文化勲章文化功労者決定

1986年10月

昭和61年度の文化勲章受章者5名、文化功労者10名が、28日の閣議で決まった。美術関係からは、文化勲章に洋画の荻須高徳(故人)、文化功労者に日本画の片岡球子小松均、洋画の高光一也がそれぞれ選ばれた。文化勲章伝達式は11月3日皇居、文化功労者顕彰式は4日国立教育会館でそれぞれ行なわれた。

京都の日本画1910-1930展(京都国立近代美術館新館開館)

1986年10月

一昨年2月より旧館をとり壊し約50億円をかけて工事に着手していた京都国立近代美術館の新館が26日オープン。新館開館記念特別展として「京都の日本画1910-1930」展を開催した。同展は、国画創作協会を中心とする大正から昭和初期の京都画壇の日本画の動向を、59作家149点の作品から追ったものであるが、丹念な作品調査と資料探査に支えられ問題提起に富む質の高い展覧会となった。

記念物関係文化財新指定

1986年10月

文化財保護審議会(斉藤正会長)は21日、記念物関係の文化財として、銅剣358本を出土した弥生時代の荒神谷遺跡など、特別名勝2、史跡8、名勝2、天然記念物1の計13件を新たに指定するよう、塩川文相に答申した。これで国の記念物関係文化財は、2418件となった。

五姓田義松展

1986年10月

明治初期洋画の代表的作家五姓田義松の生涯にわたる作品を集めた初の展覧会が、18日より11月30日まで神奈川県立博物館で開催された。油彩画、水彩画、デッサンのほか、書簡や履歴書などの資料も合わせ約300点に及ぶ展示は、五姓田義松の再評価を喚起する好企画となった。

エルグレコ展

1986年10月

スペインの巨匠エル・グレコの展覧会が、18日から12月14日まで上野の国立西洋美術館で開催された。スペイン各地、ルーブル美術館、エルミタージュ美術館などから、各期の代表的油彩画約50点が出品され、グレコの全貌をうかがう好機となった。

川合玉堂展

1986年10月

川合玉堂の歿後30年を機に、玉堂の初期から晩年にいたる代表作120点を集めた展覧会が、17日より11月16日まで岐阜県美術館で開催された。また同じく歿後30年を記念し、玉堂の作品約2350点を収録する画集『川合玉堂』全2巻の編集も進行中で、昭和62年8月刊行の予定。

狩野山雪展

1986年10月

狩野山楽のあとの京狩野を背負った画家狩野山雪の展覧会が、10日から11月16日まで奈良・大和文華館で開催された。代表作のほか、初公開の29件を含む45件が展示され、山雪研究に重要な視点を提示する好企画となった。

海北友松展

1986年10月

桃山期を代表する画家のひとり海北友松の展覧会が、10日から11月9日まで滋賀県大津市の琵琶湖文化会館で開催された。障?画などの代表作のほか、海北友雪の作品や資料など計70点が展示され、スケールの大きい充実した展観となった。

御在位60年記念日本美術名宝展

1986年09月

昭和天皇の在位60年を記念した日本美術名宝展が、23日より10月19日まで東京国立博物館で開催された。古墳時代から江戸時代にいたる絵画、彫刻、工芸、書跡の各分野の作品約200件が出品され、約半数が国宝、その他のほとんども重要文化財という質の高い作品が集められた。同展は引き続き、京都国立博物館で開催された。

文化庁、10年がかりで明月記補修へ

1986年09月

昭和55年冷泉家で確認された藤原定家自筆の日記「明月記」54巻について、文化庁は2日、永久保存と公開に向け、冷泉家時雨亭文庫による補修作業を全面協力することを明らかにした。この作業は10年をかけて行なわれ、予算総額は1億4千万円。修理の終わった時点で、現在の重要文化財から国宝に格上げする予定。

新文化庁長官就任

1986年09月

民間文化人として昨年4月第7代文化庁長官に就任した三浦朱門長官の退任が8月26日の閣議で了承され、9月1日付で大崎仁が新長官に就任した。

ボストン美術館で北斎らの版木大量に確認

1986年08月

浮世絵の大コレクションを収蔵する米国のボストン美術館で、浮世絵の版木514枚を調査した結果、北斎の代表作の絵本三部作「東都勝景一覧」「絵本東都遊」「絵本隅田川両岸一覧」の版木も含まれていることが明らかとなった。版木が保存されていること自体稀であるのみならず、極めて良好な状態で保存されていた。

日本最古の漆紙文書出土

1986年08月

茨城県石岡市の鹿の子遺跡から、日本最古の漆紙文書が出土した。検田関係帳簿と思われ、「天平十四年」(741)の年記があった。

ターナー展

1986年08月

ロマン主義風景画の巨匠ジョセフ・M・W・ターナーの展覧会が、16日から10月5日まで、上野の国立西洋美術館で開催された。多数のターナー作品を所蔵するロンドンのテートギャラリーのほか、同じくロンドンのナショナルギャラリー、アメリカの美術館などから、油彩51点、水彩約60点が出陳され、充実した展観となった。

横山松三郎の写真原板発見

1986年07月

幕末から明治初期にかけて記録写真を残した横山松三郎の写真原板多数とカメラが、大阪で発見された。原板は、荒廃し取り壊し直前の江戸城の一部や、明治4年ウィーン万博に出品するため撮影した神社仏閣、正倉院古器物、生活風俗などで、日本写真史上の貴重な発見となった。

芸術活動の振興に民活導入を

1986年07月

文化庁の「民間芸術活動の振興に関する検討会議」は28日、これからの芸術活動には思いきった民間活力の導入が必要だとする報告をまとめ、三浦朱門文化庁長官に提出した。具体的方策として民間企業などによる支援体制の整備や、国と民間の資金による文化振興普及のための基金の設立、支援側への顕彰制度の創設や減税措置の検討なども、必要事項として提言された。

1回ロダン大賞展

1986年07月

1980年創設以来、具象彫刻の振興を目的に第3回まで開催された高村光太郎大賞展にかわり、より国際的な規模でのコンクールとして新たに開設したロダン大賞展の第1回展が、25日より10月31日まで美ケ原高原美術館で開催された。第1回の大賞には中垣克久「山上のソロ」が決定。特別優秀賞に杉山惣二「男と女『壁』」、藤原吉志子「羊の旅-この世にはまだ知らないことがいっぱいある」、山崎猛「沐浴」、マイケル・サンドル(イギリス)「鼓笛手」が選ばれた。

東京都美術館に岡本文庫

1986年06月

洋画家岡本唐貴により昭和56年東京都美術館に寄贈された美術資料が、岡本文庫と名付けられ一般公開されることとなった。同文庫は戦前の前衛美術やプロレタリア美術、ロシア美術などに関する貴重な図書を含み、公開が待たれていた。

明治村賞決定

1986年06月

財団法人明治村が明治時代をテーマにした学術や芸術に功績のあった人に贈る明治村賞の第12回に、9日河北倫明が選出された。近現代日本美術の史的研究と評論がその受賞理由。

11回吉田五十八賞決定

1986年06月

第11回の吉田五十八賞が決定、建築の部で林雅子「ギャラリーを持つ家(東京国分寺市)、雪囲いのある家(富山県)」が受賞した。今回、建築関連美術の部の受賞作品は該当作なしとされた。

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