財研究所美術部長)が受賞した。
第9回毎日芸術賞(昭和42年度)は、文学、美術、舞踊、音楽、写真の五部門に贈られ、美術部門では「右卿書作展」により書家手島右卿が受賞した(賞金各20万円)。なお、大賞は該当者なしと決定した。
東京都台東区谷中の故朝倉文夫のアトリエをそのまま保存し、財団法人組織で朝倉文夫遺作陳列館がつくられ、12月2日から開館した。公開は毎週、土・日・月の3日間、理事長高橋誠一郎、常任理事坂崎坦。
画業40年記念展として毎日新聞社主催の許に渋谷東急百貨店本店で11月17日から29日まで開催、初期の「信号台」から最近作まで97点を展観した。昭和38年の白木屋展につぐ第2回目の回顧展である。
国立西洋美術館、京都国立近代美術館では、フランス文化省、同国立美術館総局、パリ国立近代美術館の協力を得て、我国では初めての総合的なデュフィ回顧展を開いた。出品は、フランス各地の美術館31カ所の他、個人コレクター等からで、油彩80点の他水彩、グワッシュ、版画、タピスリイなど総計200点に及んだ。東京は11月3日から開催したが京都は昭和43年1月4日から開かれた。
日ソ文化交流の一つとして先に日本から「近代日本画名作展」を企画、作品を送ったのに対するもので、ソ連は、1917年の革命後から現代に至るまでの50年間のソ連近代美術の歩みを展望する作品が送られ、展示することになったもの。50年の歩みを概観出来る展観としては初めてで、きわめて有意義な催しとなった。
東京国立博物館及びイタリア文部省の主催で10月28日から12月17日まで、上野東京国立博物館で開催。出品作は先史時代からローマ時代、紀元後3―4世紀に亘り、ローマ、フィレンツェを初め、イタリア全域を含む16の博物館から送られてきている。時代的にも、地域的にも広く、かつ体系的な展観となった。
本年度の文化勲章受章者は27日正式決定発表された。美術関係では、林武(洋画)、村野藤吾(建築)が選ばれた。また豊道春海は、書では初めての文化功労者となった。文化勲章の伝達式は11月3日、功労者の顕彰式は同6日に行なわれた。
中村彝の遺作展としては74点も集められたのはめずらしく、久しぶりで展観された作品も少くなかった。新宿駅ビル6階画廊で14日から開かれ、多くの入場者があった。
宇治平等院鳳凰堂の扉絵のうち「中品上生図」2面の模写が完成し、鳳凰堂北側の位置に取りつけた。同寺では全ての扉絵を模写に置きかえ、鳳凰も模造品につけかえて、本物は収蔵庫におさめる方針。
日本からは、本年は日本代表コミッショナー益田義信の参加出品計画の許に大規模の日本現代版画140点の外、特徴的な日本画を出品、そのうち吹田文明の版画が最優秀賞をうけた。尚9カ国、9人の国際審査員の中、日本からは久保貞次郎氏が招待参加した。
南仏カンヌで開催の同市主催第2回国際絵画、彫刻ビエンナーレ展の絵画部門で野崎利喜男がカンヌ大賞を受賞した。14日発表。
本年から芸術各分野の新人(若手作家)を海外に派遣し、研修させようと文部省が始めた研修制度に4名が選ばれた。 美術―奥谷博(洋画) 音楽―若杉弘(指揮) 舞踊―横井茂(振付演出) 演劇―増見利清(演出)
(9月三岸展、10月黒田清輝展) 去る7月12日、故三岸好太郎の遺作油絵61点、デッサン水彩等159点が節子未亡人より好太郎出身地の札幌市に設立準備中の道立美術館に寄贈する事となり、去る7月12日神奈川県立美術館で北海道知事に目録が贈呈されたが、9月3日道立美術館が完成。三岸の遺作220点を陳列開館した。三岸の作品を陳列する美術館の設立を条件に遺作の寄贈を申し出たことから、急拠美術館の設立が企てられ旧図書館を改装設立となったもの。寄贈作品は節子夫人、黄太、土方定一ら15人の運営委員会によって管理される。
カポグロッシ、フォンタナ、カステラーニ、彫刻家ではポモドロ兄弟、ソマイーニなど、主としてローマ、ミラノを中心とする現代イタリア第一線の画家、彫刻家49名の作品93点を集めた展観で、ローマ国立近代美術館との共催で、9月2日から東京国立近代美術館で開かれた。