「史跡名勝天然記念物指定基準」一部改正
1995年03月近年の社会経済情勢の変化にともない課題となっている近代の文化遺産の適切な保護を図るため、平成6年9月文化庁によって設置された「近代の文化遺産の保存活用に関する調査研究者会議」の調査研究の成果を受け、6日、「史跡名勝天然記念物指定基準」(昭和26年文化財保護委員会告示第二号)の一部が改正された。この改正により指定対象の分野が拡大され、また各分野の例示が近代の遺跡を含むものとなるよう、用語が改められた。
近年の社会経済情勢の変化にともない課題となっている近代の文化遺産の適切な保護を図るため、平成6年9月文化庁によって設置された「近代の文化遺産の保存活用に関する調査研究者会議」の調査研究の成果を受け、6日、「史跡名勝天然記念物指定基準」(昭和26年文化財保護委員会告示第二号)の一部が改正された。この改正により指定対象の分野が拡大され、また各分野の例示が近代の遺跡を含むものとなるよう、用語が改められた。
日本近代美術の見直しの動きのあるなかで、皇室の蒐集品の一部を所蔵する宮内庁三の丸尚蔵館では同館所蔵の明治美術品をシリーズとして展観する企画の第一回目として「明治美術再見Ⅰ 明治美術会と日本金工協会の時代」展を開催した(第1期 1.4~29、第2期 2.4~3.5)。明治期に献上ないし買い上げとなった作品を多く含む展観となり、皇室と近代美術との関わりをうかがわせる興味深い企画であった。
17日に兵庫県南部を襲った震度7の地震とその後の火災のため、多くの社寺、美術館・博物館の建物とその所蔵文化財が損壊した。文化庁は25日、大震災による文化財被害についてまとめ、国宝・重要文化財の被害は京都から島根まで9府県にわたり、128件に及んでいると発表。府県別件数の最多は京都府の54件であった。こうした被害に対し、文化庁は東京国立文化財研究所内に「文化財救援委員会」を設置し、また、震災に対する文化財の保存および展示対策の検討に入るなどの対応策をとった。美術館・博物館のなかには公共施設として避難所となったものも多く、同地の美術館活動が旧に復するには時間がかかりそうである。
わが国の文化・社会の発展、向上に多大な貢献をした個人、団体に送られる朝日賞の1994年度の受賞者が1日に発表になり、美術関係では建築家の安藤忠雄(53)が「人間と自然を問い直す一連の建築作品」によって受賞した。贈呈式は27日に朝日新聞東京本社で行われた。
優れた芸術活動をした個人、団体に送られる毎日芸術賞の第36回目の受賞者が1日に発表された。美術関係では彫刻家土谷武(94年10月から11月まで東京のギャラリーヤマネで開催された「土谷武展」に対して)、画家横尾忠則(1994年9月誠文堂新光社刊『横尾忠則の全ポスター』をはじめとする長年の功績に対して)が選ばれた。贈呈式は同13日東京都千代田区一ツ橋の如水会館で行われた。
日本芸術院(犬丸直院長)は、18日、今年度の会員補充選挙を行い、新たに10氏を会員とすることを内定、美術関係からは、日本画家福王寺法林、松尾敏雄、洋画家芝田米三、鶴岡義雄、彫塑の雨宮敬子が選ばれた。日本芸術院の定員は、120人だが、これで会員数は111人となった。この内定は、総会の承認を経て、12月15日付で文部大臣から発令された。
ユネスコ主催の第18回世界遺産委員会(タイ、プーケットで開催)は15日、京都市、宇治市、大津市の17社寺、城を一括して、世界遺産に登録することを決定した。自然遺産と文化遺産として、登録は国内5件目となる。一括登録されるのは、賀茂別雷神社、賀茂御祖神社、教王護国寺、清水寺、醍醐寺、仁和寺、高山寺、西芳寺、天龍寺、鹿苑寺、慈照寺、龍安寺、本願寺、二条城(以上京都市)、平等院、宇治上神社(以下宇治市)、延暦寺(大津市)。国宝の建築物38棟、特別名勝の庭園8ヶ所、重要文化財の建物160棟を含む。
優れた美術評論や美術史研究、創作活動に贈られる、河北倫明夫妻の基金による倫雅美術奨励賞の第6回受賞者が決定。美術評論・美術史研究部門で東京大学助教授佐藤康宏の『湯女図―視線のドラマ』(平凡社刊)、滋賀県立陶芸の森学芸員三浦弘子の「熊倉順吉とその仲間たち―近代思潮とクラフトデザイン」(同館展覧会図録)、創作活動部門(今回は、彫刻・立体造形が対象)に井田彪の「Circulation―93―air to air」に決定。授賞式は、赤坂プリンスホテルで12月2日におこなわれた。
財団法人サントリー文化財団が、政治・経済、芸術・文化、社会・風俗、思想・歴史の4分野において優れた研究や評論活動をした研究者、評論家に贈るサントリー学芸賞の今年度の受賞者が決定。うち芸術・文学部門では、玉虫敏子(靜嘉堂文庫美術館主任学芸員)の『酒井抱一筆 夏秋草図?風―追憶の銀色』(平凡社刊)、今橋映子(筑波大学文芸・言語学系専任講師)の『異都憧憬 日本人のパリ』(柏書房刊)、尹相仁(漢陽大学校文科大学助教授)の『世紀末の漱石』(岩波書店刊)の三人に決定した。授賞式は、東京丸の内のパレスホテルで行われた。
