和歌山県立近代美術館再開館

1994年07月

和歌山県民文化会館内にあった和歌山県立近代美術館は、和歌山市内の和歌山大学教育学部跡地に移転、8日に再開館(和歌山市吹上1-4-14)。黒川紀章の設計による新美術館は、地上二階地下一階、美術館部分の延床面積は、12,000平方メートル。開館記念展として、「美術館に行こうCOLLECTIONS!近代美術/100年」、「大正のまなざし―若き保田竜門とその時代」が開催された。

中原悌二郎記念 旭川市彫刻美術館開館

1994年06月

旧陸軍の将校用の社交場として、明治35年に建てられた木造二階建ての洋館建築・旧旭川偕行社(重要文化財)を修復し、新たに中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(同市4区1条1丁目)が、1日に開館した。同美術館には、生涯で25点の彫刻を制作し、そのうち現在12点しか残されていない中原悌二郎の全作品を収蔵するとともに、石井鶴三等、中原と縁のある彫刻家の作品を収集している。また、昭和45年に制定された、優れた現代彫刻を顕彰する中原悌二郎賞受賞作家の作品も収蔵し、第1回受賞の木内克から、昨年の第24回受賞の江口週作品も、あわせて展示される。

第46回ヴェニスビエンナーレ、第22回サンパウロビエンナーレの概要の決定

1994年07月

国際交流基金において、1995年開催のヴェニス・ビエンナーレとサンパウロ・ビエンナーレの日本側の企画概要とコミッショナーが相次いで発表された。6月30日、ヴェニス・ビエンナーレの日本館の展示企画の概要がコミッショナーに起用された伊東順二(美術評論家)より発表された。「WABI+SABI=SUKI」をキーワードに、現在の日本の創造的分野とする伝統、デザイン(風俗)、テクノロジーを代表する写真家荒木経惟、日本画家千住博、C・G作家河口洋一郎、美術家崔在銀、建築家隈研吾の5名が選出された。つづいて、7日、サンパウロ・ビエンナーレのコミッショナーに本江邦夫(東京国立近代美術館企画・資料課長)が起用され、遠藤利克、辰野登恵子、黒田アキの3美術家が選出されたことが発表された。この席上、同コミッショナーより、ヴェニス・ビエンナーレの「日本的な」企画案に、強い批判がだされ、これを契機に国際的な場における日本の現代美術の位置をめぐる論議がおこった。また、この後、ヴェニス・ビエンナーレに選出された荒木経惟が辞退し、11月にかわって美術家日比野克彦が起用されることになり、展覧会名も「WABI+SABI=SUKI」から、「数寄:複方言への試み/SUKI:the sense of multi vernacular」に変更されたことが発表された。 

第6回世界文化賞受賞者決定

1994年06月

高松宮記念世界文化賞(日本美術協会主催)の第6回目の受賞者5名が発表された。美術関係では絵画部門でザオ・ウーキー(73)、彫刻部門でリチャード・セラ(55)、建築部門でチャールズ、コレアが選ばれた。 

「運慶快慶とその弟子たち」展開催

1994年05月

鎌倉彫刻の本流である「慶派」の造形を、平安時代末期から南北朝時代まで、主要な慶派仏師15人による66件の作品で展観する「運慶・快慶とその弟子たち」展が、28日より7月3日まで奈良国立博物館で開催された。王朝社会の崩壊と武家の台頭といった社会変革を背景に、一派をなしつつも個性的表現を行なった仏師たちの作品が、近来30年の調査・研究の成果をふまえて展観され、充実した企画となった。

国立博物館美術館地方巡回展実施

1994年05月

国立博物館、美術館、東京芸術大学などが収蔵する文化財や美術品を「日本の風俗」等のテーマで選び、地方に巡回する企画が、文化庁の主導で今秋から実施されることとなった。「地域における文化活動拠点の整備」を目標に文化庁が初めて取り組むもので、今年は全国5ヶ所で開催。教科書等に掲載されている著名な作品も出品し、美術鑑賞のすそ野を広げる方針である。