政府は25日、今年度の文化勲章5名、文化功労者15名を発表した。美術関係者では、日本画家岩橋英遠が文化勲章に、洋画家三岸節子、建築家吉村順三、彫刻家淀井敏夫が文化功労者に、それぞれ選ばれた。
サントリー株式会社は、創業九十周年記念事業のひとつとして、大阪港にサントリーミュージアム〔天保山〕(大阪市港区海岸通1-5-10)を完成させ、3日開館した。安藤忠雄の設計による同館は、延床面積12,400平方メートル。ロートレック、ミュシャ、カッサンドル等のポスター約8,000点を所蔵。開館記念展として、「美女100年―ポスターに咲いた時代の華たち」を開催。
千葉県の指定文化財である旧川崎銀行佐倉支店を復元、利用した佐倉市立美術館(千葉県佐倉市新町210)が、16日に開館。同美術館は、地上5階、地下2階で、展示室面積が835平方メートルの施設となっている。常設展示のほかに、企画展示室、市民ギャラリーが併設されている。16日からは、市制四十周年記念展として、「チバ・アート・ナウ’94―Paper’s Splendor」が開催され、12月17日からは、佐倉市と友好関係にあるオランダより、アムステルダム国立博物館所蔵の160点を中心にした開館記念特別展「海を渡った浮世絵展」を開催。
北海道旭川市ゆかりの彫刻家中原悌二郎を記念して同市が創設した中原悌二郎賞の第25回の授賞作に、加藤昭男の「何処へ」が、また優秀賞に「SUMMIT」がそれぞれ選ばれた。
東洋美術研究誌『国華』が日本、東洋の美術に関する優れた論考に贈る国華賞の今年度、第6回受賞者が九州大学名誉教授で、長崎純心大学教授平田寛の『絵仏師の時代』(中央公論美術出版、平成6年2月刊)に決定。古代から中世にいたる絵仏師の系譜を、その制作実態から幅広く論じた点が評価された。顕彰式は、21日、東京築地の朝日新聞社新館、浜離宮ホールでおこなわれた。
同月から、平成8年秋まで近、現代美術の諸問題をめぐる10回にわたる連続シンポジウムが開催される。(主催:日仏会館、シンポジウム「美術」実行委員会)企画責任者は、イザベル・シャリエ(神戸大学講師)、木下長宏(京都芸術短期大学教授)。第一回は9月24日に、東京日仏会館においておこなわれ、「美術における近代と現代」(イザベル・シャリエ)、「美術史学の近代と現代」(佐藤道信、東京芸術大学助教授)の二講演のあと、木下長宏司会による討議がおこなわれた。以後、約二ヶ月に一回、東京と関西で交互におこなわれる。
昭和48年山口県立山口博物館で開催されて以来、絶えてなかった雪舟等楊の展覧会が、大和文華館で6日より開催。近年、活況を呈しているといわれる雪舟研究をふまえて、雪舟が生まれた時代と環境のなかに置き戻して、見直そうとする試みであった。代表作のひとつにあげられる「秋冬山水図」(国宝、東京国立博物館蔵)をはじめとする雪舟の作品と、かれの弟子たちの作品、またかれが影響を受けたとされる中国画等の関連資料を加えた約60点が出品された。
明治初期洋画を代表する高橋由一の没後100年を記念する回顧展が、27日に神奈川県立近代美術館を皮切りに開催。今回の回顧展は、近年の高橋由一研究の成果を反映して、新発見の「墨水桜花」(個人蔵)、初期肖像画の基準作となる「小幡耳休之肖像」(福富太郎コレクション蔵)等の作品や、これまで未公開の関係資料なども展観され、定説化されつつある画家の実像に再検討を加える契機となった。同展は、以後、香川県文化会館、三重県立美術館、福島県立美術館を巡回。
富山県高岡市の高岡市美術館は、高岡文化の森内に移転し、新築され、9月16日に開館(富山県高岡市中川1-1-30)。同美術館は、昭和26年に開館、金工、漆芸で知られる同市の伝統工芸を中心にした、これまでの収集、展示方針から、この移転、新築を機に企画展示を中心にした活動をおこなうことになった。新美術館は、地上二階、塔屋一階、企画展示室三室、常設展示二室等をそなえ、開館記念展として、「フランス近代絵画―光と色彩の流れ」展が開催された。
印象派という呼称がうまれる契機となった1874年、パリで開かれた「画家、彫刻家、版画家などによる“共同出資会社”第一回展」を再現、今日的な視点から見直そうとする展覧会が、20日国立西洋美術館で開催。同展には、辛辣な批評によって印象派という言葉が生まれたモネの「印象、日の出」(マルモッタン美術館蔵)をはじめとして、今日印象派とよばれる画家たちの作品はもとより、現在ではその名前さえ忘れ去られようとしているサロン系の作家たちの作品もあわせて出品され、この第一回展に出品した作家たちのひろがりが示されるとともに、当時のパリの美術界の実相が理解できる展覧となった。
昭和52年開館以来、活動をつづけていた愛知県陶磁資料館(同県瀬戸市南山口町234)は、平成3年から、施設の大幅な拡充整備のため改修工事を行なっていたが、この程完成し、6日に完成記念特別展「東洋陶磁名品展」を開催、全館開館した。新たに整備されたのは、本館、陶芸館、古窯館、庭園であり、本館の場合は、展示スペースが、367,502平方メートルとなり、従来の約2倍となった。この本館を中心に全国の古窯陶磁作品や現代陶芸作品を展示していくことになった。