人間国宝認定

1994年05月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は20日、重要無形文化財保護者(人間国宝)として新たに10人を認定するよう赤松文相に答申した。美術関係では陶芸の「志野」で鈴木蔵(59)、「佐賀錦」で古賀フミ(67)、「蒟醤」で太田儔、「木工芸」で川北良造が選ばれた。後継者不足などの現状をふまえ、高度な技術の保護を強化する見地から、文化庁は今年、人間国宝の新規認定の定員を8人増やし、38年ぶりに二ケタの大量認定となった。

秋田県立近代美術館開館

1994年04月

「秋田ふるさと村―かまくらんど」(株式会社秋田ふるさと村)の一角に20日、秋田県立近代美術館(田中日佐夫館長)が開館した。建物は地上7階地下1階、延べ面積約1万1千平方メートル。秋田県立博物館から秋田蘭画など、400点以上の作品を受けつぎ、秋田県の「美術品取得基金」や「秋田県優秀美術作品収集委員会」による収集品を含む約1200点の作品を収蔵。常設展では秋田にかかわりのある作家の作品を展示し、企画展では地域にこだわらないテーマ展示を行なっていく方針である。

日本芸術大賞受賞者決定

1994年05月

財団法人新潮文芸振興会が主催する第7回新潮4賞(三島由紀夫賞、山本周五郎賞、新潮学芸賞、日本芸術大賞)の選考会が12日に行なわれた。日本芸術大賞は、建築家安藤忠雄が「大阪府立近つ飛鳥博物館に示された建築と環境の創意ある結びつき」が認められて受賞することとなった。日本芸術大賞は第26回目をむかえるが、建築家の受賞は1980年の槙文彦以来2人目。 

平安遷都1200年記念「王朝の美」展開催

1994年04月

桓武天皇の延歴13(794)年の平安遷都から1200年になることを記念し、京都では様々な行事が行なわれているが、その一環として京都国立博物館で平安時代後期を中心に、王朝文化の爛熟期の絵画、彫刻、美術工芸品約100点を展示する「王朝の美」展が開かれた(12~5.15)。平安遷都の頃を唐風文化の受容から和風文化の創出への移行期と重ねあわせ、大和絵と仮名文字が華やかな展開を見せた絵巻物を中心に、王朝人の美意識のありかたをうかがわせる充実した展観となった。

重要文化財、史跡名勝、選定保存技術保持者指定

1994年04月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は15日、絹本著色十一面観音像など2件を国宝に指定するよう赤松文相に答申。また絵画、彫刻、工芸品、書籍、典籍、古文書、考古資料、歴史資料の分野で計43件を重要文化財に、9件を史跡、1件を名勝に新たに指定、漆工品修理等、文化財の保存、修復のための選定保存技術に6件を選び併せて保持者6人を認定、保持者ひとりを追加認定するよう答申した。

日本文化芸術振興賞受賞者決定

1994年04月

日本の伝統文化や現代芸術の保護・振興、国際交流の促進等を目的とした「日本文化芸術財団」(会長・瀬島竜三観光政策審議会会長)が設立した「日本文化芸術振興賞」の第1回の受賞者がこのほど決定。美術関係では、伝統文化部門で唐紙師の千田長次郎・堅吉父子が受賞し、若手を対象とする助成金の伝統芸術部門では左官の杉森義信が、現代芸術部門では建築家の妹島和世が対象者に選ばれた。

日本美術学校再開

1994年04月

1916年に東京・早稲田に設立され、1988年に閉校するまで林武、瑛久など数多くの作家を輩出した日本美術学校が、12日、埼玉県大宮市で再開された。同校は戦後、大学への移行措置をとらなかったことから経営悪化に陥り閉校したが、学校再建委員会を兼ねた校友会が中心となり、学校法人佐藤栄学園の出資により再開されることとなった。修了年限2年の専門学校で日本画、洋画、彫刻の3科が設置され、定員は40名。今後デザイン科の設置も予定されている。

「河鍋暁斎と江戸東京」展、「河鍋暁斎」展開催

1994年04月

美術受容の地域による差異への関心が高まっているが、日本国内に比較して欧米での評価の高い幕末、明治期の画家河鍋暁斎の作品や愛用品など約200点を展示し、激動の時代を生きた画家の姿を浮かび上がらせる「河鍋暁斎と江戸東京」展(江戸東京博物館、12~5.15)、肉筆画14点を含む160点の作品を展観する「福島太郎コレクションによる河鍋暁斎」展(笠間日動美術館、23~5.22)が開催された。昨年末から今年2月にかけて大英博物館でも大規模な暁斎展が開かれ、近年の近代日本美術史研究の成果をふまえ、従来見のがされてきた歴史の一面を再考する動きの一環となった。

鎌倉市に鏑木清方の遺品寄贈

1994年04月

幕末・明治期の風俗を描いた作品や美人画で知られる日本画家鏑木清方の旧作や遺作・遺品が、長く画家の住居のあった神奈川県鎌倉市に寄贈されることとなり、4日寄付目録が手渡された。寄贈される遺作・遺品は現在横浜美術館が保管し整理を進めている。「一葉女子の墓」「朝涼」等の代表作を含む日本画26点、下絵、日記、写生帖などあわせて数百点におよぶ作品・資料が寄贈されることとなり、鎌倉市はこれらを保管、公開する記念館を設立したいとする遺族の意向を汲んで積極的に検討していく予定である。

「モードのジャポニスム」展開催

1994年04月

19世紀の西欧で流行した日本趣味の衣服への反映を跡づける「モードのジャポニスム」展が5日から京都国立近代美術館で開催された(~6.19)。18世紀から現代までの衣装130点、テキスタイル、アクセサリー30点が展示され、日本の着物が18世紀のオランダで男性の部屋着として着用されていたこと、20世紀の女性の衣服におけるコルセットの不使用、ゆとりの重視に与えた影響などが示される興味深い展観となった。

足利市立美術館開館

1994年04月

栃木県足利市のJR足利駅前に2日、足利市立美術館(遠藤武幸館長)が開館した。市街地の区画整備事業の中核施設として、11階建て複合ビルの地下1階から地上3階までの延べ床面積3729平方メートルの美術館として設立され、同市に寄贈、寄託された両毛地域ゆかりの作家の作品を中心に収蔵。年一回の自主企画展のほか、他館との共同企画による巡回展を中心に行なっていく予定で、開館記念展は「印象派とフランス近代絵画の系譜」展(4.2~5.29、東京新聞主催)。

厳島神社の修復完了

1994年04月

1991年9月の台風19号で大被害を受けた安芸の宮島の厳島神社(広島県佐伯郡宮島町の能舞台、能楽屋などが修復を終え、5日に完工式を行なった。国、広島県、宮島町が文化財補助事業として修復したもの。本社の朝座屋(ルビ あさざや)や島に点在する摂社、末寺の復旧のめどはまだ立っていない。

斎藤記念川口現代美術館開館

1994年04月

1970年代以降の日本の現代美術品を収集・展示する私立美術館「斎藤記念川口現代美術館」(須賀忠治館長)が2日、開館。美術篤志家の斎藤規子の「美術を通じて公益に資したい」とする意志を受けて、親戚関係にあたる株式会社ローザ社長、同社専務で彫刻家の建畠覚造らが中心となり、平成元年2月に準備室を発足。現代作家の作品を収集することにより、美術活動を支援していく方針で、今後は収蔵コレクション展を中心に開催していく予定である。開館記念展は「土屋公雄―来歴―」(4.2~5.29)。